丸刈りとは、髪を全体的に刈って短くした様子のことである。
概要
お寺のお坊さんがよくやっている髪型である。「丸坊主」「坊主」と同じ意味を指すことも多いが、「坊主」よりは侮蔑的な意味が少ない。
スキンヘッドとの違いは曖昧ではあるが、髪を染めておらず、わずかに髪が生えている状態(おおむね15mm以内)であれば丸刈りと言われることが多い。
丸刈りにする理由
ファッション
本人のファッションとして丸刈りにする場合がある。「スキンヘッド」と重なる部分も多い。
剃髪(仏教)
仏教の僧侶は髪を丸刈りにすることが多い。これを「剃髪」という。
古代インドで広く信仰されていたバラモン教では、剃髪は死刑の代わりとして行われていた。それ以外のインドの宗教では、出家(=家庭・社会を捨てること)して修行をするときには剃髪する習慣があった。釈迦(ガウタマ・シッダールタ)も剃髪し、修行をしたため、仏教の僧侶は剃髪をするようになった。
日本の軍隊
軍規の上では、陸軍は全員が丸刈りとされ、海軍は下士官兵については丸刈りとされた。海軍の准士官以上の階級は、髪型は自由とされた。規律厳守の意味もあったが、シラミの発生を抑える衛生上の観点や、頭のケガのときの応急手当のしやすさの点など、実用的な側面もあった。
なお、これ以降の項目での丸刈りでは、丸刈り以上に長い髪型が全て「長髪」と呼ばれている。一般的な長髪(ロングヘアー)とは意味が異なるため注意が必要である。
学生
中学校・高校でも男子の丸刈りが校則によって強制されていた時期があった。正確な由来は不明だが、上記の軍隊での丸刈り文化が学校にも伝わったと考えられる。
昭和後期から平成にかけて、ほとんどの中学校・高校で丸刈り校則は廃止された。最後まで丸刈り校則が残っていたといわれる奄美大島でも、2013年に全廃されている。
野球部
野球部では丸刈りの生徒が多い。現在では規則付きで強制しているところは少ないが、「伝統」「周りの雰囲気」「単純に楽」という理由で丸刈りにする部員が多い。
1990年代のサッカーブームのときには一時的に丸刈りをやめる動きが見られたが、2013年の調査では8割の野球部が髪型を丸刈りとしている。ただし、野球部員が減少している現在では、野球部への入部の障害となる丸刈りを禁止、または髪型を自由化する動きが再び見られるようになってきている。2023年の時点では丸刈りの取り決めに関しては2~3割程度に減少しており、長髪の野球部員も特に珍しくなくなってきている。
謝罪
謝罪の意を示すために自分自身で丸刈りにすることがある。2013年のAKB48の峯岸みなみのように、女性でも行う場合がある。
インパクトは大きいが、本心から謝罪しているのかどうかは丸刈りにしただけではわからないため、単なるパフォーマンスであるという批判もある。そもそも、髪がまた生えてくるからできることであって、もともと髪が生えてこない人に失礼だという意見もある。
関連動画
関連静画
関連リンク(参考文献)
- 紫雲寺「坊主頭雑考」(春夏秋冬・19)
- 南海日日新聞「中学丸刈り、群島ゼロに―最後の1校が校則見直し」(2013年5月18日)
- 濱田理央,Shino Tanaka「甲子園球児の髪型、強制は少数でも87%が丸刈り 識者は「『自主的』と言うのは危うい」【ハフポスト独自調査】」(HUFFPOST, 2019年8月7日)
- 大野択生「気合?楽?球児なぜ丸刈り 支持根強い一方見直す動きも」(朝日新聞, 2018年7月9日)
- 酒井政人「高校の運動部で"丸刈り"が増えているワケ」(PRESIDENT Online, 2018年3月29日)
- 白井京子「丸刈りは謝罪のしるしになるのか」(TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」, 2014年8月20日)
関連項目
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