住民票とは、市町村や特別区(東京23区)が作成する、住民の居住関係を公証する記録票である。
概要
進学、就職、賃貸契約、運転免許証の取得などの場面で身元確認のために必要になるもの。電子データとして記録されている。
一般の人が書類としてどこかに住民票の情報を提出する場合、基本的には「住民票の写し」をまず手に入れることになる。住民票の写しは、役所・役場や特定の公共施設(「行政センター」など、地域によって名称が異なる)の窓口で手に入るほか、オンライン・郵便による手続きでも手に入れることができる(一部除く)。また、マイナンバーカードがあればコンビニのコピー機でも発行が可能。ちなみに「住民票の写し」も単に「住民票」と略される場合がある(詳しくは後述)。
また、「住民票記載事項証明書」と呼ばれる、住民票の写しを簡略化した書類もあり、会社に提出する場合はこちらが求められることも多いようだ。会社が求める情報のみに絞って記載可能。特にそういった条件がなければ、発行者の指定する様式で作られる。この場合、写しの多くの情報が省略され、氏名・性別・住所・生年月日の4つが掲載されることが多い。
どちらの書類も、発行の際には運転免許証や健康保険証、マイナンバーカードなどのいずれかの本人確認書類と数百円程度の手数料が必要になる。
「写し」に載っている情報の例
住民票自体の情報が日本人と外国人で異なるほか、「写し」についても自治体などによって様式が違うが、ここでは札幌市の住民票を参考にして、まず日本人のものを掲載する。
外国人の場合は
なども記載される。
なお、灰色の項目に関しては、特に申請がなければ省略されることが多い。これらは住所変更の証明や相続人調査など特殊な事情がある場合に必要なもので、単に身分証明が目的の場合は省略したままで問題ない。
住民票の写しを請求できる人
上記のように、住民票の写しは個人情報の塊ともいうべき書面であるため、本人以外の者がこれを取得することは厳しく制限されている。本人以外で住民票の写しを請求できるのは、具体的には以下のような者が挙げられる。
- 本人と同一世帯の構成員
未成年者や体の不自由な者の住民票写しを同居家族が取得する場合などが該当。窓口に来た者の本人確認書類が必要。 - 本人またはその同一世帯員から委任を受けた者
養父母や成年後見人、その他任意代理人が該当。本人確認書類の他、委任状が必要となる。 - 住民票の写しを請求するにつき、正当な理由を有する第三者
債権者が財産の差し押さえのために債務者の住民票写しを取得する場合などが該当。本人確認書類の他、正当な理由を有することを証する書面が必要となる。 - 特定の職業の者
弁護士など特定の専門職を生業とする者は、その職務の遂行に必要な範囲で第三者の住民票写しを請求することができる。なお、いわゆる探偵はこの特定の専門職に該当しない。
これに該当する者が第三者の住民票写しを請求する場合、窓口に置いてある請求用紙とは様式が異なる「職務上請求書」を提出する必要がある。
なお、DV・ストーカー・児童虐待等の被害者は、加害者およびその依頼を受けた者が住民票に記録された情報を知り得ないよう、写しの交付について制限を強化するよう申請することができる。
住民票の保管期限
住民票は、それが保管されている市区町村の住民でいる限りは半永久的に保存される。
ただし、死亡もしくは転居などの事由により、住民票が保管されている市区町村の住民ではなくなった場合、その住民票は除票となる。
除票と似たものとして、改製原住民票というものがある。住民票はシステムの更新などの理由により新たに作り変えられることがあるのだが、このとき作り変えられる前の古い住民票のことを改製原住民票という。ただし市区町村によっては、改製原住民票を除票と区別せず、どちらも除票と呼んでいる場合がある。
除票および改製原住民票には保管の期限が定められており、かつてその期限は5年とされていたが、令和元年6月20日の住民基本台帳法改正により150年に延長された。ただし、それ以前に保管期限を過ぎてしまった除票および改製原住民票(平成25年よりも前に住んでいた市区町村の除票など)については写しの請求ができない。
住民票の写し?コピー?原本?
住民票について書類をどこかに提出する場合は、以下のどちらかを出すことが多い。
- 住民票の写し(住民票の写しの原本)
- 住民票の写しのコピー
「写し(写しの原本)」は受け取った書類そのものを指し、「写しのコピー」はその書類を自分でコピー機などで複製したものを指す。後者は公的でない場面で提出を求められることがある。
「写しの原本」は「受け取った書類そのもの」なので、交付手数料を払ってコンビニのコピー機で刷って手に入れた1枚目は住民票の写しの原本であり、住民票の写しのコピーではない。その原本をコピー機に挟んでもう1枚複製したものが「住民票の写しのコピー」となる。
なお住民票の写しをコピー(複製)すると、コピーで新しく作った書類のほうには「複写」「複製」「COPY」などの文字が大きく浮かび上がることが多い。
住民票の原本
「住民票の写しの原本」を指して「住民票の原本」とする表現も稀に見かけられるが、これは厳密には誤った表現である。そもそも住民票は先述したように電子データとして記録されているので、(その意味での原本として捉えた場合)普通の人が「住民票の原本」を提出することはできない。
ただし、「住民票の写し=住民票の写しのコピー」と捉える人がいたり、ややこしくて住民からの問い合わせが増えたり、住民票の写しにも「住民票」とだけ書かれていたりするために「住民票(の写し)の原本」を「住民票の原本」とあえて書く場合もある。
住民票のコピー
さらに「住民票のコピー」という表現もある。役所側で提示された場合は、先ほどの「の写し」を省略する例に倣えばおそらくほぼ「住民票(の写し)のコピー」の意味と思われる。
ただ、稀に発信者が「コピー=写し」と勘違いしている場合もあるため、もし正確に知りたい場合は「住民票の写し」と「住民票(の写し)のコピー」のどちらを指しているのか確認してもいいかもしれない。
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関連項目
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