偽装請負とは
労働者派遣法等に抵触する違法行為の一つである。
今日では接客業、ガテン業、IT関連企業(またはIT企業)などにおいて数多く散見する。
概要
企業が派遣社員を調達する際、労働者派遣法で定める制約から逃れるために労働者派遣という体裁を取らず、業務委託(請負)と位置づけることがままある。
労働者派遣法では多重派遣を禁止しているため、土木建築業などで散見する下請け・孫請け・ひ孫受け・・・といった受注構造に倣い、実務上では派遣社員としての扱いそのものだが、契約書上では業務委託契約と位置づけ、当局からの指導・摘発から逃れることが主な目的である。
現在でも数多くの中小企業が「派遣社員ではなく業務委託で調達した要員だから商流が何重になっても違法ではない」と抗弁するが、IT関連企業に代表されるように、業務委託の体裁を成してないケースが大半であり、以下のような実態が存在する。
これらの労働実態があれば、企業間でいかなる契約がなされていようとも、その業務従事者は派遣労働者であると(労働局等から)みなされる可能性が極めて高く、これが多重商流で調達されているとすれば労働者派遣法違反となる。
また、こうした労働者を「個人事業主」と位置づけ、労働者としてではなく漫画家などと同様の扱いで契約を交わしておきながら、作業場所の指示や勤怠管理を行ったり、出社時間の制約を課すといった実態が数多く存在している。
こうした犯行はガテン系の業種では大手請負企業や受け入れメーカーの摘発によって一定の改善が見られたが、IT関連業においては2009年現在も依然として日常茶飯事の出来事であり、「フリーランス」といった聞こえの良い呼称を用いて積極的に求人広告を打ち続けている。
今日ではフリーランスへの業務を紹介するとした企業(組合を名乗ることもある)や、大手求人サイトなどで正社員・契約社員(もしくは派遣社員)といった雇用形態に並んで「業務委託」「個人事業主」とした雇用形態を取っている企業はほぼ偽装請負に手を染めていると考えて良い。
指摘に対する企業経営者の対応
こうした指摘に対する企業経営者の抗弁は概ね「法律の仕組みが悪い」「偽装請負を無くせば失業者が増える」の二本立てであり開き直りに終始するが、中にはあくまで「偽装請負には当たらない」と犯行そのものを否定する経営者も少なくない。
このため人材調達を行う企業やはもちろん、求職者も経営者の説明を安易に信用せず、疑問を感じた場合は労働局や法律家などに相談することが望ましい。
その他
- 労働者派遣法・労働基準法違反は犯罪であり、ちょっとした罪ではない。
- 黙って従うのは美徳というより、犯罪者に従うのは美徳ではない。
- 労働基準法は正社員・アルバイト・パート・派遣社員まで例外なく適用される。
- 退職に関しては、企業よりも労働者の権利が優先され、特別な条件等をつけてはいけない。
- しいて言えば貸与品等を返すくらいである。
余談で申し訳ないが、ブラック企業(項目参照) などもぜひ覚えておこう。
他、関連項目も参照。
自分の人生は極悪非道な悪徳企業の言いなりではなく、自分のために有意義に使ってください。
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