概要
1989年生まれの神奈川県出身、大学時代の2014年に渡米してジャーナリズムと撮影技術を学び、翌年に日本に帰国後はフリーランスの記者として活躍する道を選ぶ。
準強姦被害
当時TBSの政治記者の山口敬之と仕事の紹介に関する打ち合わせで都内で会食した。山口敬之はTBSで在職25年の大ベテランでワシントン支局長を務めていた。伊藤詩織は山口敬之との会食中、酒が入ると急速に酩酊してフラフラになり、山口敬之によってタクシーに押し込められて酩酊したままホテルに連れ込まれ強姦被害を受けた。これが事実ならば完全な準強姦行為である。
準強姦にあった翌日、伊藤詩織は警視庁の高輪警察署に被害届を出そうとしたが、担当刑事から『ココで被害届を出したら、貴方が記者として活動していくことは難しくなりますよ』と被害届提出を踏みとどまるように進言されたが、伊藤詩織は『ココで事実に蓋をしてしまえばジャーナリストの精神に背くことになる』と考えた。そして記者としての道を絶たれる覚悟を決めて被害届を提出した。
逮捕状から逮捕中止
伊藤詩織の覚悟を受け取った警察は山口敬之の逮捕状を取り、成田空港でやってくる山口を待ち伏せていた。しかし突如として警視庁から逮捕の中止が命令され、逮捕状は警視庁の手で握り潰された。担当刑事は 山口の逮捕が中止になったことを伊藤に報告、伊藤は当然『納得いきません!』と抗議したが担当刑事は『私もです!』と悔やんでいた。伊藤はこのとき全身の力が抜けたと後述している。
逮捕中止の裏側
逮捕を中止させたのは警視庁刑事部長の中村格(いたる)である。中村格は安倍首相と親交が深い人物で山口敬之もまた安倍首相の親交が深い半ば専属の記者であった。いわゆる安倍首相のお友達の関係だったのである。中村格はあろうことか、安倍首相のお友達の記者を守るために逮捕状の執行停止を命令、逮捕状を握り潰して逮捕を中止させてしまったのである。その後、中村格は警察庁長官官房長、さらに警察庁長官にまで一気に出世してしまう。警察庁は行政府で行政府のトップは安倍晋三、中村格の背後に何があったかは明白である。中村格は週刊新潮の取材で逮捕状の執行停止を命じたことは認めたが、政府の介入に関しては否定した。つまり安倍晋三に忖度して強姦被害の逮捕状を握り潰したということになる。
落胆、そして覚悟
後日、警視庁から示談に向けて専門の弁護士が紹介されたが、既に覚悟を決めていた伊藤は示談を拒否。もう警察に訴えても無駄であることを痛感した伊藤は世間に訴えることを決めた。これは自分が山口敬之に強姦されたことはもちろん、その経緯までも全てを公表することになってしまう。このことで自分の尊厳は世間に晒されてしまうことになるが、全てを覚悟の上であった。女性の性被害を訴えることに全てを賭けたのである。
検察審査会
警察によって逮捕状が握り潰され、被害届は嫌疑不十分で不起訴になった。伊藤は納得いかず検察審査会に訴えたが、検察審査会でも2015年9月に不起訴相当の判決が出て起訴にすら至らなかった。
この一件で山口敬之は勝利を確信して『一連の経過において私の犯罪行為があった認定は一件もなく、今回の案件で完全に終結した。伊藤詩織によって私の名誉は著しく傷つけられたので法的措置を検討します。』として、逆に伊藤詩織を名誉棄損で訴えることを示唆した。伊藤にしてみれば聞くに堪えがたい屈辱だったと思われる。
誹謗中傷
自身の強姦被害を世間に訴えた伊藤詩織には世間の無関心とバッシングが待ち受けていた。
相手がTBSの大物記者で安倍首相との親交も深い人物ということもあり、多くのマスコミは報道事実をニュースにした以外は沈黙してしまい、山口と親交が深いマスコミや著名人の関係者は強姦被害を訴えた側の伊藤をバッシングした。仕事を紹介してもらう打ち合わせという山口に対する大きく下の立場であったことを揚げ足に取られ、単なる枕営業だろうと揶揄して嘲笑う内容の投稿がネットであふれ、逆に伊藤が強姦被害をでっちあげて山口を訴えたというデマがネット上で広がり、伊藤詩織は窮地に立たされた。
杉田水脈
著名人のなかで伊藤詩織に対してバッシングを行った人物も少なくない。
特に現職国会議員の杉田水脈(自由民主党)は、伊藤詩織の訴えを捏造と見なした前提のツイートをいくつも投稿して伊藤をバッシングした。現職国会議員のこの行為には批判が集まり炎上したが、杉田水脈はこのように反論している。
これは政治の利害が一致するとか友達だからではなく、司法の判断に従ってのことです。
山口氏は東京地検が不起訴としただけではなく、検察審査会でも不起訴相当になっています。
この司法判断がおかしいと言う方は、その根拠を教えてください。
言うまでもないが、嫌疑不十分で不起訴は検察の判断であり司法の判断ではない。検察は行政府の組織で検察の権力は行政権であり、検察権の一部は司法に関わるため準司法とも言われるが、断じて検察は司法ではない。まず第一に司法の場に上がっていないのである。検察が不起訴としたのは嫌疑不十分であり、山口敬之の無罪を証明したわけではない。それに山口敬之の犯行は当初は警察も認めていて逮捕状をもって捜査官が山口を待ち伏せていた事実、そして突如として中村格警視庁刑事部長によって逮捕が中止されて逮捕が中止になったと言う不審極まる事実がある以上は嫌疑不十分で不起訴を疑えと言う方が無理である。
私は性犯罪は許せない!
無理やり薬を飲まされたり、車に連れ込まれて強姦されるような事件があってはならないし、
犯人の刑罰はもっと重くするべきと考えています。
が、伊藤詩織氏の事件が、それらの理不尽な、被害者に全く落ち度のない強姦事件と
同列に並べられていることに女性として怒りを感じます。
あくまで伊藤詩織の訴えは捏造で強姦をでっちあげた狂言だとして、強姦事件として扱われることに怒りを感じると、伊藤に対する激しい怒りをぶちまけている。警察が被害届を握り潰して逮捕を中止させて不起訴なんてことが起きていることは無視され、あくまで伊藤の捏造であると伊藤を糾弾していた。これらのツイートは後に民事訴訟で伊藤の訴えが認められて第一審で勝訴した後に削除されたが、現在も当時のツイートはスクリーンショットなどで画像が記録されている。
その他にも杉田水脈は伊藤詩織の訴えを捏造扱いして非難するツイートに複数回「いいね!」を推してツイートを拡散する手助けをしていた。
はすみとしこ
杉田水脈のポスターでイラストを描いたりと、杉田水脈と関係の深かったイラストレーターのはすみとしこは、杉田水脈の主張に同調して伊藤詩織の準強姦被害を『枕営業大失敗!』と揶揄して笑い者にするイラストを描いて、ニコニコ生放送の日本の病巣チャンネル第33回で生放送で出演した際に公開した。
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https://twitter.com/oioiabc2016/status/967217273403404288
当時の生放送でははすみとしこ以外に現職国会議員の杉田水脈と長尾たかし、その他に作家の千葉麗子、月刊Hanadaの編集長の花田紀凱、ジャーナリスト作家の門田隆将、政治評論家の加藤清隆が出演。はずみとしこのイラストを見て全員が笑っていて、この行為を窘める者は誰もいなかった。
その後もはすみとしこは伊藤詩織を模した風刺イラストを次々に公開し、ヤマロ沙織ちゃんおしりちゃんシリーズと題して大々的にネットで公開した。本人は『ヤマロ沙織は架空の人物なので何ら問題ない』としている。
大澤昇平
東京大学大学院の元准教授、株式会社Daisyの社長。東京大学の准教授にとしては史上最年少である。
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https://twitter.com/Ohsaworks/status/1275699694874886144
その大澤昇平が伊藤詩織に向けて行ったツイートが上記の内容である。
伊藤が偽名であるという暴露をしたツイート内容で、平成22年当時の破産者として公開された名前に『伊藤詩織こと芦暁楠』として公開された破産者の名前を画像を載せて公開し、伊藤詩織が実は通名の中国人であったかのように言っているのである。
しかし、この伊藤詩織こと芦暁楠という人物は上記の平成22年の6年前にも自己破産をしているという情報がネット上で広がり、2回も自己破産をしている在日外国人だといって伊藤へのバッシングが拡散された。
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https://twitter.com/IskU1/status/1207470794806185984
少し考えれば自己破産をした当時の伊藤の年齢は平成22年の時点で22歳であり、その6年前に1回目の自己破産をしているとしたら16歳で自己破産をしているということになる。自己破産に年齢制限はないが、結婚でもしていない限り16歳は法律的には未成年で借金などの契約をする際には法定代理人が絶対に必要であり、自己破産の際にも法定代理人が付いたうえで自己破産が成立する。そこに伊藤の法定代理人の記載がない以上は伊藤詩織こと芦暁楠という人物が伊藤と同一人物である可能性は極めて低いのである。
しかし大澤の投稿したツイートによって伊藤は在日外国人であるというデマが拡散し、デマはウソが上塗りされて伊藤詩織は在日中国人というデマがネット上に広まり、さらにウソは塗り重ねられてネット上でエスカレートしていった。
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https://twitter.com/422_29_seiji/status/1216252975976337408
救いの手
そんな伊藤に救いの手を伸ばしたのはイギリスのBBC放送で、2018年6月、日本における女性の性被害の実情を取材したいという内容で取材依頼がやって来たのである。そこで伊藤詩織は警察が女性の性被害に対して理解してくれず被害の訴えを聞き入れてくれない体質や、被害を訴えたにもかかわらず権力によって被害と犯罪を握り潰されてしまったという事実、自身の性被害と権力による理不尽な抹消を世間に訴えても世論は反応せずバッシングが返ってくる現状を事細かにBBCの記者に訴えた。
そして2018年6月28日BBCは伊藤詩織氏のドキュメンタリー『日本の秘められた恥』を放送した。
なお、この取材の際に伊藤は自身に対するネット上の激しいバッシングに加えて、私生活においても尾行されるようにまでなっていて身体的にも危機を感じていることをインタビューで答えると、BBCの記者はイギリスへの渡航を勧め、伊藤も日本を離れる決断をした。
イギリスの歓迎
BBCが放送した『日本の秘められた恥』はイギリスで大反響を呼び、伊藤には数百件の激励メッセージが届いた。そのなかに日本でのような誹謗中傷はひとつも無かった。
多くの激励メッセージのなかに伊藤と同じく性被害を受けて沈黙を強いられている女性や、日本在住時に講師をしていたイギリス人男性からのものもあり、性被害を受けていた女性を知っているのにアクションを起こせなかったことを悔やむという内容であった。
野党の超党派会合
この伊藤詩織の訴えを聞き入れたのはイギリスだけではなかった。
日本でも今回の逮捕状が握り潰された経緯に疑問を持った立憲民主党の議員を中心に日本維新の会、日本共産党など野党の国会議員を中心とした超党派議連を結成、事件の異常性を審議し始めた。
その後に超党派会合で伊藤詩織が招かれ、伊藤は会合の場で一連の理不尽な事実を挙げて訴えた。
民事訴訟
2017年9月、伊藤詩織は山口敬之に対し「望まない性行為による精神的苦痛を受けた」として東京地方裁判所に1100万円の損害賠償を訴える民事訴訟を起こした。その翌月、伊藤は自身の準強姦被害の手記『ブラックボックス』を出版し、日本外国特派員協会で記者会見を行った。
それに対して山口敬之は争う姿勢を示し、2017年10月、月刊Hanadaにて手記『私を訴えた伊藤詩織さんへ』と題する手記を発表して伊藤の主張を全面的に否定した。そして2018年2月、山口は「伊藤さんの記者会見での発言などで社会的信用を奪われた」として慰謝料1億3000万円と謝罪広告の掲載を要求する反訴を東京地方裁判所に提出した。
裁判では伊藤と山口の両者の訴えを同時に審理する方針が決まり、審理が進められた。
そして2019年12月18日、東京地裁は伊藤の訴えを認め山口に330万円の損害賠償の支払いを命じ、山口の反訴は名誉棄損にあたらないとして却下された。伊藤の準強姦被害が司法で認められた瞬間であった。なお、山口は判決を不服として控訴している。
このニュースは初めての司法判断と言うことで日本中のマスコミが大々的に報道し、海外メディアも注目していたことからイギリスをはじめとする欧州各国やアメリカ、インドなどのアジアでも報道された。イギリスのBBC放送は伊藤詩織勝訴のニュースをトップニュースで報道したほどである。
その後アメリカのTIME誌で『世界で最も影響力のある100人』に伊藤詩織を選出。伊藤の女性の性被害への訴えが世界中に広がって、多くの女性に対して勇気づけられて影響したことを認めた。
日本ではこの伊藤詩織勝訴のニュースが報じられるまで世間では知らなかった人も多く、ネット上では伊藤詩織に対して『売名行為だ』と言った中傷じみたコメントが並び、現職の自民党国会議員の杉田水脈や長尾たかしが伊藤の訴えを捏造と見なしてバッシングするツイートが多数あったことから、それを蒸し返して伊藤をバッシングする者が続出し、それに対する反論などでネット上にはコメントがあふれた。
山口の刑事告訴
民事訴訟で敗れた山口は伊藤勝訴のニュースが大々的に報じらて自分の名声がズタズタにされた報復として、判決直後の2019年12月20日に伊藤詩織を虚偽告訴と名誉棄損で警察に刑事告訴した。警察は山口の告訴を受理し2020年9月28日に東京地検に書類送検された。
伊藤詩織の書類送検
2020年9月28日のニュースでは伊藤詩織が書類送検されたとするニュースが出ると、ネット上では伊藤詩織が犯罪を犯したかのように扇動するニュース記事がまとめサイトなどで拡散され、民事での勝訴後は静まっていた伊藤詩織に対するバッシングが再燃した。
しかしこの書類送検は山口の刑事告訴が受理されて検察に送られたということだけである。
当然ながら山口の刑事告訴は検察も取り合わなかったのか、2020年12月25日に不起訴処分が決定。しかし本来は不起訴の理由として『嫌疑なし』『嫌疑不十分』『起訴猶予』と言った理由が挙げられるが、何故か今回の不起訴処分の理由は嫌疑不十分という判断が出された。
杉田水脈、はすみとしこを提訴
民事訴訟での勝訴で初めて司法の判断で伊藤詩織の準強姦が認められたことで、今まで伊藤に対して性被害の捏造としてバッシングした挙句に笑い者にしていた者への民事訴訟が始まった。まず2020年6月8日、名誉棄損で、はすみとしこに550万円、他2人に対してそれぞれ110万円、計770万円の損害賠償と投稿の削除、謝罪を求める民事訴訟を起こした。この訴訟に対し、はすみとしこは翌日の6月9日、以下のようなツイートを投稿した。
伊藤詩織さんへ、550万円欲しかったら私が木村花さんのようにならないよう、
細心の注意を払った方が良いんでないの?
ネット上の誹謗中傷で自殺に追い込まれた木村花さんを引き合いに出して挑発する悪質なツイートであり、はすみとしこに対して非難が集まりツイートは炎上した。その後は伊藤詩織の訴訟に対する虚勢とも思える謎の強気な挑発ツイートが多数投稿され、その後2020年10月18日に突如としてツイッターのアカウントが凍結された。その直後、はすみとしこはツイッター凍結記念と題する動画をyoutubeに投稿している。
その後、数々の伊藤へのバッシングツイートを拡散した杉田水脈も民事訴訟で訴えられた。起訴内容では伊藤に対する誹謗中傷の13件のツイートに「いいね!」を押して誹謗中傷を支持して拡散したことが挙げられており、直接ではない誹謗中傷の支持が法的責任を問えるかが審理されている。
はすみとしこの判決
伊藤は、はすみとしこのツイッターで拡散した風刺画像に対して名誉棄損で民事で訴えた。2021年11月30日、判決は、はずみとしこの表現の自由であるとする主張を退ける形で伊藤の名誉棄損が認められて、はすみとしこに88万円、リツイートした一般人2人も各11万の賠償金が命じられた。
判決が出た後、はすみとしこは自身のブログで裁判結果を重く受け止めると描いたイラストを投稿したが、重く受け止めるという文字の裏腹に伊藤の訴えを揶揄するイラストを散りばめて茶化した内容で、とても反省をしていると見受けられるものではなく、これもツイッターで投稿されて炎上した。
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https://twitter.com/ponpoko02004/status/1468889735783673860
大澤昇平を提訴
伊藤側が大澤にデマツイートの削除を要求しても全く聞き入れずに拡散を続けたため、伊藤は大澤を民事で訴える決断をする。その際の大澤のツイートがこれである。
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https://twitter.com/catsgravity137/status/1296396386728939521
訴えた内容が大澤本人のデマツイートの拡散にもかかわらず訴訟内容すらも改ざんして伊藤が言論弾圧をしてきたかのようにウソをつき、さらにネット上で裁判費用の寄付を募るツイートを投稿した。しかしこの振込先は自身の会社という企業会計もあったものじゃない全く常識外れの内容であった。寄付が集まったかは定かではない。
大澤昇平の判決
2021年7月6日、判決は伊藤の主張がほぼ認められ、伊藤の同姓同名の人物を伊藤本人のように騙って破産者であるかのようにツイートしたことで社会的信用を貶めたことが名誉棄損行為であると認められ、賠償金33万円と投稿ツイートの削除が命じられた。裁判結果は大澤の敗訴であることは判決を見ても明らかであるにもかかわらず、大澤は今回の判決を勝訴と判断し、賠償金の額が請求額の半分以下だったから裁判に勝ったと歓喜のツイートを行った。全く反省の様子もなく一人喜ぶ姿は周囲に呆れた人間性を晒した。
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https://twitter.com/Ohsaworks/status/1412266059713843207
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