久弥直樹( ハヤシナオキ / 本名: 林直樹 )とは、脚本家、ゲームシナリオライター、小説家である。
美少女ゲームブランドkeyの創設メンバーの一人として著名。個人サークルCorkBoardを主催。
概要
代表作には『ONE ~輝く季節へ~』『Kanon』『sola』『天体のメソッド』などが挙げられる。
恋愛描写やキャラクターを魅力的に描くことに優れている。久弥の食べ物や口ぐせでキャラクターを立てる手法はエポックメイキングとなり、その後のゲームやアニメなどに大きな影響を与えている。物語中に繊細に幾重もの伏線を張り巡らし、それらを一気に回収し爆発的に人を感動させるシナリオライティングを行うことで知られている。
極端な秘密主義者といわれ、同僚として机を並べて働いていた麻枝准ですら、久弥が手がけるシナリオの内容は完成まで知らされることは無かったという(とはいえタクティクスのプロデューサーであったYET11によると、麻枝もスクリプトが完成するまでは担当部分を見せたくないと言い張ったというが)。『kanon』では他のスタッフたちに月宮あゆは死んでいるんだと教え、その裏で全く別の話を書きテストプレイで驚かせていた。
しかしこれは現代のゲーム制作と比べたら、スタッフが少なく開発期間も短く通常のやり方では対応出来なかったことで行われた、一種のアクロバティック的手法で、自らスクリプトを組みゲームの演出まで行える特異なシナリオライターが、なんと二人も揃っていたからこそ可能であったことと思われる。
久弥がkeyを辞めたあとも、このシナリオライター同士が横の連携をしない、曲の発注やイベントCGの発注において、あまり詳しくは教えないという、keyの特殊なやり方は『CLANNAD』まで続けられていた。
口癖は里村茜や美坂栞を思わせる「嫌いです」。即断で嫌いですという人だったらしい(YET11談)。知人に「人間追いつめられたらなんだって出来る」と述べ、自分を追い込んでシナリオに打ち込むらしい。ライトノベル作家の九曜とは10代の頃からの友人。『kanon』ではキャラクターに九曜の本名が使われているらしい。食べ物は魚系が苦手。山羊座。専門学校時代はトレーディングカードゲームの『マジック:ザ・ギャザリング』にハマっていた。
表舞台に出ることを好まず、情報発信をまず行わないので、数年おきに消息を絶っては現れるを繰り返すのだが、このループを人はいつしか「久弥スパイラル」と呼ぶようになった。5chの外郭掲示板、bbs pink内にあるleaf,key掲示板では、「お~い、誰か久弥の行方を知らんか?」という長寿スレシリーズが立っているが、久弥スレの住民たちも特に新たな話題が無くなると、既出ネタと改変コピペを貼っては会話をループさせ久弥に倣っている。
そこでの久弥は「ヘギョー」と鳴く鹿の姿として認識されている。その起源は、はっきりとはわからないが、業界を干された久弥が飢えて奈良公園で鹿に噛み付いていた。パチンコ屋で姿を見た。鹿せんべいの亡者である久弥は、金の亡者である麻枝から鹿せんべい貰って、すのこを売っていた。などのメチャクチャな目撃情報から、いつしか久弥は鹿となり、奇怪なAAが続々と作られては増殖していったものと思われる。
ちなみに『天体のメソッド』の舞台のモデルとなった、洞爺湖にある無人島の中島は、よりによってエゾシカが大繁殖していることで有名な地である。同じく舞台のモデルの地である札幌にほど近い支笏湖ではなく、あえて遠い洞爺湖を選んだチョイスは鹿が疑わしい。劇中でも「ヘラジカ便」などという宅配会社のトラックが出てくるところを見ると、久弥=鹿は本人も受け入れているのかもしれない。
なにがスパイラルか。
いいかげんにしたまえ。
君たちは久弥の気持ちを考えたことがあるのか。
なにより久弥は人間である。
行方がわかったとき、君らはどうするつもりか。
俺、まだいるよ
∧_∧
( ´Д`)
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( _久弥 |
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「本当に面白いゲームは、CGとシナリオと音楽が折り合っていて、またそれぞれが助け合っているものだと思います。ユーザーの方が雑誌や広報などを見て、このゲームはこんなシナリオやこんな展開だと予想しますね。しかし、実際にプレイしてみたらまったく違い『これは!!』とユーザーが本当に面白がってくれるゲームを作っていきます。
コンプティーク 1998年No.180号特集「明日のトップメーカーはここだ!ユーザーの心を揺さぶるゲームを作る Key」
略歴
パソコン専門学校に通っていたが卒業間際になっても就職先が決まらず、どうしたものかと思っているときに、クラスの友人がソフトハウスの就職試験をシナリオライターで受けるということで、なら自分もと受けてみると二人共あっさりと落ちてしまった。久弥は負けず嫌いのところがあったので次は絶対に受かってやると、ゲーム会社の求人に次々と応募を続けていた。
そんなある日、Tactics(タクティクス)がPC雑誌に広告を出した、同ブランドの第一弾であった作品の『同棲』に記載されていた、シナリオライター募集の知らせを見て応募するのだがまたしても落ちてしまう。
ところが後日、久弥のもとにTacticsの当時の代表者YET11から、本当は採用したかったが募集広告が出た時点で別ルートからシナリオライターを採用してしまっていた。ただ、それでは申し訳ないので、正社員として雇うことはできないが、ゲーム制作に興味があるのなら見学に来ないかとの旨の電話があり、喜んで見学に行くと、彼が先に採用したシナリオライターだと麻枝准を紹介される。
その際に社員として採用は無理だが、アルバイトなら明日から来てもいいとの申し出をされ、久弥はこれを快諾し、アルバイトではあったがひょっこりとネクストンに採用された。
以降は同社のブランドTacticsで、『MOON.』(「名倉由衣」「鹿沼葉子」を担当)、『ONE ~輝く季節へ~』(「里村茜」「川名みさき」「上月澪」を担当)の脚本を手がける。
久弥の担当したシナリオはいずれも業界とユーザーたちに絶賛され、企画とメインライターであった麻枝の存在さえも遥かに霞ませるほどの人気であった。それで心ない者たちは、なんと麻枝のことを「ハズレライター」「凄くない方のライター」と揶揄し、麻枝に久弥を超えて評価されるシナリオを描くと一念奮起させることになった。
実は久弥の方も麻枝に見せられたMOON.のシナリオのクオリティに驚き、これを今超えなければ会社を首にされると本気で思い覚悟をきめて書いた結果であった。
1998年夏ごろ、麻枝准、樋上いたる、折戸伸治、みらくる☆みきぽん、しのり~らと共にネクストンを退社し、株式会社ビジュアルアーツに移籍。同年7月21日、この6人で新たにゲームブランドkeyを立ち上げた。
設立後の久弥は『Kanon』の企画・原案、メインシナリオ(「月宮あゆ」「美坂栞」「水瀬名雪」を担当)を手掛けた。
しかしその後、2000年2月22日に次回作『AIR』の制作が発表されたが、同日、下記に引用したように久弥自身から独自に別の企画を行っているとの情報が提供されたが、年内にビジュアルアーツを退職したことが明らかとなった。
企画もプロデューサーも兼ねてますが、
本音を言うとシナリオに割ける時間がなくなるので兼業はやりたくないです。
そういう意味ではONEが一番作ってて楽しかったかも。
現在、新人シナリオさんに全てを託して、一足先に「AIR」の次の作品を制作中。
そんな訳で「AIR」にはほとんど関わってなかったりします。
まだ公表できないですが、他にも色々と動いています。
発表できる段階になれば、keyもしくはこのHPで発表します。
あ。趣味で同人やったりもしてます。本作るの好きなので。
久弥がkeyから離脱した理由については【麻枝准研究室「神様になった日」特設サイト】の会員限定コンテンツ、「Soul Searching Journey」第1回 麻枝准・久弥直樹 同時インタビュー「彼らが見つけた“尊敬”のかたち」に詳しい。kanonの制作で疲れきってしまったのだ。
袂を分かったあとも麻枝からは天才だと述べられ尊敬されている。また久弥も麻枝を尊敬している。余談だが中国のkeyファンたちからは久弥直樹は「至高神」、麻枝准は「大魔王」との称号で呼ばれて神格化されている。川名みさきと美坂栞のルートは評価が高く「朦朧双線」と称されているそうだ。
1999年から2002年にかけて『MOON.』や『kanon』のサイドストーリーを書いた同人誌を発行している。この頃の久弥は同人の世界でも一躍人気となり、その存在は神とされ、その時代の人気イラストレーターたちと組んで盛んに創作を行っていたが、突然コミケに参加しなくなり消息が不明となる。
2003年に同人レーベル、BLACK BOXからノベルゲーム『Limit Off』の制作を発表し、ゲームシナリオライターとしての活動を再開する。その主題歌「Real intention」では作詞を担当した。しかし同作はその後の進展が無く凍結されたものと思われる。
2004年秋に前記のBLACK BOXを前身としたゲームブランド、SIESTAが発足。
2005年12月9日に発売された『MOON CHILDe』で、サブライターとしての参加、無事復活を果たしたのかと思うと、また消息がわからなくなる。
2006年、突如『メカビ』誌 Vol.2で小説家としての復活作『ヒナタノアリカ』(挿絵:RIN)を発表。
2007年には、テレビアニメ『sola』を発表。原案と同時に自らが一部脚本を担当した。
メディアミックスの一環として電撃大王に掲載されたコミック版『sola』(08年2月に連載終了。作画:阿倍野ちゃこ)でも原案を担当しており、これはコミック版を中心としたスピンオフドラマCDとしても展開され、久弥もその監修に携わった。
また数年動向不明となるが、2012年には新作を製作中と発表され、多くの人に「生きてたのか!」っと驚かれた。
その新作というのがアニメ『TARI TARI』だという噂があった(公式にクレジットには無いが脚本を手伝っていたともいわれる)が、代わりに初の長編小説となった『サクラカグラ』(イラスト:岸田メル)の発表があった。
また『sola』放送5周年を記念してBD-BOXが発売されることが決まり、新規キャラクター・コメンタリーの脚本を久弥が担当することになった。
2014年、『サクラカグラ』第1巻が発売され、その秋にはアニメ『天体のメソッド』の原案・脚本を担当することが発表された。
2016年11月18日(金)、雑誌『Febri』にて10ヶ月に渡り連載されていた小説『彼女たちが綴じる世界』が、加筆修正され発売された。表紙は『〈物語〉シリーズ』のキャラクター・デザインでも知られる渡辺明夫が担当している。
2018年6月19日にフリューの新作タイトルとなる『CRYSTAR -クライスタ-』のティザー・サイト、PVが公開され、PS4用ソフトとして2018年10月18日に発売される事が発表された。
同年12月23日『天体のメソッド』公式Twitterにて、完全新作エピソードとなる第17話『もうひとつの願い』の制作が発表され、クリスマスデザインのノエルおよび新キャラのキャロルが描かれたティザー・ビジュアルが公開。 2019年10月11日からyoutubeでWeb配信されている。
再生されることのみが次回作への道標とされている。続編を望む者は繰り返し観て欲しい。
ハヤシナオキ
インフィニットの代表、永谷敬之(ナガッチョ)がプロデュースする作品に突如現れる、正体不明の謎のアニメの脚本・構成作家、ハヤシナオキの紹介文は、毎回限りなく久弥であることを匂わせているが、久弥であるとは明言されておらず否定もされていない。だが暗黙の了解として同一人物として扱われている。
主な作品
ゲームシナリオ
アニメ脚本
- 『sola』
- 『D.C.III ~ダ・カーポIII~』(林直樹 名義)
- 『citrus』(ハヤシナオキ 名義)
- 『天体のメソッド』
- 『フリップフラッパーズ』(第8話から構成・脚本 ハヤシナオキ 名義)
- 『A3!』(ハヤシナオキ 名義)
- 『BLACK FOX』(ハヤシナオキ 名義)
- 『ひぐらしのなく頃に業』(ハヤシナオキ 名義)
- 『ひぐらしのなく頃に卒』(ハヤシナオキ 名義)
ドラマ脚本
- 『ウルトラマントリガー』(ハヤシナオキ 名義)
小説
漫画
同人
- 『Four Rain』 (1999年 夏コミ コミケ56 発刊日:1999/8/15)
- 『first snow』 (1999年 冬コミ コミケ57 発刊日:1999/12/19)
- 『ONE's MEMORY』 (1999年 夏コミ コミケ57 発刊日:1999/12/26)
- 『SEVEN PIECE』 (コミックレヴォリューション27 発刊日:2000/5/14)
- 『innocent』(2000年 夏コミ コミケ58 発刊日:2000/8/13)
- 『ONE's MEMORY remake』 (コミックレヴォリューション28 発刊日:2000/10/29)
- 『Kanon another story if 』(2000年 冬コミ コミケ59 発刊日:2000/12/30)
- 『HINATA』(2001年 冬コミ コミケ61 発刊日:2001/12/30)
- 『MOON. anecdote』 (2002年 夏コミ コミケ62 発刊日:2002/8/11)
- 『SEVEN PIECE REMAKE "PIECE Ⅱ"』 (コミックレヴォリューション32 発刊日:2002/10/6)
関連サイト
- インフィニット
- BLACK BOX (ウェブ魚拓アーカイブ)
- SISTAR
- FuRyu
- key
- siori kitade /note 約束と呪い --「key」と「久弥直樹」の差分として読み解く「麻枝准」
- 『Kanon』の追復曲(カノン)としての『天体のメソッド』―― 久弥直樹試論
- 4Gamer.net 『CRYSTAR』インタビュー(ウェブ魚拓アーカイブ)
- Pinkちゃんねる Leaf key掲示板
- Un-known 久弥直樹 HP
関連動画
関連項目
- 11
- 0pt