交響詩「中央アジアの草原にて」(in the Steppes of Central Asia)とは、19世紀ロシアの作曲家 アレクサンドル・ボロディン(Alexander Borodin, 1833-1887)が作曲した交響詩である。
概要
ボロディンはロシアの国民学派で「ロシア5人組」(バラキレフ、キュイ、ムソルグスキー、リムスキー=コルサコフ、ボロディン)と呼ばれた作曲家の一人。本職は化学者・医師で「ボロディン反応」などの業績を上げている。本人は「日曜作曲家」を自称しており、本業を営む傍ら音楽活動を行っていた。
交響詩「中央アジアの草原にて」は1880年にアレクサンドル2世即位25周年を記念して作曲された交響詩であり、フランツ・リスト(Franz Liszt)に献呈されている。当初は記念イベントで絵画とともに発表される予定だったため、「交響詩」ではなく「交響的絵画」と表現される場合もある。初演は同年4月8日、サンクトペテルブルクにてリムスキー=コルサコフの指揮によって行われた。
曲の情景としては、当時の情勢(ロシアの東欧進出)を踏まえてロシア人と東欧人の交流を題材に楽曲が構成されている。ヴァイオリンが静かに通奏高音(E)を鳴らす中、冒頭でクラリネットとホルンによりロシア民謡を基にしたロシア人(Russian)を示すのどかな主題が提示される。その後、弦楽器のピッツィカートにより隊商の足跡を想像させる旅路(Traveling)を示す主題の後に、コーラングレによって装飾音符・三連符が特徴的な東欧人(Eastern)を示す主題が提示される。これらの3つの主題が転調しながら様々な楽器に移り変わって演奏され、後半ではロシア人の主題と東欧人の主題が重ねて演奏されて「異文化交流」の様子が表現される。最後はロシア人の主題を木管楽器で受け渡しながらフルートとヴァイオリンで静かに消え入るように曲が終了する。
編成
フルート2、オーボエ1、コーラングレ1、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、ティンパニ(C, E, A, F#)、弦五部(第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)
関連動画
交響詩「中央アジアの草原にて」に関するニコニコ動画を紹介する。
関連商品
関連コミュニティ
関連項目
- 0
- 0pt

