井上敏樹単語

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井上敏樹とは、日本アニメーション特撮ドラマを中心に活躍する脚本家である。
代表作は『鳥人戦隊ジェットマン』『超光戦士シャンゼリオン』、平成仮面ライダーシリーズなど。

参加作品が多い割にメイン担当が少なく見えるのは、準役級のキャラクター立たせたい時や、制作スケジュールに遅れが立った際の調整役としてスポット参加する場合も多いためである。
人呼んで「東映用心棒」。

概要、人物像など

1959年11月28日生まれ、埼玉県出身。成蹊大学中退

仮面ライダーシリーズ初期の脚本で活躍した伊上勝に持ち、成蹊大学在学中に所属していた幻想文学研究会で執筆した短編小説東映動画の七敬三プロデューサーに留まり、在学中の1981年に『Dr.スランプ アラレちゃん』第24話「アラレちゃん変身!!」にて脚本家デビューアラレちゃんメインライターだった雪室俊一に師事する。
『どきんちょ!ネムリン』で特撮デビュー。以降、スーパー戦隊シリーズ平成仮面ライダーシリーズなど、日本を代表する特撮作品を多数手掛けていく事になる。

が、

単純な勧善懲悪や、大団円ハッピーエンドといった展開には懐疑的で、自身がメインライターを務める作品ではその傾向が顕著である。
恋愛関係を描くにしても、大抵は三角関係になったり、敵同士になってどちらかが絶命したりと、必ずといっていいほど報われない人物がいる。
出世作となったジェットマンが1番分かり易いかもしれない。
仮面ライダーキバ』の様な例外もあるが、この時は武部直美プロデューサーの意向も絡んでいたとかいないとか。

インタビュー等でも丁寧は使わない。良く言えば快、悪く言えばふてぶてしい。そのからか、ジェットマンにおいて鈴木武幸プロデューサー井上メイン脚本に推した際、テレビ朝日プロデューサーからは決して未熟だからではなく、「態度がデカイ」ため反対された。そのため、鈴木Pは「飲んで話せば悪いじゃないから」と、”井上君を囲む会”なる飲み会を開き、何とか決定にこじつけたという。

アンチに関しては「そういうのがいい」と言ってのける良くも悪くも大ざっぱな人物像は、「カブト」の天道総司、「ディケイド」の門矢士など、仮面ライダーシリーズの登場人物の性格形成にを与えたこともある。
士の「だいたいわかった」という口井上の口に由来し、若手の頃は先輩に「てめーに何がわかんだ」と酷く怒られたという。

仮面ライダークウガに関しては中盤より参加しているが、実は鈴木プロデューサーから急に頼まれたらしく訳の分からないまま様子を見に来たら製作側がかなり危なかったという。しかし物語が進んでいた等もあり髙寺成紀プロデューサーの方向性を支持し、クウガ物語を守る事に大きく貢献した。

一見脚本家に見えない体格と強面が原因で新谷良子に本物の913・・・いや、893と勘違いされた事がある。
また、かなりのヘビースモーカーで、禁煙マッドハウス会議室で気で煙草を吸ったり、シンガポール旅行に行った際も禁煙タクシーで「皿をよこせ」と言ったというDQN・・・ゴホン、快な一面もある。

このように快な人柄を示すエピソードや、本人や関係者の口から飛び出す奇想外な話から「自分が描いている脚本より漫画みたいな人間」とファンから言われることも多い。だが本人は「快な人柄とかいうのは周りが話を広げているだけ」としている。

書道料理プロ級と言っても差し支えないレベルの腕前を持つ。村上幸平にはしばしば手料理を振舞っており、ブログにて紹介されることも多い。この料理好きという趣味が後述するように食事シーンの多さにつながっていると見られている。

家族構成としては前述した伊上勝の他に中学教師をしている直樹というがいることや、2014年現在小説家として活動している娘がいるらしいexitことが明かされている。については以前より然の秘密という状態だったが、最近インタビュー等で本人によって明かされた。

作風、執筆スタイルなど

一言で言うと「大ざっぱ」。

「脚本は映像を作るときの設計図にすぎない」が持論であり、映像化の過程での脚色・オミットされた場合にも寛容な態度を取っている。特に実写作品の場合は、台詞や動作、使用する技などが大まかに示されているだけで、細かい表情などは、現場で監督と出演者らが話し合いを重ねて決めている。
しかし、『シャンゼリオン』の9話のラストシーンではシナリオ上でカメラワーク定したり、『PROJECT G4』のG4の最期についてインタビューでは自分なりの演出意図を述べており、映像イメージを考えていない訳では決してない。

シナリオ作業の際にはプロットやハコ書きの段階での完成度を重視して時間を掛けるものの、それから脱稿までは極めて速い。
鈴木Pは『超新星フラッシュマン』で初めて井上仕事をした時には初稿の完成度の高さに驚いたとインタビューで答えている。
また速筆は折り紙付きであり、一晩で30分作品2話分の脚本を書き上げてしまうという。『仮面ライダーアギト』では全51話中50話、「仮面ライダーキバ」では全48話中46話、『仮面ライダー555』に至っては全50話の脚本を描き切っており、最終回は1時間半で書き上げたとか。『仮面ライダークウガ』『仮面ライダー響鬼』に参加したのも制作スケジュールが切迫していたためであり、他のサブで参加する際も開の劇場版の撮時期が重なる事情もある。

作品の中心となる人物には、記憶喪失自己中心的、協調性が強くないなど、のある人を置き、いわゆる常識人タイプは薄くなりがち。またサブで参加する際も「キャラとは過去に浅からぬ因縁があるキャラクター」をゲストとして投入する傾向がある。

その分、大きな挫折から(紆余曲折を経て)の復活、味方同士が衝突を重ねて団結していく様子を、パワーアップに絡めてカタルシス化させていく展開には定評がある
悪役側も、統率、結束が取れておらず、利が一致する部分でのみ(それが主人公サイド人間であっも)一時的に手を組む場合がほとんど。敵対する勢に属する人物同士に友情恋愛関係を持たせることも多い。

その他、役がピンチになると池に落ちる、話を面くするなら多少の設定変、食事シーンが多い事でも知られる。「子供向け番組ではセックスシーンが書けないから代わりに食事シーンを入れてる」とのことである。

ただし、これらについてはかなり誤解・誇されている部分も多く、実際には製作会社やプロデューサー示によるところも多い。その誤解の筆頭として挙げられるのがピンチ役が駆けつけるときなどの時間を無視した移動をす「井上ワープ」であるが、井上の脚本に限らず東映特撮では古くから戦闘中唐突な場面転換や場所移動は多く見られ、近年でも井上以外のライターの担当作品含め多用されている(これに関しては「井上さんのホンはハコがしっかりしているから移動シーンカットも問題ない」とスタッフ側も判断している)。また脚本の段階では設定通りであっても、前述通り「撮上の都合や現場の判断で変更ということもままあることである。

仮面ライダー剣』のティターン回での睦月の言動について會川昇に「井上さんはのホンなんて気にしませんから(笑)」とコメントされたり、『鋼の錬金術師』(2003年版)では前後のシリアスな流れに反したキャラのやり取りがコンテで修正された事もあるが、設定の無視も常にあるわけではなく、『アギト』では監督プロデューサー伏線を拾ってくれない状況を危惧して自ら進んで回収しようとしたり、『DEATH NOTE』ではアニメの尺におさめる為設定を整理して組み立てたという逸話がある。

食事シーンの他、音楽も関わってくることが多いが、これについては「そんなに好きではないのに、なんでだろうな」「ムードがよくなるからじゃないの?」と答えており、どうやら意識に書いている模様。

所謂ネタキャラを生み出すのが得意としているのか、井上の手がけた平成ライダーだけでも、草加雅人名護啓介海東純一と言ったキャラクターを生み出し、ネット上では人気が高い(※「平成ライダーネタキャラ四天王」参照)。

大人向けの作品ではグロに走る事もしばしば。(例:メビウスギアキューティーハニー THE LIVE
その一方で『ギャラクシーエンジェル』『超光戦士シャンゼリオン』のような強ギャグコメディ展開が大量に飛び出す作品も多く手がけており(そもそもデビュー作もギャグマンガアニメ)、『メイプルストーリー』などの落ち着いた作の作品まで、むしろ作の幅はかなり広い脚本家でもある。

「きっちりした世界観がある作品を理に壊すのはプロじゃない」ともっており、『クウガ』の路線変更に反対した他『響鬼』もそれまでに合わせた脚本にする予定だったことを明かしている(それを見た倉に「井上さんの好きなように書いていいよ」と言われてしまったが)。

とはいえ、本人が一番ストレスなく書けるのはやはり前述した強な要素を含む作品であるのは事実な模様(『小説仮面ライダー555』、『の底のピアノ』など)。

キャスティングには口を出さず、要な出演者が決まってもすぐには会わず、実際に出来上がった映像を見て、方向性を決めていくという。そのため、長期シリーズの途中でも人物像を変えることがある。

作品にテーマを設けていたとしても前面に押し出すことはせず、全体を見てそれとなく浮かんでくるくらいの塩梅が好み。テーマ性を過剰にめる潮を嫌い、テーマについて問われたときは、皮を込めて常に「」だと答えている(ただし、仮面ライダーキバは、実際に家族キーワードにして書いていた)。

シナリオ横書き小説縦書きで書いている。シナリオの執筆にはワープロを用いている。文章を書くだけならパソコンよりも便利とのこと。書いた文章はフロッピーディスクに移してからパソコンメールを用いて送信するらしい。
『ある特定しか使えず「このワープロが壊れたら業だな」と笑いながら言ったところ、倉が同じを探し出してきてプレゼントした』という逸話もある。

父・伊上勝との関係

伊上勝の記事も参照。かつてはについて触れることは非常に少なかったが、近年ではインタビューで度々話題について触れている他、について記した「伊上勝評伝」という本を出版している。

幼少期、が『仮面ライダーシリーズで脚本を手掛けていることについては特別に意識をしていたことはなく、『仮面ライダー』『ジャイアントロボ』などは通常の少年と同程度の興味だったらしい。仮面ライダースナックの「カードだけ取ってお菓子は捨てる」という現社会問題になった際も「も同じことやって母ちゃんにえらい叱られた」と話している。ただし、学校仮面ライダーシナリオを書いていることを自慢したり、「名前出して」と頼んで同名の人物を出させたことはあったとのこと(敏自身も「仮面ライダー555」で名前を使い澤田亜希/スパイダーオルフェノクを登場させたことがある)。

時が流れ自然特撮から離れていくようになった敏だが、15歳原作・脚本を担当しているドラマ『闘え!ドラゴン』のシナリオを勝手に執筆したところ、一部分を褒めてもらえた。敏はこれが初めて書いたシナリオとしている。文章を書くことや物語を作ることが好きだった敏だが、シナリオの書き方についてからアドバイスをもらったことやアドバイスめたことはなく、の持つキネマ旬報などから勝手に覚えていったとのこと。

脚本家としてデビューした当時は新人脚本家が少なく、東映閉鎖的だったのでやっていけるかという不安もあり、その場その場で生きていく感じだったと回想している。だが、それより以前からスランプに陥ってに溺れるようになり、脚本家をほぼ引退した状態であった。当時は再放送されても脚本家に印税は入らず、借も大量にある状態で「生活はどうするのか」と抗議したところ、は敏に「お前が書け」と命じた。これにより敏は「半分ぐらいは理くり」に脚本家として活動するようになった。

こういった経緯があるためか、借についても「興味なかったし、死にゃあいいって思ってたからさ(笑)」と答えているなど、に対して良い印の言葉を投げかけることはほとんどく、本人による随筆『本を盗む』の中では「飲みで借塗れの、清々しいまでのろくでなし」と評している。仕事を離れた父親としての姿も「関心と子煩悩の中間」とのことで、遊びには付き合うが勉強しろと命じることはなく、シナリオの書き方を始め自分から物を教えようとすることもなく、「教えてくれたのはタバコの煙で輪を作る方法との鳴らし方ぐらい」「親父シナリオを書いていた関係でライダーシールとかカードをたくさんもらったことがあった。あれが、親父からもらったもので一番うれしかった。そのほかはロクなもんもらわなかった(笑)」とのこと。

以上のようにに対する感情は非常に複雑なことがうかがえ、事実あまり触れられることもなかった話題だが、2011年ファミリー劇場の特番「隠密剣士伊上勝世界」に出演しについてって以降はインタビューなどで触れる機会が増加している(事実引退した50歳をえても未だ現役で脚本家漫画原作者として活動していることもしているのかもしれない)。表現は厳しいが、文章に(笑)がついたり笑顔インタビューに答えるなど、あまり嫌みを見せない答え方をしていることが多い。またのことは反面教師と見ていたが、現状を踏まえて「あまり反面教師にはならなかった」とも話している。

主な執筆作品

特撮

アニメ

TVゲーム

小説・エッセイ

漫画原作

作詞

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井上敏樹

1982 ななしのよっしん
2024/02/11(日) 08:22:35 ID: l7BG8PpdD5
まあ一応キャラ世界観や設定は大事にする人ではある
…が問題はそのキャラ自体が強いのだが
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1983 ななしのよっしん
2024/02/20(火) 14:47:14 ID: alHAGKeyG5
6時間蒸しアワビ
激辛しびれ麻婆豆腐
さつまいも天ぷら

が特に料理メニューだと美味いらしい(村上幸平談)
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1984 削除しました
削除しました ID: aPZMLE+HsT
削除しました
1985 ななしのよっしん
2024/04/05(金) 06:16:22 ID: +aN3vTcY6r
カブトのまかない麻婆豆腐ってアレンジしたらしいな
実際はもっと山椒が聞いているとかなんとか
レシピ本出して欲しい(材料費高すぎて作れるかどうかはわからんけど…)
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1986 ななしのよっしん
2024/04/12(金) 20:47:43 ID: 1QtWj9KqKD
ドンブラ、パラロスから見るにジオディケは時期が本当に悪かったんだなって…
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1987 ななしのよっしん
2024/04/13(土) 09:36:34 ID: wAZwEVvfSc
>>1986 パラリゲじゃなくて?

にしてもこの人が担当する続編って決まってレギュラーキャラの内かが別人レベル、または別人に変わってるからオリキャスでも安心出来ん
龍騎手塚ファイズ○○それなりに理由が有るけどジオディケのユウスケマジで酷い
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1988 ななしのよっしん
2024/04/13(土) 09:46:37 ID: LRnZNRC8JF
ジオディケはドンブラの時のブログ倉が明かしてたけど
コロナ禍キャストすらが出れるかわからなくなって、
結果何本も脚本が作られるって修羅場だったらしいからな…
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1989 ななしのよっしん
2024/04/13(土) 12:26:44 ID: wAZwEVvfSc
>>1988
んな理な状況でも制作せざる得ない事情に泣けてくる
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1990 ななしのよっしん
2024/04/13(土) 13:21:18 ID: QqShQLxbso
その状況で延期や中止の決定が出来ないってだいぶヤバイよな…
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1991 ななしのよっしん
2024/04/22(月) 21:07:46 ID: Yj/PzRlN/6
パラロスをこの間のつべ無料配信で初めて見たけど、
手についての要素(手を繋ぐ、握れない、離れ離れになった後仮面舞踏会で手を繋いで覚えのある手だと言う)が結構あって井上意外と手も重要視してるのかねと感じた。
アギトちゃん攫われた時もガラスに残った手形で気が付いたし。
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