京王杯スリリングカップとは、2022年5月14日に開催された第67回京王杯スプリングカップ(2回 東京 7日目 サラ系4歳以上 オープン、15:45発走)の通称である。
概要
1956年に5歳(現4歳)以上の馬による芝1600mの重賞「スプリングハンデキャップ」として創設。1960年に「京王杯スプリングハンデキャップ」として改称しその後幾度かの距離変遷を経て、1981年に1400mで定着。1984年より現在の名称に改称し、グレード制導入でGIIに格付けされる。それと同時に安田記念の前哨戦として位置づけられ、2014年から1位には安田記念の優先出走権が与えられて今に至る。
出走馬
枠 | 馬番 | 馬名 | 性齢 | 馬体重 | 斤量 | 所属厩舎 | 騎手 | 人気 | 単勝オッズ |
1 | 1 | ミッキーブリランテ | 牡6 | 476(-4) | 56 | 栗東 矢作芳人 | 三浦皇成 | 10 | 38.6 |
2 | 2 | リフレイム | 牝4 | 512(-2) | 54 | 美浦 黒岩陽一 | 野中悠太郎 | 4 | 8.3 |
3 | 3 | ギルデッドミラー | 牝5 | 486(+2) | 54 | 栗東 松永幹夫 | D.レーン | 6 | 11.9 |
4 | 4 | スカイグルーヴ | 牝5 | 462(0) | 54 | 美浦 木村哲也 | C.ルメール | 2 | 4.0 |
5 | 5 | クリスティ | 牝5 | 490(+2) | 54 | 栗東 杉山晴紀 | 松若風馬 | 11 | 45.9 |
5 | 6 | ワールドバローズ | 牡4 | 456(+4) | 56 | 栗東 石坂公一 | 和田竜二 | 8 | 16.4 |
6 | 7 | リレーションシップ | 牡5 | 504(0) | 56 | 栗東 須貝尚介 | 戸崎圭太 | 9 | 21.9 |
6 | 8 | シャインガーネット | 牝5 | 480(-2) | 54 | 美浦 栗田徹 | 田辺裕信 | 3 | 6.4 |
7 | 9 | タイムトゥヘヴン | 牡4 | 478(-10) | 56 | 美浦 戸田博文 | 大野拓弥 | 5 | 11.4 |
7 | 10 | ラウダシオン | 牡5 | 518 | 57 | 栗東 斉藤崇史 | M.デムーロ | 7 | 13.8 |
8 | 11 | ビオグラフィー | 牝5 | 486(+2) | 54 | 栗東 藤岡健一 | 内田博幸 | 12 | 79.5 |
8 | 12 | メイケイエール | 牝4 | 470(+2) | 54 | 栗東 武英智 | 池添謙一 | 1 | 3.1 |
注目は何といっても単勝1番人気メイケイエール。望みの大外枠ということもあって出遅れず、掛からず、能力を発揮すれば順当に優勝するだろうと思われてた。逆に言えば、距離延長で掛かってしまえば、馬群に沈み込むこともあり得る、と思われていたのか複勝では良血のスカイグルーヴ(単勝2番人気)に逆転されている。1番人気の穴馬とは言い得て妙かもしれない[1]。
以下、単勝ではシャインガーネット、リフレイムと続くが斜行癖のあるリフレイムがどのような走りを見せるかも注目されていた。ラウダシオンは連覇がかかっていたが、近走で結果が出ず斤量もあってかやや人気は低い。
展開
天気は曇。馬場は良馬場発表。但し、発走時には太陽が見えていた。
ゲートインはビオグラフィーまで順調に完了。ところが、ゲートが開く前、ギルテッドミラーがゲート内で立ち上がってしまう。一度は落ち着いたかと思ったものの、ゲートが開く寸前に再び立ち上がって、レース開始時にいきなり1頭大きく出遅れてしまう。
残りの馬たちは先頭リフレイム2番手にはラウダシオンで順当にレースが進む。そして、注目のメイケイエールも順当に・・・掛かっていた。首を高く上げて口を割って走るメイケイエールと、手綱を引いてそれを必死に抑える池添の姿が向こう正面で見える見える。本場実況の中野雷太アナウンサー(ラジオNIKKEI)は一瞬言葉を選びつつ「折り合いをつけて運びます。」と言ったが、どうみても(当社比)折り合っていない。
そんなこともありつつ、馬群は第四コーナーから直線へ。リフレイムが先頭で進むが…残り400mあたりから、リフレイムが外へ外へとヨレ始める。内から外にわざわざ移動する距離ロスに加え、この時の東京競馬場は前日に降った雨で良馬馬発表ながらわずかに湿っており、それが内側から乾いていたため、外側へと走ったリフレイムは急速に伸びが無くなってしまう。
その一瞬、リフレイムを追って内ラチ沿いを走っていたラウダシオンが先頭に立つが、そこへ外からメイケイエールが強襲。池添の鞭に応えてあっという間にラウダシオンを抜いて先頭へ立つと、ソラを使って池添に鞭を入れられつつも、スカイグルーヴの追い込みも退け1位入線を果たした。2着にはスカイグルーヴ、3着にはタイムトゥヘヴンが入った。
レース結果
着順
着順 | 枠 | 馬番 | 馬名 | タイム(着差) | 推定上がり |
---|---|---|---|---|---|
1 | 8 | 12 | メイケイエール | 1:20.2 | 33.6 |
2 | 4 | 4 | スカイグルーヴ | 1.20.3(1/2馬身) | 33.5 |
3 | 7 | 9 | タイムトゥヘヴン | 1.20.4(3/4馬身) | 33.4 |
4 | 5 | 6 | ワールドバローズ | 1.20.4(クビ) | 33.2 |
5 | 7 | 10 | ラウダシオン | 1.20.5(アタマ) | 34.4 |
6 | 6 | 7 | リレーションシップ | 1.20.5(アタマ) | 33.5 |
7 | 6 | 8 | シャインガーネット | 1.20.5(クビ) | 33.9 |
8 | 2 | 2 | リフレイム | 1.20.7(1馬身) | 34.9 |
9 | 3 | 3 | ギルデッドミラー | 1.20.7(クビ) | 33.5 |
10 | 8 | 11 | ビオグラフィー | 1.20.9(1 1/4馬身) | 34.6 |
11 | 1 | 1 | ミッキーブリランテ | 1.21.0(1/2馬身) | 34.6 |
12 | 5 | 5 | クリスティ | 1.21.1(クビ) | 34.3 |
各種タイム
ハロンタイム | 12.3 | 10.9 | 11.2 | 11.4 | 10.9 | 11.3 | 12.2 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
上がりタイム | 4F - 45.8 | 3F - 34.4 | |||||
前半600m | 34.4 (ミドルペース) |
コーナー通過順
3コーナー | 2 | 10 | 11 | 8 | 12 | 4 | 5 | 7 | 9 | 3 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 6 | |||||||||
4コーナー | 2 | - | 10 | 11 | 1 | 12 | 4 | 9 | 3 | |
8 | 5 | 7 | 6 |
※表中の[ - ]は前の馬から2〜5馬身差がついていることを示す。
払い戻し
単勝 | 12 | 310円 | 1番人気 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
複勝 | 12 | 160円 | 2番人気 | ||||
4 | 150円 | 1番人気 | |||||
9 | 270円 | 6番人気 | |||||
枠連 | 4 | - | 8 | 750円 | 1番人気 | ||
ワイド | 4 | - | 12 | 350円 | 1番人気 | ||
9 | - | 12 | 840円 | 11番人気 | |||
4 | - | 9 | 770円 | 8番人気 | |||
馬連 | 4 | - | 12 | 760円 | 1番人気 | ||
馬単 | 12 | - | 4 | 1330円 | 1番人気 | ||
3連複 | 4 | - | 9 | - | 12 | 3080円 | 5番人気 |
3連単 | 12 | - | 4 | - | 9 | 10470円 | 10番人気 |
レース後インタビュー
池添謙一騎手です。おめでとうございます。
(池)ありがとうございます。
直線、しっかり伸びてくれましたけれども、手応えはどうだったんでしょう。
(池)えー、手応え的には直線向いた時には、あのー、いい形でありましたし、まあ、伸びてきて、伸びて、追い出したらしっかり反応して伸びてくれる馬なので、伸びてくれると信じて追い出したんですけど。はい。
道中の折り合いというのはどうだったんでしょう。
(池)いやー、……きつかったですね。
やっぱ一ハロン違うだけで、ま、本当にメイケイエールにとっては大事な一ハロン延長だって思ってましたし、今後を占う意味でもっていうところだったんですけど。ま、一ハロン違うだけでこんなにしんどかったのはちょっと、あのー、ここ2走より一番きつかったので、何とかなだめながらというか、レース進めたんですけど、ま、僕自身もうまく乗れなかったところはありましたし、ちょっとしんどかったです。
いや、もう実績というかGIのポテンシャルっていうのは、GI取れるレベルの馬だと僕はずっと思ってましたし、後はそのタイトルだけだと思うので、ま、順調に、言って欲しいなと思うんですけど。やっぱり、折り合いが本当に大事になってくると思います。まあ、本当、この馬にとっては一生付きまとうテーマだと思います。はい。
総括
テンで出遅れ、中は掛かり、終いには斜行にソラと、名レースとは違った見どころ沢山のレースである。誰が呼んだか京王杯スリリングカップ。なお、レース結果が1番人気→2番人気→5番人気と来ており、こんなレースでも(人気順だけで見れば)それなりに順当な結果であった、というのも競馬の面白さかもしれない。
メイケイエールは重賞5勝目。賞金額も同世代の牝馬ではソダシに次ぐ2位につけ、掛かりまくっても余裕で勝ってしまう能力の高さを見事に見せつけた。
安田記念の優先出走権を得たメイケイエールは武英智調教師によるとそこには行かず、スプリンターズステークスを目標として「夏は休んで秋の始動戦としてセントウルステークスあたり」を視野に入れている。
また、3着に入ったタイムトゥヘヴンは安田記念に特別登録しているが、賞金不足により残念ながら除外対象馬となってしまっている。
斜めに行ったリフレイムはその後パラダイスステークス(L)を2番手追走から直線で抜け出して(斜めに行きながら)勝利した。
そして出遅れてしまったギルデッドミラーはまさかのダートへ。オヌシナニモノと同じNST賞へ出走することになった。そこを中ほどから追走し、直線の末脚一気で差し切り勝ちを収めることに。
関連動画
ウマ娘風
関連リンク
関連項目
- 競馬
- 京王杯スプリングカップ
- メイケイエール
- 池添謙一
- 阪神大笑点 …… 第60回阪神大賞典。同じようにファンから固有名を付けられてしまったネタレース。
- 120億円事件 …… 第56回宝塚記念。大百科記事は無い(当事馬へのリダイレクト)が、2021年のネット流行語100で43位にランクイン。
脚注
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