概要
1971年、千葉県松戸市生まれ。東北大学法学部卒。1996年『悪党たちが目にしみる』(後の『陽気なギャングが地球を回す』の原型)でサントリーミステリー大賞佳作となるが、このときは出版してもらえずデビューできなかった[1]。
2000年に『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。
第4作の『重力ピエロ』でブレイクし、人気作家に。以降、2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で日本推理作家協会賞、2008年『ゴールデンスランバー』で山本周五郎賞と本屋大賞を受賞。本屋大賞では、第1回から第6回まで毎回トップ10にノミネートされるなど、ぶっちぎりで最多のノミネート回数を誇る。2020年『逆ソクラテス』で柴田錬三郎賞を受賞。
直木賞ではこれまで5回に渡って落とされ続けており(第129回『重力ピエロ』、第131回『チルドレン』、第132回『グラスホッパー』、第134回『死神の精度』、第135回『砂漠』)、6度目の正直なるかと思われた『ゴールデンスランバー』は多忙を避けて候補入りを辞退した。それ以降は候補入りしていない。
主に若者、女性からの人気が非常に高いベストセラー作家。作風は洋画のような登場人物達の軽妙な語り口が特徴で、周到に張り巡らされた伏線を終盤で一気に回収していく構成の作品が多い。本人によると、あまり先を考えずに戻りながら書いているとのこと。
『フィッシュストーリー』までと『オー!ファーザー』が第一期、『ゴールデンスランバー』から『夜の国のクーパー』までが第二期と区別される[2]。第二期では実験的な作品をいろいろ出していたが、不評だったためかその後は元の方向性に戻り気味。
東北大学出身で仙台在住ということもあって、作品の多くが仙台を舞台としている。また、作品にシリーズものはほとんど無いが、ある作品の主要キャラが他の作品にちらっと登場するような微妙な作品間のリンクが多く、それを見つけるのもファンの楽しみのひとつ。
作品の多くが映画化されており、特に『アヒルと鴨のコインロッカー』の映画版は評価が高い。『マリアビートル』はハリウッドにて、ブラッド・ピット主演、『Bullet Train』のタイトルで2022年8月全米公開。日本でも『ブレット・トレイン』として9月に公開された。
作風からブレイクした頃には村上春樹チルドレンという扱いをされることが多かったが、本人は島田荘司と連城三紀彦の熱烈なファンで、特に村上春樹から強く影響を受けたわけではないそうである。
最近は子供の影響で『デュエル・マスターズ』にハマったらしく、本人曰く「デュエマのことを考える合間に原稿を書いている」とかなんとか。『フーガはユーガ』に登場するカードゲームのモデルはデュエマらしい。今一番欲しいのはデュエマの対戦をしてくれる相手とのこと。
本家デュエマにも、2020年1月発売のDMEX-08「謎のブラックボックスパック」に伊坂の『死神の精度』とコラボしたカード《死神の精度 レイン》が収録された。
作品リスト
マークは記事のある作品。
小説
- オーデュボンの祈り
(2000年、新潮社→2003年、新潮文庫)
- ラッシュライフ (2002年、新潮社→2005年、新潮文庫)
- 陽気なギャングが地球を回す (2003年、祥伝社ノン・ノベル→2006年、祥伝社文庫)
- 重力ピエロ (2003年、新潮社→2006年、新潮文庫)
- アヒルと鴨のコインロッカー (2003年、東京創元社→2006年、創元推理文庫)
- チルドレン (2004年、講談社→2007年、講談社文庫)
- グラスホッパー (2004年、角川書店→2007年、角川文庫)
- 死神の精度 (2005年、文藝春秋→2008年、文春文庫)
- 魔王 (2005年、講談社→2008年、講談社文庫→2023年、講談社文庫[新装版])
- 砂漠 (2005年、実業之日本社→2008年、ジェイ・ノベル→2010年、新潮文庫→2017年、実業之日本社文庫)
- 終末のフール (2006年、集英社→2009年、集英社文庫)
- 陽気なギャングの日常と襲撃 (2006年、祥伝社ノン・ノベル→2009年、祥伝社文庫)
- フィッシュストーリー (2007年、新潮社→2009年、新潮文庫)
- ゴールデンスランバー (2007年、新潮社→2010年、新潮文庫)
- モダンタイムス (2008年、講談社→2011年、講談社文庫[上下巻]→2023年、講談社文庫[新装版・上下巻])
- あるキング (2009年、徳間書店→2012年、徳間文庫→2015年、新潮文庫[完全版])
- SOSの猿 (2009年、中央公論新社→2012年、中公文庫)
- オー!ファーザー (2010年、新潮社→2013年、新潮文庫)
- バイバイ、ブラックバード (2010年、双葉社→2013年、双葉文庫→2021年、双葉文庫[新装版])
- マリアビートル (2010年、角川書店→2013年、角川文庫)
- PK (2012年、講談社→2014年、講談社文庫→2023年、講談社文庫[新装版])
- 夜の国のクーパー (2012年、東京創元社→2015年、創元推理文庫→2022年、創元推理文庫[新装版])
- 残り全部バケーション (2012年、集英社→2015年、集英社文庫)
- ガソリン生活
(2013年、朝日新聞出版→2016年、朝日文庫)
- 死神の浮力 (2013年、文藝春秋→2016年、文春文庫)
- 首折り男のための協奏曲 (2014年、新潮社→2016年、新潮文庫)
- アイネクライネナハトムジーク (2014年、幻冬舎→2017年、幻冬舎文庫)
- キャプテンサンダーボルト (2014年、文藝春秋→2017年、文春文庫[上下巻]→2020年、新潮文庫nex) ※阿部和重との合作
- 火星に住むつもりかい? (2015年、光文社→2018年、光文社文庫)
- ジャイロスコープ (2015年、新潮文庫)
- 陽気なギャングは三つ数えろ (2015年、祥伝社ノン・ノベル→2018年、祥伝社文庫)
- サブマリン (2016年、講談社→2019年、講談社文庫)
- AX (2017年、KADOKAWA → 2020年、角川文庫)
- ホワイトラビット (2017年、新潮社→2020年、新潮文庫)
- クリスマスを探偵と (2017年、河出書房新社) ※絵本
- フーガはユーガ (2018年、実業之日本社→2021年、実業之日本社文庫)
- シーソーモンスター (2019年、中央公論新社→2022年、中公文庫)
- クジラアタマの王様 (2019年、NHK出版→2022年、新潮文庫)
- 逆ソクラテス (2020年、集英社→2023年、集英社文庫)
- ペッパーズ・ゴースト (2021年、朝日新聞出版→2024年、朝日文庫)
- マイクロスパイ・アンサンブル (2022年、幻冬舎)
- 777 トリプルセブン (2023年、KADOKAWA)
- 楽園の楽園 (2025年、中央公論新社)
エッセイ
関連動画
関連項目
- 小説家の一覧
- 仙台市
- 吉川英治文学新人賞 / 日本推理作家協会賞 / 山本周五郎賞 / 本屋大賞
- 島田荘司 / 連城三紀彦
- 中村義洋 - 伊坂作品の映画化を4作手掛けている。
- 鉄平 - 『ゴールデンスランバー』が映画化された際、スポーツ新聞で原作者・伊坂氏の顔写真としてなぜか鉄平の顔写真が使われた。
- デュエル・マスターズ
- ブレット・トレイン
脚注
- *サントリーミステリー大賞の「佳作」は実質的に「最終選考落選」の意味で、同様にサンミスからデビューできなかった作家に横山秀夫がいる。ちなみにそのときの大賞受賞者は僅か3作で消え、読者賞受賞者ももう10年以上新刊が出ていない。伊坂は翌年『アヒルと鴨のコインロッカー』というタイトルの原稿を再びサントリーミステリー大賞に投稿しているが、これは最終選考にも残れなかった。後に刊行された同題の作品の原型らしい。
- *執筆順での区別なので、刊行の遅れた『オー!ファーザー』(執筆は2006年)だけ第二期の途中で刊行されることになった。なお、『残り全部バケーション』以降が第三期なのかどうかは不明。
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