上野東京ラインとは、JR東日本が運行する鉄道路線の運行系統である。
概要
上野東京ライン | |
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概要 | |
起終点 | 起点:東京駅 |
終点:上野駅 | |
路線記号 | |
駅数 | 2駅 |
基本情報 | |
開業日 | 2015年3月14日 |
所有者 | 東日本旅客鉄道 |
使用車両 | 使用車両を参照 |
路線諸元 | |
路線総延長 | 3.6km |
軌間 | 1,067mm |
電圧 | 1,500V |
架空電車線方式(直流) | |
路線図(東北縦貫線を参照) | |
1973年4月に廃止となった東北縦貫線が2015年3月14日に復活開業したことにより、新たに愛称を付された運転系統である。東北縦貫線そのものは東北本線いわゆる宇都宮線の東京駅から上野駅間である。
運転系統としては上野駅~東京駅間を経由して、宇都宮線・高崎線・常磐線と東海道線が直通する。
運行系統は、
- 宇都宮線(宇都宮・黒磯方面)←→東海道線(小田原・熱海方面)・伊東線(伊東方面)
- 高崎線(熊谷・高崎方面)・両毛線(前橋方面)←→東海道線(小田原・熱海方面)・伊東線(伊東方面)
- 常磐線(取手・水戸方面)・成田線(成田方面)←→東海道線(品川駅まで)
の3系統である。
東海道線と比較し宇都宮線・高崎線・常磐線の3線を合わせた本数が大きく違うため、全ての列車が直通運転されるわけではなく、当然上野駅で折り返す列車も残る(後述)。また、東京駅は2面4線の為、線路に余裕がある品川駅での折り返し列車も設定されている。
なお、湘南新宿ラインは埼京線・横須賀線と線路を共有している区間がほとんどで、湘南新宿ラインに関与しない他路線のダイヤ乱れに巻き込まれることがよくあった。しかしながら上野東京ラインは単に宇都宮線(東北本線)を東海道線に直通させたのみであるため、構成する各路線以外のダイヤ乱れの影響は受けにくい。
実態としては東海道線・東北線と全く同一で直通しているだけであるが、上野東京ラインの列車を名乗るのは両線を直通する列車のみで、上野止まり・東京止まりの列車は従来の東北線・東海道線の列車で、上野東京ラインの列車ではないという扱いになっている。このため対になる湘南新宿ラインに比べて少々ややこしい。
なお、湘南新宿ラインと異なり、路線記号はそのまま直通先各線、宇都宮線の「JU」や東海道線の「JT」を使用している。また、ラインカラーは紫色であるものの、実際には直通先各線の色が使われることが多い。
「電車でGO!はしろう山手線」でも山手線と共に品川~上野間が収録された。(電車でGO!2の感覚で走らせて新橋通過しそうになったのはいい思い出)
先祖返り
東北本線の制定時の起点は1909年の秋葉原駅であったが、後の東京駅開業など変遷を経て、1920年代には東北本線の東京駅起点への変更と1925年の電車線(現在の京浜東北線および山手線)および1928年の列車線(現在の宇都宮線)の東京駅乗り入れが完成した。
電車線は京浜東北線や山手線として独立した運転系統を有することになった一方、列車線は戦後に単線化されることになる。(単線化されて余った線路は電留線として扱われていたそうだ)戦後以降、単線ながらも高崎駅-富士駅の湘南色115系普通列車や常磐線直通の新橋駅発着列車・それから多客期の帰省客による駅混雑緩和の為のターミナル変更便が運転されてきたが、1973年の列車線廃線により2015年まで縦貫線の歴史は途絶えることになる。(2010年代前半の鉄道ファンにそういう情報が載っていた)
1973年の縦貫線廃線は東京駅-上野駅間の工事が理由であるために国鉄時代から復旧が計画され、下記のメリットもあり再建設が実現した。2013年11月および2014年12月には先立って線路切り替え工事が行われ、2015年3月14日に復活開業。
上野東京ラインの効果
メリットとしては、宇都宮線・高崎線・常磐線の3路線の利用客が上野以南の各駅へ乗り換えなしで行けるようになる点があげられる(常磐線に関しては品川駅までであるが)。東京都心(東京・新橋・品川)のみならず、既存の湘南新宿ラインと合わせて川崎・横浜方面へ乗り換えなしで向かうことが可能となった。
それまで、上野駅以南へ向かうためには同駅で山手線・京浜東北線に乗り換える必要があり、朝の通勤ラッシュ時には山手線・京浜東北線の混雑率が最大202%(2013年 山手線上野→御徒町間)にも達していた。上野東京ラインの開業はこの緩和にも役立つと考えられている。
このほか、東海道新幹線との接続改善も図られる。同新幹線の発着駅である東京駅・品川駅まで中距離列車が直通するためである。優等列車でも常磐線特急「ひたち」「ときわ」の多くが品川駅まで乗り入れるため、新幹線と乗継ぐことにより、東京以西の各都市から茨城県方面の所要時間短縮や利便性向上が期待される。
また北関東からの航空利用客にとってもメリットが存在する。国内線が主に発着する羽田空港へは、それまで上野駅と浜松町駅(東京モノレール)もしくは上野駅と品川駅(京急)で2回乗り換える必要があったのが、品川駅で1回京急に乗り換えるだけで向かえるようになる。乗り換えに要する時間のみならず、停車駅が少ない上野東京ラインを用いることでアクセス時間の短縮も期待される。
その他、運行側のJR東日本にとっては、都心を貫通させることにより地価が高い東京・上野両駅周辺にある折り返し設備を縮小させ、それらを別の用途に転用することが可能になるというメリットも存在する。
すでに同社では2013年をもって、東京都港区に存在した田町車両センターを廃止(東京総合車両センター田町センターに縮小・改組)しており、田町・品川間の東海道線にあるその膨大な用地の一部を活用した再開発計画を進めている。
東京モノレール・京急の競合に与える影響
上述の通り上野東京ラインの開業後、北関東の沿線各駅から羽田空港へ向かうには品川駅で京急に乗り換えるルートが有利になった。
しかしながら、それまで主に利用されていた東京モノレールがJR東日本の子会社である一方、京急は東京モノレールのライバル路線にあたり、上野東京ラインの開業はJR東日本が京急という敵に塩を送るような路線となってしまった(このため、京急が上野東京ラインによる利便性向上をアピールしている)。
京浜東北線の快速が浜松町駅・品川駅に停車して、新橋駅を通過するのに対し、上野東京ライン(東海道線)は新橋駅・品川駅に停車して、浜松町駅を通過すると言う千鳥停車のようなものが発生した結果と言えよう。
この状況に関してはJR東日本が羽田空港アクセス線を開通させるか、東京モノレールを新橋駅ないし東京駅まで延伸しない限りは改善が難しいと考えられる。
系統
宇都宮線・高崎線←→東海道線
宇都宮線・高崎線と東海道線は相互直通運転を実施する。直通運転区間の最遠は宇都宮線が黒磯駅、高崎線が両毛線の前橋駅、東海道線側は沼津駅と伊東線の伊東駅となる。
「快速アーバン」「快速ラビット」は高崎線・宇都宮線内は快速、東海道線内は普通となる。
なお、最長区間は見た目上は黒磯~沼津間であるが、実際は黒磯~伊東間も含めて通しで設定されている列車はなく、実際の運行列車の最長区間は黒磯~熱海間となる。このほか、前橋~沼津間や宇都宮~伊東間といった長距離運用も存在する。
基本的には高崎線直通列車は高崎・籠原~小田原・熱海間、宇都宮線直通列車は宇都宮・小金井~小田原・熱海間を運行する。
平日朝ラッシュ時は南行がそれぞれ13本運行される(合計で26本。なお、北行も同等の本数となる)。データイムは大多数が上野東京ラインを通して直通し、夜間はそれぞれ20本程度が運行される(合計で39本)。
なお、日中の本数が宇都宮線・高崎線が各毎時4本なのに対し、東海道線が毎時6本であるため、宇都宮線・高崎線は日中には毎時1本上野駅発着が設定されるが、東海道線については日中の全列車が上野東京ラインとの直通となる。
さらには夜間も直通列車が多いため、従来通り上野駅発着となる特急「あかぎ」、快速ラビット、快速アーバンのほか、普通列車でも上野駅発着がある程度存在する宇都宮線・高崎線に対して、東海道線は終電近くを除いて、特急「湘南」と一部の各停しか東京駅発着が存在しなくなり、東京駅での着席帰宅は一部の駅利用者には厳しくなることであろう。
常磐線←→東海道線
常磐線が東海道線の品川駅まで直通運転を実施する。直通運転区間については、普通列車は高萩駅および成田線の成田駅までとなる。特急列車についてはいわき駅までとなる。また、2020年3月からは常磐線の全線運転再開に合わせ、仙台駅まで直通運転を実施する特急列車が設定される見込みとなっている。
常磐線中距離電車はほとんどの時間帯で一部列車が直通運転を実施し、特別快速は全ての列車が直通運転。それに加え、朝夕夜は取手駅・成田駅発着の常磐線快速電車も直通運転を実施する。ただし、朝の時間帯に品川駅からの下りが設定されない時間がある。
特急列車「ひたち」「ときわ」についてはデータイムの全列車と夕夜間時間帯の一部列車が品川駅発着となる(東京駅にも停車)。ひたちの上り列車は全てが品川駅まで運行される。
直通する電車に関しては宇都宮線・高崎線←→東海道線に比較すれば少ないほうであるが、逆に言えば上野駅発着が多く残ることになり、上野駅で着席できる可能性が高い。直通する電車でも全て品川駅発着であるため、上野駅の代わりに品川駅で着席することも可能である。
開業から2017年10月14日のダイヤ改正までは、東京駅到着8時以降の列車から直通運転を実施し、平日朝ラッシュ時間帯は5本のみの運行(ただし、取手駅・成田駅から運転の常磐線快速電車の上り・品川行のみ。下りは従来通り、全て上野発)。データイムは土浦方面からの常磐線中距離電車・特別快速の一部が乗り入れ、夕夜間時間帯は取手駅・成田駅まで運転の常磐線快速電車の一部が品川駅発着となる形態となっていた。
なお、特別快速は上野東京ライン開通に合わせて新たに北千住駅に停車するようになった。
2022年春改正以降の特別快速はデータイムでの運用を取りやめ午前に上り2本午後に下り2本が運転するだけになる。
使用車両
宇都宮線・高崎線←→東海道線
常磐線←→東海道線
- E231系(松戸車両センター所属)
- E531系(勝田車両センター所属)
- E657系(勝田車両センター所属)
- 特急列車「ひたち」「ときわ」で使用。
- 185系(大宮総合車両センター所属)
- 651系(勝田車両センター所属)
駅一覧
普通列車が運行する区間の全駅と特急列車「ひたち」「ときわ」の停車駅を記載する。
宇都宮線・高崎線←→東海道線
常磐線←→東海道線
●:停車、▲:一部停車、△:下りのみ一部停車、▽:上りのみ一部停車、|:通過、※:一部期間に下りのみ臨時停車
関連動画
関連項目
外部リンク
- 東北縦貫線の開業時期、愛称について [PDF/71KB]
- 「上野東京ライン」開業により、南北の大動脈が動き出します~開業時期、直通運転の概要について~ [PDF/27KB]
- 2015年3月ダイヤ改正について [PDF/548KB]
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