任天堂法務部単語

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任天堂法務部とは、任天堂株式会社が誇る最終兵器である。

概要

一般企業における法務部とは、企業に関する法律事務を請け負う部署であり、コンプライアンスや訴訟対応などを担当する。

日本を代表する企業の一つである任天堂にも法務部は存在していたが、任天堂が関わった訴訟や裁判などでは任天堂側がことごとく勝訴しており、「任天堂法務部は最強」という伝説ゲームファンの間でまことしやかに流れることになった。

ただし、任天堂は会社の構造を開していないので詳細は確認はできないが、少なくとも2007年以前に任天堂法務部は任天堂知的財産称している。それでも任天堂知的財産部の強さは依然として変わっていない。むしろ権利関係一本に絞られて強くなってるんじゃないかな?

しかし全戦全勝というわけではなく、敗訴・若しくは限りなく敗訴に近い和解に至った事例もある。

著名な訴訟歴

「ドンキーコングはキングコングのパクリ」裁判

ドンキーコングキングコングパクリ」とアメリカユニバーサル社から訴えられた事件。
法務部の調によりユニバーサル社がキングコング映画リメイク権を取得していなかった事が発覚し、任天堂ユニバーサル社を名誉棄損罪で逆提訴。ユニバーサル社は敗訴し、任天堂160ドルの賠償を支払った。

なお、その際の弁護士の一人にカービィがいた。もちろん某ピンクの悪魔のことではなく、「ジョン・カービィ」という名前人間である。凄腕の弁護士であったらしく、出番が来た最初の一言で相手にキングコング著作権が存在しないことを明、しかも逆にユニバーサルライセンスしていた「キング・コング」のゲームドンキーコングパクリであるという事を裁判所に認めさせた。

詳細な経緯はこちらを参照→ジョン・カービィ

ユリ・ゲラー裁判

超能力者として一世をしていたユリ・ゲラーが、ポケットモンスターキャラクターユンゲラー」は自分の権利を侵しているキャラクターだと訴訟を起こした事例。
ユリ・ゲラーユンゲラーのようにスプーンを曲げるよう迫った」説が広まっているが都市伝説の類である。ユンゲラーの名称・商品名が日本国内でしか使われておらず、アメリカ内での訴訟が効とみなされ敗訴している。

なお、ダイヤモンド・パール以降のポケモン本編において、ユンゲラーはかわらずの石を持たせて通信交換しても強制的に進化するという特殊な仕様になっており、デフォルト名のままの「ユンゲラー」という名前ポケモン海外ソフトに送る事は不可能となっている。また、ポケモンカードにおいてはカードeシリーズ(2002年)での収録からスカーレット&バイオレット(2023年)での収録まで、実に21年もの間ユンゲラーカード実装されていなかった。

ティアリングサーガ裁判

エンターブレインから発売されたゲームティアリングサーガ ユトナ英雄戦記」が任天堂ゲームファイアーエムブレムシリーズと酷似したゲームであると著作権法及び不正競争防止法違反だとして、エンターブレイン及び開発元のティルナローグを相手に訴えを起こした事例。任天堂インテリジェントシステムズと共に提訴した。詳細は「ティアリングサーガ」の単語記事を参照のこと。

結果としては任天堂の訴えは認められなかったものの、裁判ではエンターブレイン側に対して弁護士費用などを含めた売上額の一部支払いが命じられ、エンターブレイン側もそれに応じた事で事実上の和解が成立した。

ニンテンドーDS用マジコン裁判

ゲームソフトデータコピーするマジコンにまつわる裁判。厳密には任天堂のみの関わりではないが記載する。マジコン製造業者へ訴訟を起こしたゲームソフトメーカーは数多く、任天堂はその筆頭といえる。

任天堂2008年にもマジコン業者へ訴えを起こしており、その際にマジコンの違法化が内で初めて認められた。(この時内でのマジコン製造が禁止される)近年ではDSソフト開発したメーカー33社と共にマジコン業者へ輸入販売差し止めを請する裁判を起こし、2013年7月東京地裁による判決としてマジコンの輸入販売差し止めと賠償約9000万の支払いを命じた。
その後2014年6月の二審でも知的財産高等裁判所は一審判決を支持、そしてこれに対する上告を最高裁判所2016年1月に棄却。マジコン業者側が敗北し、マジコン輸入販売行為の差止及び総額9562万5千円の損賠償が確定した。

3DS裸眼立体視特許裁判

ソニー社員であるトミタ・テクノロジーズの富田次郎氏が「ニンテンドー3DSに搭載されている裸眼立体視の仕組みは私が取得した特許を侵している」と訴えを起こした事例。

同氏は2003年任天堂本社を訪れ裸眼立体視の仕組みをプレゼンした所、何の連絡もなしにニンテンドー3DSにその仕組みが使われたとして賠償を請ニューヨークで行われた第1審では2014年1月裁判所任天堂側に対して賠償29億円支払いを命じた。任天堂側は控訴し、2014年12月連邦巡回控訴裁判所は一審判決を破棄し差し戻し審を命じた。

その後2016年4月25日富田氏独自の特許ではない等の理由で上記の特許かったと判決が下り、任天堂側が逆転勝訴している。

「マリカー」裁判

公道カートの「マリカー」を運営する株式会社マリカー現在の商号は株式会社MARIモビリティ開発)に対して、任天堂知的財産権の侵行為の差し止めと損賠償をめて提訴した事例。

公道カートとは要するにナンバープレートをつけたゴーカートなわけだが(詳しくは当該記事を参照)、マリカー社はその公道カート任天堂キャラクターコスチュームセット外国人旅行者向けに貸し出し、渋谷秋葉原などに営業所を置いて一大勢を築いていた。

堂々と屋号にマリオカート略称である「マリカー」を掲げているうえに、店舗にはマリオ像を設置するなど死ににいってるとしか思えない任天堂アピール外国人ハートガッチリ掴み、SNS割引を設けて外国人旅行者に抜群の知名度を持っていたサービスだった。さらに2016年6月には、自動車やその貸与、広告などの業種における「マリカー」の文字商標を取得してしまった。

当然こんなことをしていて任天堂法務部が黙っているはずがなく、2016年9月には特許庁にマリカー社が登録した「マリカー」の商標取り消しをめる異議申し立てを起こした。しかし、2017年1月特許庁は任天堂側のを認めず、異議申し立てを棄却した。

これを受けて任天堂は、2017年2月不正競争防止法違反および著作権法違反して訴訟を起こした。その結果、2018年9月不正競争防止法マリカー社敗訴の東京地裁判決が下り、マリカー社は不正競争行為の禁止(マリオ等のキャラクターコスチュームを貸与することの禁止)と1000万円の損賠償の支払いを命じられた。一方、著作権法違反については判決文exitにおいて「差止めの必要性を認めるに足りる立はされていない」とされた。

おこの係争中、2018年3月22日マリカー社は株式会社MARIモビリティ開発(以下、MARI社)に称し、地裁判決が出た後も営業を継続。またMARI社はこの地裁判決を受け、2018年9月28日に知財高裁に控訴。任天堂側も判決の一部(外国語サイトでのmaricarドメインの使用容認など)を不として控訴した。[1]

2019年5月、知財高裁は「MARI社の行為は任天堂の営業上の利益を侵する」という中間判決を下し、一審で認められなかった部分も含めて任天堂が全面勝訴する形に。引き続き損賠償の額を決めるための審理が続き、2020年1月MARI社に対して損賠償5000万円の支払いを命じる終局判決が言い渡された。MARI社はこれを不として上告を試みたが、最高裁判所2020年12月に上告を棄却したため、任天堂の勝訴が確定した。[2]

上述の勝訴確定に先立ち、MARI社が保有していた2件の商標登録「マリカー」に対して任天堂が登録の効をめ、特許庁に請していた審判は、2020年10月19日MARI社による商標登録をいずれも効とする審決が確定した。(参照:任天堂のニュースリリースexit

コロプラ裁判

スマートフォンアプリゲームメーカーであるコロプラが、任天堂が取得していた5件の特許として約44億円(+遅延)の賠償及びアプリ白猫プロジェクト」の差し止めを要したと2018年1月10日表した事例。コロプラ公式発表によると2016年9月任天堂より特許権の侵摘を受け、約1年以上にわたり任天堂特許権の侵はない旨を説明してきたとのこと。またコロプラは「今回の件でアプリ配信停止等はあり得ない」とユーザー向けに明を発表している(ゲーム公式サイトのニュースexit)。

2018年2月18日に両者の第一回口頭弁論が行われ、任天堂が侵されたとする5件の特許の詳細が開された。開された特許は下記の通り。

  1. タッチネルジョイスティックを操作する技術の特許
  2. タッチネルを長押しした後、を離すと敵キャラを攻撃する操作の特許
  3. スリープから復帰する時に確認画面を表示し、スリープ直前の画面から再開する技術の特許
  4. ユーザー間で相互フォローし、通信や協力プレイを行う仕組みの特許
  5. 障害物でプレイキャラクターが隠されてもシルエットで表示する仕組みの特許

2018年4月23日の弁論準備手続の際には新たに侵されたとされる6件特許が追加(相手が自分のゲーム機フォローしていてもなくても、一方的に相手のゲーム機フォローすることができる仕組みの特許)された事に加えて、コロプラ側に対して適当に答えて時間稼ぎするな(要約)」という類の回答も開された。2018年6月15日に第二回口頭弁論が行われ、以降も口頭弁論は続き、後述する和解まで約3年半もの期間を要した。

この間、白猫プロジェクトは上述の特許に抵触するとみられるゲーム仕様の変更を実施した(2020年2月の変更告知exit

コロプラ2021年2月12日、原告の任天堂が提訴後の時間経過を理由に、前年12月21日付で賠償を49億5千万円(+遅延)に増額したことを報告した(コロプラの開示情報exit)。同時に白猫プロジェクトユーザーに対して「特許事実は一切ないものと確信」しつつも「訴訟がたとえどのような結果になっても仕様変更等を通じて、サービス継続」する、という2018年1月コメントを繰り返した(ゲーム公式サイトのニュースexit)。

コロプラ2021年4月21日、原告の任天堂が提訴後の時間経過を理由に、同13日付で賠償を96億9千9万円(+遅延)に増額したことを報告した(コロプラの開示情報exit)。開示情報の中でコロプラは「当社のゲーム任天堂特許権を侵する事実は一切いものと確信しており、その見解の正当性をしていく方針」を繰り返し表明した。

その後2021年8月4日に、コロプラ任天堂に対し、任天堂特許についての今後のライセンスを含めた和解総額33億円を支払い、任天堂が訴えを取り下げることで和解に合意したと両社が発表した(任天堂のリリースexitコロプラのリリースexit同開示情報exit)。事実コロプラ特許を認めた形となる。なお、和解成立の発表時点で白猫プロジェクトの差し止めはく、サービス継続する(ゲーム公式の告知exit)。

関連動画

任天堂法務部に関するニコニコ動画動画なんてありま……せん?。exit_nicovideo

外部リンク

スペシャリストをめざせ!ゲームを支えるお仕事特集「法務のお仕事」exit任天堂公式サイト

関連項目

脚注

  1. *「任天堂vsマリカー」判決文公開、詳細明らかに…著作権侵害には踏み込まず - 弁護士ドットコムexit
  2. *「マリカー」訴訟、任天堂側の勝訴が確定。MARIモビリティ開発側に5,000万円の賠償 - GAME Watchexit
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任天堂法務部

1451 ななしのよっしん
2024/01/24(水) 04:23:44 ID: bvM8nhnShm
ニコニコ大百科包摂主義に基づき記事を編集しましたが、
付き編集者一方的に差し戻されたので、Rev.3228889の編集意図を書き込んでおきます。

タイトルで、SNS上で法務部は存在しないという言説を見かけるようになった事と、
記事内では「任天堂にも法務部は存在していたが」と過去形で記載されていて存在すると断定していない事、
2007年以前に任天堂法務部任天堂知的財産部と称している」と古い情報が記載されている事から、
任天堂公式ホームページ内の採用情報ページに「法務部所属の社員のページが掲載されている事」
「知財部所属の社員のページが別途ある事」を情報として追記した方が良いと判断して追記を行いました。

個人的に今回の付き編集者には、ニコニコ大百科包摂主義を推奨している事を理解されていないように受け取れる短絡的な対応をされてとても残念に思っています。
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1452 ななしのよっしん
2024/01/24(水) 07:31:34 ID: fR7RYhY9B4
馬主と並ぶゲーマー御用達の最強存在
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1453 ななしのよっしん
2024/01/25(木) 00:39:23 ID: VseJwEncZz
>>1451
「終わりを告げた」とかのフレーズがウケなかったんじゃないかな…

あと、やり方が違う気がする
元の文章を残したまましものにして「正しくはこう!」と、訂正してやるぜするのではなく
「正しく内容を伝える文章にする」べきだと思う

そもそも18/02/23 13:00編集者れもん氏のバージョン
元の文章の「存在する」をそのまま「存在した」に書き換えただけで済ませたのが原因だとは思うが、今の文章チグハグなのよ

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1454 ななしのよっしん
2024/01/25(木) 01:02:10 ID: VseJwEncZz
直すならこんな感じだろうか



任天堂法務部とは「任天堂株式会社が誇る最終兵器」というネットミームである

概要
任天堂が関わった訴訟や裁判などでは任天堂側がことごとく勝訴していたイメージがあったことから
ゲームファンの間では「任天堂法務部最強」という伝説が広まっている
その結果、任天堂に関する「何か」が起こるたびに
任天堂法務部が〜」等のフレーズと共に言うネットユーザーが一定数出るようになっている

(省略しています。全て読むにはこのリンクをクリック!)
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1455 ななしのよっしん
2024/01/26(金) 03:02:26 ID: zHUaqLvCK0
今回の騒動でファンボーイ異常性が更に…
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1456 ななしのよっしん
2024/01/28(日) 14:41:17 ID: CYpzWCWWjB
正直今法務部が動くとしたら龍が如く8のほうだと思うんです(スジモンバトルを見ながら)
進化させたときのBGM爆笑したけど
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1457 ななしのよっしん
2024/02/03(土) 15:07:19 ID: VgJARjU5aF
龍が如くスジモンバトルに合わせてヤクザも・・・
ええい、みかけるな。
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1458 ななしのよっしん
2024/02/03(土) 15:23:22 ID: i83dgh3oas
今のセガ任天堂と仲が良いから事前許可を取っている可性は有りそうだけどね。
エンディングスタッフロールで©任天堂とか©ポケモンとか出てきてるなら確実に許可取ってるはず。

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1459 ななしのよっしん
2024/03/01(金) 23:39:35 ID: BhBjPm1FQ3
その辺に関しては、勝ち負けで言えばほぼ負けだったと言える「ティアサガ裁判」の結果があるからだな
皆勘違いしすぎだが裁判は法律の正しい判断基準を示すものであって当事者同士のバトルではないので、一回判決という判断基準が出た以上、他の類似の事例にも適用される

あの裁判で最終的に認められたのは「ファイアーエムブレムの続編であるかのように喧伝したこと」のみで、他は退けられている
なので、裏を返せば「明らか元ネタがあっても別物だとする限りは、かなり似たようなゲームでもOK」という基準が示された

任天堂だと例えばゼノシリーズなんかが恩恵を受けている
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1460 ななしのよっしん
2024/03/02(土) 13:39:50 ID: CYpzWCWWjB
むしろ相当気を使って過去作から差別化してた気がするけどな>ゼノブレイド
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