備蓄米とは、以下の意味である。
概要
政府備蓄米とは、日本国政府によって1995年施行「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」により備蓄される米である。扱いは政府が運用する公共物に該当し、供給先がルール化されている。
運用
政府備蓄米とは、1993年に発生したフィリピン・ピナトゥボ山噴火を起因とする冷害に伴う凶作により深刻な米の供給不足・外国産米の緊急輸入を引き起こした「平成の米騒動」を教訓に、国内における米の安定流通を図る事を目的に1995年に施行された「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」により備蓄される米である。
旧食糧管理法時代の政府米在庫プール方式による供給を見直し、明確な備蓄として凶作による供給不足に対応できる運用になり、原則として備蓄量100万トンを基準に毎年20万トンを政府が市場から買い付け、5年単位で順次備蓄される。約200万トンの供給不足とされた1993年平成米騒動の需要不足を賄うには足りないが10年に1度の不作には十分に応えられる量としてJA等の委託先の低温倉庫で備蓄される。
凶作により米の流通在庫の著しい低下や価格高騰が起こったと判断された場合、国は競争入札を実施し備蓄米は順次市場に売却される。
備蓄保存期間の5年を経過した米は飼料用として入札売却される他、少量が試食・食育用として小中学校の学校給食やこども食堂、フードバンクに無償提供されるが原則主食用としては売却されない。旧食管法時代は刑務所・拘置所に政府米の古古米がが安価に売却されていたが、市場への影響やコンプライアンスの観点から現在は各刑務所や給食受託企業が独自に民間市場から米を買い付けている。そのため保管が丁寧な政府米より不味くなったという話もある。
また、大規模災害や戦争動乱による供給不足による対応は法律として想定されてはいない。
初放出
2025年2月、江藤農林水産大臣は政府の備蓄米21万トンを市場に放出する方針を正式に発表。主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律施行後初の政府備蓄米放出を行う事態となった。
放出の背景には、2023年における急激な物価上昇の中2023年当時の米価は比較的安定しており価格差を狙ったコメ需要が急増、さらにコロナ禍やインバウンド需要による消費拡大、安価を背景にしたおにぎり専門店の大量出店があった中。2023年度産米の収量が猛暑の影響による凶作により著しく減少し翌2024年前半には米価格が急激に上昇、市場への流通量も著しく減少し価格高騰に拍車をかけた。2024年産新米の供給量も市場の需要に応えられるほどではなく米価格の高値が続き「令和の米騒動(本物)」と言われる事態となった。
関連リンク
関連項目
- 3
- 0pt