伊藤匠(いとう たくみ)とは、将棋棋士である。2002年10月10日生まれ。東京都世田谷区出身。宮田利男八段門下。棋士番号324。
棋歴
小学生の頃から、同学年の藤井聡太同様に全国的に有名な強豪で、小学4年生のときにはNHKで特集されたこともある[1]。小学5年生のときに奨励会に入会。2020年前期の三段リーグで最終日を待たずして四段昇段を決め、17歳でプロデビューを果たす。同学年の中学生棋士のおかげで感覚が麻痺しがちだがこれでもプロ入り年齢としては若く[2]、有望な部類とされる年齢である。
2021年、新人王戦で優勝。王位戦では自身初の挑戦者決定リーグ進出を果たしている。順位戦でもC級2組を9勝1敗で1期抜けし、藤井聡太を抑えて将棋大賞の勝率一位賞を受賞。これらの活躍により新人賞も受賞した。
2022年は竜王戦6組ランキング戦で優勝し、決勝トーナメントに進出。ランキング戦決勝の相手は伊藤の半年後にプロ入りを果たした同学年の高田明浩であった。棋王戦でも挑戦者決定トーナメントに進出すると、永瀬拓矢らを破る活躍でベスト4に進出するも、準決勝で羽生善治に、敗者復活戦で藤井聡太に敗れた。
2023年度は前年の6組に引き続き、竜王戦5組ランキング戦で優勝。2期連続の竜王ランキング戦昇級により、六段に昇段した。さらに本戦でも勝ち上がり、挑戦者決定戦では永瀬拓矢に2連勝。初のタイトル挑戦を決め七段に昇段した。竜王戦七番勝負では同学年の藤井竜王に挑むが、ストレートで跳ね返され、課題を残す結果となった。
しかしその他の棋戦では変わらず高勝率を記録。棋王戦では敗者復活戦に回りながらも挑戦者決定二番勝負でようやく九段になったばかりの広瀬章人相手に2連勝し、早くも自身2度目のタイトル挑戦を決めている。順位戦では前年度惜しくも足踏みをしたC級1組で8勝2敗を挙げ、順位差もありB級2組昇級を決めた。
また、翌年度に番勝負開幕を迎える叡王戦でも挑戦者決定戦で永瀬を破って三度タイトル挑戦を決めるなど、充実した年度となった。年度明けの第51回将棋大賞では優秀棋士賞を受賞している。
2024年度、迎えた叡王戦五番勝負では第1局こそ敗れたものの第2局で勝利。これでプロ入り後の対藤井の連敗を11で止めると、第3局も難解な終盤を制して連勝。藤井を初めての一方的なカド番に追い込む。第4局では藤井に十全な指し回しを許して完敗するも、最終局ではまたしても劣勢から終盤で巻き返して勝利。3勝2敗で初タイトルの叡王を獲得し、藤井聡太を初めてタイトル戦で敗退に追い込んだ棋士となった。
順位戦ではB級2組で8勝2敗を挙げ、B級1組昇級を決めている。
2025年度、叡王戦で挑戦者として斎藤慎太郎を迎えて初の防衛戦に挑むと、3勝2敗で初防衛に成功。タイトル2期獲得の規定によって八段に昇段している。王座戦では挑戦者決定戦で羽生善治を降し、およそ1年半ぶりのタイトル挑戦を決めている。
王座戦五番勝負では藤井王座を再度カド番(藤井から見て1勝2敗)に追い込むと、そこから1勝を返されたものの最終局を制して奪取。二冠となったほか、タイトル3期獲得の規定で九段に昇段している。
棋風・人物
居飛車党で、プロ入り直後のインタビューでは得意戦法は相掛かりと答えていたが、2023年度から角換わりの採用が多くなっている。いずれの時期においても最新形を指しこなす棋界きっての研究家として名高く、渡辺明九段曰く「伊藤七段の棋風は藤井竜王に似ていて、序盤から突き詰めていって理解度が深い。現代将棋の最新形をリードしているところでは藤井竜王、永瀬王座の次に伊藤七段の名前が挙がります」とのこと。その藤井、永瀬と合わせて「AI研究三強
」とも。
東京出身ながら中日ドラゴンズのファン。父親が名古屋出身であり、その影響からか。
昇段履歴
- 三段(2017年12月17日)
- 四段(2020年10月1日)・・・第67回三段リーグ1位
- 五段(2022年3月10日)・・・順位戦C級1組昇級
- 六段(2023年4月20日)・・・竜王戦ランキング戦連続昇級
- 七段(2023年8月14日)・・・竜王挑戦
- 八段(2025年6月14日)・・・タイトル2期獲得
- 九段(2025年10月28日)・・・タイトル3期獲得
関連リンク
関連項目
脚注
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