京王3000系とは、京王電鉄にかつて在籍していた通勤型電車である。
概要
1962~1991年に井の頭線に投入された形式で、従来のいわゆる「グリーン車」の置き換えのために製造された。5両編成29本(145両)が在籍していた。
実は、90km/h出せたりする。
外観と内装
前面形状は、製造当初流行だった湘南窓を採用。また車体はステンレス製、前面部にはFRPを使用したりと、日本初の試みがなされている。このことから愛称は「ステンプラカー」とされていた。しかし、更新改造された車両はFRPから普通鋼に変えられてしまっていた。そのため愛称は更新により消滅している。(ただし、譲渡された車両に未更新の車両が現存するため、完全に消失したわけではない。)
ちなみに、登場当初は前述のFRPを使用しているということで一部鉄道ファンからは「鉄道模型」と揶揄された。
さらに、井の頭線の特徴といえば誰もが想像できそうな、あの前面にパステルカラーを塗装したカラフルな配色はこの車両が初採用である。全部で7色あり、レインボーカラー(?)の電車として人気だった。以下にその7色の表を示す。
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このように、我々がよく知っている「赤橙黄緑青藍」のレインボーカラーではない。正統派のレインボーカラーが見たいなら上毛電気鉄道へどうぞ。
(…と思ったら、3000系さよなら運転の1年後の2012年10月3日に正真正銘のレインボーカラーの車両が登場してしまった。)
編成ごとの違い
製造時期が長きにわたっているため、編成のグループごとに差異がある。
第1・2編成
3000系最初のグループでどちらとも1962年度投入である。この2編成の主な特徴として、狭幅&片開きドアであることである。他の編成は広幅なのでこの2編成はスリムな印象を与えてくれ、別の編成と比べると見分けがつきやすかった。登場当時は4両編成非冷房であったが、冷房改造の際に1両(デハ3100)を組み込み5両編成となった。(この増結は第15編成まで行われている)その車両が広幅であったが為に、なんとも迷列車臭のする独特な外観になっていた。1996年まで在籍。
第3~9編成
1963年度からの投入。前述した2編成よりいきなり仕様変更され、広幅&両開きドアとなった。後の編成にはこの仕様が適用されて3000系の標準的なスタイルとなった。4両編成非冷房で登場し、後に5両編成冷房車になった。1996~98年まで在籍。
第10~13編成
1967年度投入。4両編成非冷房で登場し、5両編成冷房車に改造された。2000~04年まで在籍。
第14・15編成
1969年度投入。最初から4両編成で落成したのはこのグループが最後である。ただし冷房ははじめからついていた。後に5両編成化されたが、当グループのみ増結車以外の4両全車が分散式冷房なので他編成との見分けは容易であった(第1~第13編成は先頭車のみ分散式冷房)。リニューアルされなかったオリジナルタイプの最新の車体でもある。2004年まで在籍。
第16~19編成
1975年度からの投入。3000系としては初めて5両編成で落成した。2008~09年まで在籍。
第20~29編成
3000系の最後のグループで、1983~84年度に最後まで残っていたグリーン車の置き換えに、1987年度に増発用として投入された。車体構造にはこれまでの編成と異なる軽量ステンレス構造となっているが、このグループのみビード外板とするのは見た目的によろしくない、と考えたようで従来と同じコルゲート外板が採用されている。
編成ごとの新造は1988年投入の第29編成が最後であるが、第22編成の旧クハ3722号の事故廃車により一両新造することとなり、新クハ3722号として1991年に新造(事故復旧)されたのが実質的な最後の車両となる。2008年に退役が開始され、中間車2両は廃車、残り3両は伊予鉄道に移籍した。第28・29編成は3000系引退の最後のときまで残った。
冷房機器
第1~13編成は落成当初非冷房であったため、後に冷房機器が取り付けられた。また、第17編成まで(第14・15編成は除く)は分散式冷房(先頭車)+集中式冷房(中間車)の組み合わせだったが、第18編成以降は編成中すべて集中式冷房となった。
第14・15編成は先頭車・中間車共に他編成とは異なる冷房機器(分散式冷房・おそらく京王5000系の一部で使われた物と同型)である(ただし、後に5両編成化のために組込まれたデハ3100は他編成と同じ集中式冷房)。
床下機器
主な違いは制御方式と台車で、第1~9編成は抵抗制御+発電ブレーキ、第10~15編成の落成当初は抵抗制御+回生ブレーキ(後に界磁チョッパ制御に改造)で、その他の編成と5量編成化用のデハ3100形は界磁チョッパ制御+回生ブレーキとなっている。
台車については、第1~13編成は当時東急車輛が絶賛売り出し中であった超軽量台車・パイオニアIII形を装備していたが、後にこのパイオニアIII形には「バネが硬い台車を履く車両と連結すると車軸抜けが起こる」というとんでもない欠陥があることが判明、そもそもこの台車は乗り心地が悪かった事もあり基本的に他系列と併結をしない当形式でもパイオニアIII形の使用をやめることとなったため第14編成からは普通の台車になり、第1~13編成もM車→T車の順に台車が交換された。
改造
同線1000系投入にあわせて、第16~29編成は1995年頃から車両のリニューアルが実施された。主な改造点として、FRPだった部分を普通鋼化、通常の湘南窓から側面へ前面ガラスが回り込むタイプに改造された、などである。詳細はWikipediaをご覧下さい。
引退
更新対象外となった第1~15編成は2004年までに廃車となり、その後は第16~29編成が残存して1000系と共通で運用された(とは言っても、実際はなぜか急行運用に就く事が多かった)。
しかし、その後京王電鉄が全車両をVVVFインバータ制御車両に統一する方針を打ち出した他、18m3扉で通勤ラッシュ時間帯は邪魔な存在となりつつあったため2008年から1000系20番台に置き換えられ、2011年11月をもって運行を終了、同年12月に京王から除籍された。
ちなみに、中の人によれば2006年時点ではいつ頃当形式を置き換えるのか、置き換えるとすれば1000系を増備するのか全く別の車両を導入するのかすら決まっていなかったようである(上層部だけのトップシークレットだった、という可能性もあるが)。
譲渡
初期型
- 北陸鉄道(12両) - 2両編成×6本に改造。元第1・2編成は2009年頃から使用されていないようである。老朽化の為、元東京メトロ03系に順次置き換えられる。
- 上毛電気鉄道(16両) - 2両編成×8本に改造。先頭車を電装した車両と中間車を先頭化改造した車両の2通りが存在する。老朽化の為、元東京メトロ03系に一部置き換えられる。
- 岳南鉄道(5両) - 1両編成(両運転台車)×3本・2両編成×1本に改造。うち両運転台車1両は車両故障を起こし、修理不能と判断され廃車になっている。
- アルピコ交通(8両) - 2両編成×4本に改造。老朽化の為、元東武20000系に順次置き換えられる。
後期型
- 伊予鉄道(30両) - 3両編成×10本に改造。第20~29編成がこれに該当する。このグループは製造年度が若かったため、VVVFインバータ制御に改造のうえ譲渡され、伊予鉄郊外線の新たな主力車両となっている。
その他
- 第1編成の登場当初、クハ3751-デハ3051,デハ3051-デハ3001の連結器は棒連結器だったが、デハ3001-クハ3701の連結器は密着自連だった。つまり、この時点で将来の5連化を想定していたと思われる。
- デハ3063が民間に引き取られた他、クハ3719が京王重機で保存された後、京王れーるランドアネックスにて静態保存されている。
関連動画
関連コミュニティ
関連項目
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