である。ここでは2について記載する。
概要
2010年に出版された百名哲の短編集『冬の終わり、青の匂い』に収録されているショート漫画の一つで、描下ろしの作品。
死に場所を求めて自殺の名所までやって来た若い女性が、辺り一面ウンコまみれとなってしまったその場所に絶望し、帰路につくバスの中の会話で、その謎が解き明かされる、全6ページのヒューマンドラマ。
ネーム自体はデビュー直後に出来上がっており、いつか描きたいと思っていたものを、短編集の話が来た際、隙を見て完成させ、無理を言ってねじ込んでもらったらしい。
ストーリー
不倫相手の上司に捨てられ絶望の淵に立たされた私は、たまたま古い旅行雑誌を手に取り、『あまりにも美しすぎる、自殺の名所』という題の特集と、その中に載っていた○×岬の古ぼけた写真に魅了される。
写真に“呼ばれた”気がした私は、徐々に「ああ 自分はここで死ぬんだ」という思いに囚われていき、やがて年月を経るにつれその予感は確信へと変化した。
しかし、死ぬつもりで向かった実際の○×岬は、そこらじゅうクソまみれ。
白く乾燥したクソの海に意気消沈した私は、すっかり気分を削がれ、このまま何もせず帰ることを決意。
「何のためにここまで来たのだろう」と、イライラしながら乗車した帰りのバスの中で、私は騒がしい地元の中学生二人組と乗り合わせる。
バカ話に花を咲かせる口の悪いお年頃の中学生に対し、心の中で「うるっせんだよクソガキ」「死ネ」と悪態を吐く私だったが、中学生の話題がこれから○×岬に行くであろう、道路を歩く増田ん家のバアちゃんにシフトし、気になった私は聞き耳を立てる。
中学生曰く、増田のオジさんは○×岬で自殺しており、それ以来、増田ん家のバアちゃんは○×岬でウンコをしているらしい。
「うげー 家でしろやー」「ギャハハハ」「ウンコババア〜〜〜〜」「じゃああしたっから増田のことウンコ増田 呼ぼーぜ」「カズにも教えるべ」と、罵倒を並び立てる中学生をよそに、増田ん家のバアちゃんの真意を理解した私はポタポタと涙を流す。
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