傭兵とは、主に金銭などの報酬を目的とし、直接的な利害関係のない戦争に参加する、兵または集団のことである。
概要
傭兵は、雇い兵ともよばれ、金銭その他の収入を得ることを主目的に戦争に参加する兵士のことで、現在は国際法上その雇用・使用・資金供与・訓練などは禁止されている。職業軍人は金銭による収入をもって雇われているが、直接利害関係のある自国のために戦争に参加するため通常傭兵と呼ぶことはない。また、国家機関に正規に雇われている外国人兵や、民間軍事会社(PMC、PMSC)などは、事実上の傭兵ではあるが、国際法上禁止されている「傭兵」の定義からは除外されている。
傭兵がいつごろから出現したかは定かではないが、職業や身分が分化し始めた頃にはもうすでに存在していたとされ、娼婦と並び人類最古の職業の一つともいわれている。これは資産や技術を持たない人間が体一つで比較的簡単に参加できる職業が娼婦と傭兵であることからそう言われているのではないかと思われる。
傭兵は洋の東西を問わず近代的国民国家が出現するまでは戦場において重要な位置を占めていた。また、現代においても民族紛争等で現代的軍隊を整備するのが困難な国や集団において素早く戦力を高めるために用いられていると考えられている。強制徴募されることもあったと云われており、友人が差し出す外泊証明書などには注意したほうが良い。
現代における特徴的な傭兵の形態として民間軍事会社が存在する。民間軍事会社はすでに書いたとおり国際法上で禁止された傭兵には当たらないとされるが、その地位や扱いについて不明確な部分が多く、2008年にスイスのモントルーでモントルー文書という指針が定められたが、条約ではないため法的拘束力がなく問題となっている。詳細は関連項目を参照。
日本において
日本においても、武士はその最古の頃において傭兵的性格の強い集団であったと考えられている。次第に土地との関わりが密接になると傭兵的性格は薄れていったと考えられるが、水軍や海賊衆と呼ばれる海洋における集団や、雑賀の鉄砲衆や伊賀・甲賀などの忍術など特殊技能をもった集団が傭兵的に活動した。また野武士・野伏などの雑兵と呼ばれる兵は傭兵であった。
戦国期が終わり国内に戦乱がなくなると、国外に進出し東南アジアなどでイギリスなどに雇われるものや、一時雇の武家奉公人として傭兵的なものは明治維新に至るまで存在した。
現在の日本においては傭兵や民間軍事会社は存在しないが、海外の民間軍事会社に就職するという日本人はいる。また、日本人で民間軍事会社のCEOを名乗っていた人物もいる。[1]
著名な傭兵
- オドアケル …… 西ローマ帝国を滅ぼした西ローマ帝国のゲルマン人傭兵隊長。
- クセノフォン …… ギリシア人の傭兵・哲学者・作家。ペルシアの内戦に傭兵として参加、後にスパルタに雇われ母国アテナイと戦いアテナイから一時追放される。主な著作に『ソクラテスの弁明』『アナバシス』『饗宴』など。
- ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン …… ドイツ人の騎士でフェーデと言う決闘制度を悪用して財を成したため盗賊騎士とあだ名された。ゲーテの戯曲『鉄の手ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン』の登場人物として美化されたもののほうが有名。
- 山田長政 …… 江戸時代前期にシャム(現在のタイ)で活躍した日本人傭兵。アユタヤ朝の王に信用され重用されたとも。
- マイク・ホアー …… インド生まれのアイルランド人で元イギリス軍人。アフリカ各地で傭兵として活動し、映画『ワイルド・ギース』のモデルとなった。
- 高部正樹 …… 元航空自衛隊。詳細は関連項目を参照。
関連動画
関連コミュニティ
関連項目
脚注
- 6
- 0pt