『信長の野望・新生』(のぶながのやぼう・しんせい)とは、コーエーテクモゲームスにより2022年7月21日に発売されたゲームソフトである。「信長の野望」シリーズの第16作。コーエーテクモゲームスにおける「シブサワ・コウ」ブランドの作品である。
概要
日本の戦国時代をテーマとした歴史シミュレーションゲーム「信長の野望」シリーズの一作品である。前作『信長の野望・大志』の発売以来、約4年8ヶ月ぶりの完全新作。シブサワ・コウ40周年記念作品。プロデューサー・小笠原賢一は「ほぼ全期間をコロナ禍におけるリモート、テレワーク体制で開発した初めてのシリーズ作品[1]」と語る。
対応機種はWindows(Steam)、PlayStation 4、Nintendo Switch。CERO:A(全年齢対象)。
コンセプトは「AIで躍動する武将たち」。
基本的にはリアルタイムストラテジーの大名プレイだが、プレイヤーは配下の武将たちに郡単位の知行を任せ、彼らにある程度一任していく。戦争や内政もこのような郡単位を任されたAIによって動く武将たちの意見をもとに、進めていくような形になる。
- 「信長の野望・新生」開発者インタビュー。シリーズの新たな道へと踏み出した本作,自ら考える武将の行動がリアルな戦国時代を生み出す
- 『信長の野望・新生』開発者インタビュー! AI、外交、戦略、内政…、ゲームシステムの意図を伺った - 電撃オンライン
システム
『創造』と同じ小笠原プロデューサー作品のためか、道の要素や、城下が小区画ごとに分かれているなどの共通点が見られる。また兵力の回復速度が速めなので、大勢力を相手にするといわゆる「わんこそば」「ゾンビ」と揶揄されるレベルで何度も敵が押し寄せてくるので注意が必要となる。
内政
各城に「郡」がいくつか紐づけられており(城のある土地も郡のひとつである)、城のある郡には城主を、それ以外の郡には武将を知行として割り当てる内政システムとなっている。大名本拠城も基本的には同様だが、郡に配置された武将は代官として扱われる。そして城主・領主となった武将たちは自動的に内政を行っていくが、大名が介入することも可能である。大名は金銭と労力を消費して、本拠地の内政を行ったり、「政策」を進めたり、国境紛争の鎮圧やら金山発掘やらといったランダムイベントに武将を派遣したりしていくことになる。
この武将の配置は、大名直轄の代官を除き、初期状態では一度設定すると変更できない。これを変更するためには特定の政策を進めていく必要があるが、政策の実行にはある程度の身分に昇進した数名の武将(と収入と威信)が必要となる。よって序盤の城主任命は慎重に行う事を求められる。初期身分の「組頭」には知行を与えられないので、まずは大名直轄の代官(側近)として武将を働かせ、昇進したら知行を与えていくことになる。なお本拠地から離れた城は軍団を作らないと収入が激減する。また後述するが、今作では兵糧のシステムの都合上、戦争での大遠征が非常に難しくなっている。そのため中盤以降は軍団の創設、城主の転封(これも政策で解放)、本拠地の移転(これは万単位の金銭を要求される)も考える必要がある。
このため本作では人と金が非常に重要であり、それをどうやって手に入れるかが問題となる。たまに配下武将が牢人の登用や敵武将の引抜を提案してくれるが、逆にそれ以外は元服くらいでしか武将を入手できないので、チャンスは逃さないようにしたい。なお身分が武将になると3郡、家老で5郡、宿老で7郡まで同時に知行を与えられるようになるので、人材難をカバーすることもできる。
戦争
戦争も『創造』をベースに進化させたような形で、道に沿って郡を占領しながら進軍していく。また、各地に点在している諸勢力(国人衆)の部隊を参戦させることも可能である。通常の野戦は街道や城の上でぶつかり合う形で行われるが、大名が参戦している場合のみ、周囲の部隊を巻き込んだ「合戦」が可能となる。合戦は全国マップとは異なる戦場で行われ、進軍路に沿って進みながら、要所を押さえたり、挟撃してダメージを上げたりといった戦術が求められる。敵部隊を全滅させる、「退き口」を全て破壊する、優勢ゲージを完全にこちら側に向かせる、などのいずれかを達成すれば勝利となる。
要所の中には、高い所から一方的に矢を放ったり、落石で大ダメージを与えたり、鼓舞で体力を回復(後述)したりすることが出来る場所もある。ただし落石・鼓舞・橋落としは戦法ゲージを溜める必要がある。また新システムとして、兵力とは別に部隊の「体力」(疲労)の概念が存在し、ずっと戦っていると部隊の能力が大幅に落ちてしまう(80くらいあった能力が10~20になったりする)。戦わない位置に移動させれば体力は回復していくので、交代要員を用意するなどの工夫も必要。これはもちろん敵も同様なので、強敵が相手でも挟撃+疲労困憊に追い込めば勝ち目はある。なお余談ながら、毛利元就の固有戦法「百万一心」は効果が「自部隊の兵力回復+体力回復」なので継戦能力が高く、能力も当然高いので厄介極まりない。
そしてもうひとつの新システムとして、この合戦で敵の部隊が一定数以上いた場合「威風」が発動する。威風は弱・中・強の3段階存在し、敵の部隊数が多いほど効果は高い。これが発動すると敵の郡や城がこちらに寝返る、一時的に武将の忠誠が上がる、周囲勢力の外交が良くなるなどの非常に美味しい効果がある。他にも勢力が衰退すると武将が家を見限って寝返りを打診してくることもある。これらを駆使することで、連戦で一気に勢力バランスを変えることも可能だが、本作では兵糧が『創造』と同じく部隊ごとの「腰兵糧」制なので(初期値120日。更に創造とは異なり腰兵糧の補給ができない。初期値を上げるには施設の建設などが必要)調子に乗ってイケイケになっていると部隊が餓死して壊滅するので注意。
その他
勢力ごとに「威信」というパラメータがあり、停戦の仲介や各種政策を発動させるのに必要となる。例えば1546年シナリオの場合、足利将軍家は最初から約1500、北畠や一条で約500あるが、あとは軒並み二桁からのスタート。官位に任じられている織田家でも165である。この値は将軍家や朝廷と親善して幕府役職(守護職)や高い官位を得ることで上昇させることが出来るので、将軍家の存在がかなり重要な作品といえる。守護に任じられれば国人集の吸収も可能となる。
先に述べたように大農園などの上位施設建設の要望や、領内のトラブルを収めるのに武将を派遣する必要があるのだが、今作では『革新』以来久しぶりに台風が復活している。台風の直撃を受けると堤防が決壊した、道路が崩れて動けないなどの要望があちこちから怒涛の勢いで発生する上、放置すると一揆が発生する。勢力が拡大すると被害も甚大になりやすい為、やはり武将の数が必要となる。
全国の過半数以上の城と畿内の城を全て押さえれば、関白・太政大臣・征夷大将軍のどれかになれる三職推認イベントが発生し、どれかを選べばゲーム終了、エンディングとなる。これを断った場合はゲーム続行、全国制覇エンディングを目指すことになる。
勢力としては赤井家、成田家、蒲池家、大村家、対馬宗家、鞆幕府などが登場する。どこも1城スタートで難易度は高い。逆に前作『大志』で大名だった二本松家や白河結城家、村上水軍のように国人衆に格下げされた勢力も存在する。
シナリオ
無印・初期実装シナリオ
- 1546年1月:信長元服
今回特筆すべきは三好家が細川家の臣従勢力であること(でも主家より大きい)であろうか。イベントでこの立場逆転が描かれる。三好四兄弟は十河一存以外新グラになった。 - 1553年4月:尾張統一
いつもの今川家全盛期。甲相駿三国同盟などが描かれる。信長が大名となり、織田家と斎藤家は婚姻しているが…ちなみに今作では道三は「斎藤利政」、義龍は「斎藤高政」名義で始まり、改名イベントが用意されている。大河ドラマ(麒麟がくる)の影響だろうか。一方、将軍・足利義藤(義輝)は京を追われ、朽木谷城のみからのスタートとなっている。帰京のイベントもあり。 - 1560年4月:桶狭間の戦い
恒例行事。織田家はまだ尾張一国ながら52人もの武将を抱えており(ちなみに武田は47人、毛利は37人)人がとにかく欲しい本作では恵まれた勢力となっている。 - 1570年4月:信長包囲網
スタート時点ではまだ信長と義昭は同盟関係だが、徐々に溝が生まれていくさまをイベントで描く。三好家の当主は新グラをもらった三好長逸。 - 1582年5月:夢幻の如く
今回は5月スタートであり、既に武田家は滅亡している。そして翌月…。なお今回織田信孝は独立しない。今回もおなじみ真田家がここから登場、小勢力の割に将の数は多いので、威風も使いながら拡大していきたい。足利義昭は備後の鞆御所で独立しており(毛利と同盟)ここで将軍としての役割を務めていくこととなる。 - 1618年2月(仮想):群雄繚乱(1回クリアで解禁)
隠しシナリオ。寿命なしイベントなし、今回はタイトルが違うがおなじみの「群雄集結」シナリオである。各地におおむね2~4城ずつ持った状態でスタート(蠣崎、宗など1城の勢力もある)。初期武将が一番多いのは伊達政宗家で44人。一番少ないのはダントツで宗の4人。北条早雲や大内義興といった武将も登場する(義興は大名だが早雲は組頭スタートである…)。
追加シナリオ(特典・DLC)
- 1575年4月:長篠設楽原の戦い(早期購入特典)
武田家のターニングポイント。幕府は滅亡しているがイベントで鞆御所が誕生する。 - 1580年6月(仮想):天正猿芝居(トレジャーボックス/デジタルデラックスエディション特典)
別所長治、荒木村重、松永久秀の独立で孤立した羽柴秀吉が自らも独立、信長に勝負を挑むという仮想シナリオ。さりげなく明智光秀も丹波で独立、更には徳川信康や上杉景虎が歴史を覆して大名になっているなど、夢が膨らむIFシナリオ。 - 1584年2月:小牧長久手の戦い(プレオーダー特典)
明智、柴田を討ち最大勢力になった羽柴秀吉に、徳川家康・織田信雄らが挑むシナリオ。なお羽柴に臣従している十河家は1城2人と絶望的な状況で栄枯盛衰を感じさせる。
なお今回はイベントがかなり豊富な上、再生可能で発生条件も最初から開示されている。
PK追加シナリオ
- 1543年9月:鉄砲伝来(トレジャーボックス特典)
- 1556年3月:兄弟相克(プレオーダー特典・DL版のみ)
織田家が信長・信勝に二分した状態でスタート。 - 1567年8月:天下布武
斎藤家が織田家によって滅亡。今川家も既に武田家との同盟が破綻している。 - 1572年12月:三方ヶ原の戦い
武田の西上作戦開始前からスタート。織田家がNPCの場合、浅井家は生存しやすいとのこと。 - 1577年8月:手取川の戦い
織田家と上杉家が手取川で衝突。翌年上杉謙信が亡くなり、御館の乱が発生する。 - 1591年10月(仮想):天下無事ならず
北条家が滅亡する前に秀吉が死亡するIFシナリオ。豊臣家は秀次が継承しているが、支配圏は近畿に留まり、徳川・島津といった多くの大名が独立している。 - 1600年7月:関ヶ原の戦い
史実通りに進めば徳川の消化試合。但し、選択肢によっては西軍勝利・三成生存など様々な仮想展開が容易されており、豊臣は勿論、上杉・黒田・真田家でも天下取りが可能。 - 1615年:大坂の陣
本作は家康死亡でも徳川が分裂しないため、70城以上抱える徳川を崩すのは至難の業。
主なスタッフ
- シブサワ・コウ
- 小笠原賢一
- コーエーテクモゲームス所属。プロデューサー。前々作『創造』シリーズでもプロデューサーを務めていた。「信長の野望」シリーズの制作に携わりたいという理由から光栄(現・コーエーテクモゲームス)に入社。
- 氷川きよし
- 樋口真嗣
- 日田慶治
武将イラスト
※Twitter「信長の野望シリーズ(公式)(@nobunaga_kt)」への外部リンク
- 斎藤道三・斎藤義龍
- 竹中半兵衛・黒田官兵衛
- 石田三成・大谷吉継・島左近
- 黒田長政・後藤又兵衛
- 甲斐姫
- 伊達政宗・片倉景綱・愛姫
- 荒木村重・古田織部
- 彦鶴(鍋島直茂の妻)
- 立花宗茂・立花誾千代
- 沼田麝香(細川幽斎の正室)
- 山中鹿之介
※4Gamer.net『信長の野望・新生』記事への外部リンク
関連生放送
関連動画
関連チャンネル・コミュニティ
関連項目
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外部リンク
- GAMECITY|コーエーテクモゲームス
- Facebook - 信長の野望
- Twitter - 信長の野望シリーズ(公式)(@nobunaga_kt)
- YouTube - コーエーテクモChannel
脚注
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兄弟記事
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