概要
近年、RTAにおける「不正」が多発している。
RTAとは、インターネットを通じてゲーム画面の配信ができるようになってから広まった競技である。
TAとは区別されており、「"R"eal」と付いた名の通り、現実における実時間を最重要視している。
しかし、今配信されているゲーム画面が本当に「今(あるいは録画時に)」プレイされているものかをきちんと確かめるには、プレイヤーのところまで行き、横に立って実際にプレイ中の姿を見る他ない。
そのようなことを毎回行うのは現実的ではないため、配信されているゲーム画面は「今」プレイされていると信頼して視聴することが、RTAにおける暗黙のルールとなっており、様々な記録もこの信頼の上に成り立っている。[1]
RTAで不正を行うということは、自身の信頼を失うだけでなく、RTA界全体の信頼を揺るがす自体にもなり得るため、単なる「ルール違反」よりも重い意味を持っている。
失った信頼はもう戻ってこないのである。
定義
「不正RTA」の定義は定かではないが、少なくともある行為が不正であると指摘するためには「故意にその行為を行った」という要件は満たす必要があるとされる。
また、どのような行為をもって「不正RTA」と呼ぶかは、各ゲーム・種目ごとのルール、大会における特別ルールその他の状況で変化するものであるため、その状況に応じた明示・もしくは黙示のルールに故意に従わなかった場合は「不正RTA」とみなされる場合がある。
RTAに限った話ではないが、自分がやった内容を偽って主張している場合は基本的に不正である。
よくある誤解として、「エミュレータは違法だから不正」というものがあるが、まずエミュレータ自体は違法ではない。[2]
また、エミュレータの使用については大きく分けて3種類、「ルールで許可されている場合」「許可されていない場合」「特に決まっていない場合」があり、エミュレータの使用が許可されていないルールなのにエミュレータを使用した場合は不正である。
さらに、「このエミュレータはOKだがこのエミュレーターはNG」という場合もある。
特に決まっていない場合は、そのゲームのプレイヤーが集まってるコミュニティでまず尋ねてみるのが無難だろう。
以下、「不正RTA」というものがどういうものか過去の例をもとに掲載する。
配信外で出した記録をRTAの配信上で流し、配信上で出した記録であると偽る行為
配信外でRTAとして通していたとしても、その録画を配信上で流し、それをもってニコ生RTAwikiに記録を掲載する行為は不正にあたる。
配信外で出した記録を単に配信上で流し、そのアーカイブ等をもってRTAの記録として各所に掲載することは問題ないと考えられるが、例えば、ニコ生RTAwiki等の配信上でプレイすることを前提としたサイトに、配信外で出した記録を掲載すると不正行為とみなされるので注意が必要である。
上記のとおり、配信外で出した記録を単に配信上で流すこと自体は不正に該当しないが、例えば「DQ3RTA」というタイトルで配信を行っている場合、視聴者はリアルタイムでプレイしているものと判断するのが通常である。
よって配信外で出した記録を配信上で流す場合は、例えば配信タイトルや概要欄に「反省会」「振り返り」等といった文言を入れることが望ましい。
大会等のリアルタイムでプレイすることが前提となっている場で、以前出した記録の録画を流す行為は当然不正行為に当たるので念のため。
動画をつなげる(枠取り時間の利用)
複数の(実機による)動画を、枠取り時間などを利用して繋がっているように見せかける行為。
過去の例でいうと「ボス戦が近いので一旦枠切ります」などといって配信を切り、その間に動画をすり替えたりするもの。
かつてのニコニコ生放送では、チケットやポイントを使わないと30分を超えて配信ができなかった。そのため、30分毎に放送枠を取得しなおして「次枠」へ移動する方法を取るユーザーが多く、ニコ生でのRTAもやむなく枠またぎとなることが少なくなかった。枠またぎをすると十数秒から1分ほどの配信時間外区間が生まれる。
2018年頃のアップデートにより、チケットやポイントを消費することなく1枠で360分まで配信できるようになったため、現在は枠取り時間が取られることは基本的にない。
動画をつなげる(TASの要領)
TASのようにエミュレータもしくは精密な動画編集などを使用して、もっとも早く(そうでないときもある)、細かい区間をつなげて作った動画を、RTAとして配信上で垂れ流し、あるいは動画を投稿し、正式な記録とする行為。
エミュレータの使用が許されているゲーム、ルールであれば見分けが難しいこともある。
なお、エミュレータにはTAS制作用のものもある。エミュレータに関しては コントローラーの入力再生からコントローラーによる操作をつなげることが可能なものもあり、見分けが難しい。
コントローラーの入力表示をおこなう走者も多いが、こういった余計な疑いから自衛する目的もある。
不正動画をアップロードする
RTAのルールに基づいて適正にプレイしていないにもかかわらず、そのように見せかけた動画を投稿し、正式な記録とする行為。
他人の動画を配信で垂れ流す
他人の動画を自分の配信上で垂れ流し、さらにそれを自分の記録とする行為。
過去の例では放送上でそのプレイにダメだしをするような行為もあった(自虐に見せかけて他人のプレイを非難するということである)。動画を配信で再生し配信上で出した記録と偽り、さらにその動画は他人のものであるという点でかなり悪質であるとされる。
RTAの動画を投稿する人はこのようなことがないように、動画自体にゲーム画面以外のもの(字幕など)を入れるとある程度の対策となる。それが決定的な証拠に繋がった例もある。
タイマーを操作する行為
枠取り時間 (動画をつなげる (枠取り時間の利用) を参照) などを利用して、タイマーを一時停止する行為。
ただし放送中であっても、コンマ1秒以下の秒数を表示していないことを利用し、一瞬だけ一時停止を繰り返していた例もある。
RTAの途中でのタイマー停止は原則ルール違反となっている。その記録を正式な記録とする行為は当然不正にあたる。
偽った記録をウェブサイト等に掲載
動画も配信も残されておらず、ラップタイムやレポートのようなものだけ掲載された記録は、RTAとして適正にプレイしたものなのか否かを証明し辛いという問題点がある。言論による追及(その記録を出したときのプレイ経過などを詳しく聞き取る等)でしか証拠は見い出せない。
かつてはプレイ画面のキャプチャ自体が難しかったため、記録写真と文章による説明での投稿が主流だったが、今はキャプチャ環境は比較的整えやすい。
動画も配信もない記録に関しては、慎重に見ていく必要があるが、まずは肯定的に見ていくべきであろう。
ROMの改造
昨今では、RTAを行う上で都合の良いようにROMそのものを改造しているとされる事例がある。例えば、エンカウント率の操作、エンカウント内容の操作などである。考えうる理論値の範囲内での改造であれば分かりづらく摘発が難しい。
プレイ環境を偽って申請する
エミュレータでプレイしているのにもかかわらず実機と偽ったり、ダウンロード版でプレイしているのにもかかわらずカートリッジ版と偽って申請したり、連射コントローラーを使っているのにもかかわらず通常のコントローラーと偽って申請する行為。
ダウンロード版とカートリッジ版/ディスク版など、環境の違いによってロード時間に大きく差がある場合、記録が分けられることがある。また、エミュレータはステートセーブやチートなどが搭載されている場合が多く、ロードも早くなる場合が多いため、基本的に禁止されたり、実機とは別扱いされる。
連射コントローラーはセリフの多いゲームやシューティング系ゲームでプレイに大きく貢献するため、記録が分けられたり、禁止されている場合がある。
これらのルールを無視し、環境を偽って申請するのは不正である。
その他の不正
そのほかの不正には、単にルール違反するものなどがある。故意に行ったものは別としてそうでないものは「不正RTA」には該当しないものとされる。
さいごに
プレイ人口の多い作品では既に細かなルールが決まっていることが多く、Speedrun.com
など、多くは英語で書かれていることが多い。
そのため、知らずにルール違反をしてしまう場合もあるかもしれないが、明らかな偽りがないのであれば、こういったコミュニティの人々は記録や新規走者に対して肯定的に見てくれるし、DeepL などの機械翻訳でもコミュニケーションを取ってくれる人がほとんどである。
また、最近は日本人が走っていることも多く、日本人が新しく走りやすい環境もできつつある。質問すればきっと答えてくれるだろう。
初めてだからと臆せず、まずは走って投稿してみてほしい。
関連動画
脚注
- *参考:RTA in Japan開催までの経緯|RTAPlay!

- *明白なエミュレータ動画が権利者削除になるのは、権利者の作品を動画に勝手に使ったことによる著作権侵害が直接の理由である。基本的に親告罪なため、どういった動画が著作権侵害となるかは権利者の裁量に委ねられている。
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