中央銀行(central bank)とは、一国の金融機構の中核となる機関で、紙幣(銀行券)を発行し、通常の銀行を相手に資金を貸し出す業務を行うものである。
紙幣を発行し、他の銀行(市中銀行)に資金を貸し出す特殊な金融機関であり、近年の中央銀行は一般的には法定され、国家の通貨発行機能を譲渡する形で成立する。
概要
中央銀行は、紙幣を発行し、通常の銀行(市中銀行)に資金を貸し出す。また、金融政策を通じて、景気を安定させることも中央銀行の大きな役割である。日本の中央銀行は日本銀行である。
中央銀行は準備預金制度を制定し、準備率(銀行の預金総額のうちの何%を中央銀行に預金するか)などを調節することで、銀行の貸し付けによって市場に出回るお金の総量(マネーストック)を調節し、景気を調節している。
歴史
通貨と銀行の歴史については当項目では割愛する。
世界で最も古い中央銀行はスウェーデンのリクスバンクといわれる。
だが有名でありまた影響も大きかった初期の中央銀行としては1694年に成立したイギリスのイングランド銀行が上げられる。元々、イギリスでは特権認可された複数の銀行が、それぞれに独自の銀行券を発行していたが19世紀に金融恐慌が発生。多くの金融機関の発行紙幣が無効になるという事態が発生したため、通貨発行権をイングランド銀行に限定するという銀行条例(ピール条例)が1844年に発行した。先に記したスウェーデンのリクスバンクがスウェーデン国立銀行法によって通貨の独占発行権を得たのが1897年であるため今現在でいわれる中央銀行の始まりというとイギリスのイングランド銀行を指し示すことが多い。
なお、このように通貨の独占発行権を制定したことにより生まれた中央銀行のことを自然発生型の中央銀行という。
後代に生まれた日本銀行等の場合、初めから通貨による物価安定を想定して作られている。
物価と雇用率
通貨制御と雇用の関連性はケインズの概念が世に広まってから生まれた概念であり、きわめて近年の考え方である。
なお、本質的に中央銀行の役割は物価安定が主であり雇用対策と比較してどちらに比重をおくかというのは各中央銀行毎に異なる。
その為、かつて1兆倍という天文学的なインフレーションを経験したドイツの影響の大きい欧州中央銀行は物価の安定を優先。
失業率25%オーバーという不況を経験したアメリカのFRBでは雇用を比較的優先している。
いうまでもないが物価は安定しつつ、最大の雇用が出現することが居住者の幸福につながることが多く、欧州中央銀行とFRBどちらの政策がより正しいと一元論で語れる内容ではない。
なお、日本の日本銀行の場合にはアメリカのような25%失業という数字には至った経験がないこと、また戦後通貨の大幅なインフレーションを経験したことからインフレーションに対して過度強めに反応するようになっている。
これも過去の経験からの反応であり賛否両論が存在する。
最後の貸し手機能
何らかの事情で銀行に対する預金者の信頼が動揺すると、預金者が我先に銀行へ殺到し他の預金者より先に自らの預金を引き出そうとする。群集行動によるパニック状態でいわゆる銀行取付け(bank run)である。
このような事態を未然に防ぐことを想定して金融システムのセーフティーネットとして考案されたのが、中央銀行による「最後の貸し手機能」である。
緊急事態において中央銀行は貸し手(Lender of Last Resort)として一時的な資金の貸付け等を行う。
なお、中央銀行が貸して足るという信用の裏づけは通貨発行権である。
日本国においてはこの機能に合わせて預金保険制度を運用しており、預金1000万円以下は保険によって完全に保証されている。
このように二重以上のセーフティーネットをかけるには相応のコストがかかるため、一定上の規模と余力をもつ国のみとなっている。
主な中央銀行
なお、米国には「中央銀行」に当たる単一組織は存在しない。連邦準備制度(FRB)が中央銀行制度として存在しており、連邦準備制度理事会(FRB)などが中央銀行的に金融政策を行っている。
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関連項目
- 貸借対照表(バランスシート)
- 民法
- 信用創造
- 準備預金制度
- マネタリーベース(日銀当座預金)
- マネーストック(マネーサプライ)
- ゼロ金利政策
- マイナス金利政策
- インフレーション
- デフレーション
- 短期金利
- 長期金利
- 国債
- 売りオペレーション
- 買いオペレーション
- 中央銀行の国債直接引き受け(マネタイゼーション)(財政ファイナンス)
- ヘリコプターマネー(ヘリマネ)
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