儀式召喚とは、遊戯王OCGの召喚方法の一つである。
概要
元々は原作「遊☆戯☆王」の時から存在していた。OCGにおける単純なレベルあわせとは異なり、厳しい条件(特定のモンスターが必要、など)がついているので少々呼び出しにくい。
強力モンスター同士が合体、融合する、タッグデュエルでの絆の象徴、など、様々な場面で見ることのできる融合召喚に比べると影が薄い。特定のモンスターをコストにするという条件は融合召喚と似たものであり、差別化できていなかったのも一因か。
OCGにおいては、基本的に儀式魔法と呼ばれる特殊な魔法カードとそれに対応する儀式モンスターの組み合わせによって特殊召喚する。儀式モンスターのレベルと同じ(かそれ以上)になるようにモンスターを生け贄に捧げる(リリースする)という条件であり、融合召喚とあまり差別化できていなかった原作とは異なる条件になった。シンクロ召喚よりはるかに早く、レベルの足し算(きっちり合わせる必要はないが)を取り入れていた。
融合召喚に次いで古くから存在する特殊召喚の一つであり、古参から新参まで1度は目にしたことがあるものが多いだろう。
例えば、「カオス・ソルジャー」の場合、「カオスの儀式」(テキストは以下)という儀式魔法が必要になる。
儀式魔法
「カオス・ソルジャー」の降臨に必要。
手札・自分フィールド上から、レベルの合計が8以上になるように
モンスターをリリースしなければならない。※遊戯王カードWikiより
儀式モンスター召喚の基本的な流れ
- 自分の手札に召喚したい儀式モンスターとそれに対応する儀式魔法(セット状態も可)、自分の手札・フィールド上に儀式モンスターの降臨に必要なリリース(旧:生け贄)のためのモンスターを用意する。
- 儀式魔法を発動。通常魔法などと同じ要領で、自分のメインフェイズに発動を宣言して魔法・罠ゾーンに置く(セットしていた場合、表向きにする)。
- (チェーンの確認。他にチェーンされたカードがあれば逆順処理。)
- 発動が無効化されなければ、儀式魔法に記されている条件を満たすように手札・自分フィールド上のモンスターをリリースする。
- 手札から儀式モンスターをフィールドに置く(儀式召喚する)。儀式魔法は通常魔法同様、墓地に送る。
- (特殊召喚を無効にするカードの発動タイミング)
- 儀式召喚成功。(特殊召喚に成功した時発動する効果の発動タイミング)
実例(カオス・ソルジャーの場合)
- 手札に「カオスの儀式」と「カオス・ソルジャー」と「幻獣王ガゼル」(レベル4)、自分フィールドに「エルフの剣士」(レベル4)がいる。
- 手札から「カオスの儀式」を発動。
- 相手にチェーンするか確認。ここでは相手も自分もしない選択をしたこととする。
- 効果処理。自分の手札の「幻獣王ガゼル」とフィールドの「エルフの剣士」をリリースする。
- 手札の「カオス・ソルジャー」を儀式召喚。役目を終えた「カオスの儀式」は墓地へ送る。
- チェーンの確認。どちらもしなかったとする。
- 儀式召喚成功。
以上が基本的な儀式召喚の流れである。あくまで「基本的」なので、これとは異なる儀式召喚も存在する。
儀式召喚(モンスター・魔法)あれこれ
- 儀式召喚は特殊召喚の一種である。そのため、「特殊召喚に成功した時、~する。」などのテキストには儀式召喚も含まれる。とどのつまり、「(儀式召喚)⊂(特殊召喚)」ということである。
- 儀式召喚のためにモンスターをリリースするのは効果処理時である。つまり、儀式召喚における「リリース」は、発動したときにリリースする「コスト」ではなく、儀式魔法の「効果」である。
- 発動時に「水霊術-葵」や「マインドクラッシュ」、「サンダー・ブレイク」などをチェーンされて自分がリリースしようと思っていたモンスターがいなくなってしまった場合でも、他のモンスターをリリースして儀式召喚が可能なら続行しなければならない。
このとき、リリースできるモンスターがいなくなり、儀式召喚が不可能となった場合、儀式召喚は行わず、発動した儀式魔法はそのまま墓地に行く。 - 「生け贄封じの仮面」でリリースできない状況の場合、リリースしない「高等儀式術」のような一部の例外を除いて儀式魔法は発動すらできない。ただし、リリースの代わりに墓地の自身を除外できる儀式魔人が、その儀式召喚に必要な数揃っている場合は、例外的に発動できる。
- 儀式魔法に記されている必要なレベルの合計は、基本的に対応する儀式モンスターのレベルとなっている。
- 「カオスの儀式」など、儀式魔法に儀式召喚に必要なレベルが明記されている場合、「コストダウン」などで儀式モンスターのレベルを下げても、儀式召喚に必要なレベルは変わらない。
しかし、「リチュアの儀水鏡」や「高等儀式術」など、儀式魔法に必要なレベルが明記されていない(「儀式召喚するモンスターと同じレベルになるように」と記載されている)場合、変化した数値に合わせて必要なレベルも変化する。
一方、リリースするモンスターは常にレベル変更の影響を受ける。 - 儀式召喚のことをカードテキストでは「降臨」と表現している。昔から「儀式召喚」という言葉自体は公式用語として存在したものの、カードのテキストに「儀式召喚」が使用されるようになったのは比較的最近になってからである。
- 第8期までの儀式魔法のテキストには「~の降臨に必要。」と書かれているだけで、「~を儀式召喚する。」といったことは一切書かれていなかった。書かれてはいないが、儀式召喚は儀式魔法の効果によって行われる。そのため、儀式魔法を「王宮の弾圧(禁止カード/後にエラッタ)」で無効にできる。
第9期では「レベルの合計が○以上になるようにモンスターをリリースし、手札から『××』を儀式召喚する」と明記され、ようやくこの問題が解決した。 - 儀式モンスターを通常召喚することは不可能(特殊召喚モンスター)。書いてはいないが、テキストに「このカードは通常召喚できない。このカードは「○○」の効果によって特殊召喚することができる。」と書いてあるものだと思えばいい。
こちらは第9期でもそのままだが、融合モンスターなどと同じ扱いなのだろう(効果外テキストしか持たないカードも効果モンスター扱いになってしまうため、効果モンスターではない儀式モンスターとの兼ね合いから書くに書けないという事情もあるのだろう)。 - OCGに初めて登場した儀式モンスターは「スカルライダー」。対応する儀式魔法は「スカルライダーの復活」。意外にも、原作から登場している「カオス・ソルジャー」らがOCGになるのは、これよりもうすこし後のことである。
- 儀式モンスターの攻撃力の最高は「ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン」の4000(2016年3月までは「sophiaの影霊衣」の3600)。守備力の最高は「sophiaの影霊衣」の3400。
最低攻守は共に「サクリファイス」の0(守備力のみ「イビリチュア・ジールギガス」「ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン」も同値)。 - 儀式モンスターのレベルの最高は「崇光なる宣告者」の12。最低は「サクリファイス」の1。次点は「精霊術師 ドリアード」「クラウソラスの影霊衣」の3。かつてはレベル8が最高という状態が長く続いていたのだが、2018年春期まではレベル2以外すべて出揃い、2018年8月にはレベル2の「ネフティスの祀り手」が登場した。
儀式召喚は強いの?
基本的な儀式召喚は、儀式魔法、儀式モンスター、必要なリリースの全てを手札、フィールド上に用意する必要がある。
融合召喚も基本的には「融合」と融合素材2体以上が必要となり、よく似ているようにも思えるが、一番の違いは、融合モンスターはどれに対しても(E-HEROなどの一部の例外を除き)、「融合」で対応できるのに対し、儀式モンスターは各モンスターごとに定められた専用の儀式魔法が必要な点である。
スタンダードな儀式召喚だけをみて-登場当初の状態-
※例としてあげているカードには、一部後期になって登場したカードも含まれる。
融合召喚の場合、手札に「融合」があれば、自分フィールドか手札に存在するモンスターに応じて好きなようにモンスターを呼び出せる。融合召喚を得意とするE・HEROデッキを例に挙げれば、「E・HERO オーシャン」と「E・HERO フォレストマン」が存在する状態で「融合」を手札に加えられれば、オーシャンとフォレストマンを融合素材にすることで「E・HERO ジ・アース」、「E・HERO ガイア」、「E・HERO アブソルートZero」と、3パターンの召喚先が選べる。さらに、もし手札やフィールドに「E・HERO エアーマン」がいたとすれば、「E・HERO Great TORNADO」の融合召喚も可能となる。つまり、「融合」は基本的にどの融合モンスターの融合召喚に対しても使用が可能なのである。
オーシャン+フォレストマン→「融合」→→ガイア
↓
→→アブソルートZero
↓
→→ジ・アース
一方、儀式召喚の場合、儀式モンスターと儀式魔法は1対1の関係になっており、他への流用ができない。そのため、「カオス・ソルジャー」専用の儀式魔法である「カオスの儀式」と、専用儀式魔法が「カオス-黒魔術の儀式」である「マジシャン・オブ・ブラックカオス」の2枚が手札にあり、リリースが揃っていたとしても儀式召喚は行えない。
つまり、儀式召喚は融合召喚に比べて召喚条件が厳しいということである。
リリースするモンスター→「カオスの儀式」→→カオス・ソルジャー
↓
→→×「カオスの儀式」では「カオス・ソルジャー」以外には対応不可能。そのため、どちらか片方が手札にあってもう片方が手札にこないために手札で持て余すという事態に陥りやすい。
また、召喚前の儀式モンスターと融合モンスターがいる場所、というのも異なる。融合モンスターは常にエクストラデッキ(旧用語:融合デッキ)にいるのに対し、儀式モンスターは手札にある必要がある。
融合召喚の場合、融合モンスターはエクストラデッキに居り、融合素材と「融合」さえ手札・フィールドに揃えば、それで融合が可能なのに対し、儀式召喚はメインデッキにいるため、リリースするモンスターと儀式魔法に加え、儀式召喚するモンスター自身も手札に用意しておかなければならない。
小さな違いのように見えて、これは大きな違いである。
融合モンスターの場合、常にエクストラデッキにいるため、デッキには影響しない。役に立たないカードを引いてしまう確率が低い。
一方、儀式モンスターの場合、デッキに入るため、デッキからドローしてしまう可能性がある。必要な儀式魔法とリリースが揃っていない限り、そのドローしたカードは「役に立たないカード」でしかない。その状況で役に立つほかのカードを引ける可能性が低くなってしまうのである。
儀式召喚のサポートカードの量や、儀式モンスターそのものの質にも初期のころは問題があった。
融合召喚の場合、「融合」をデッキから手札に加えられる「融合賢者」や、どんな(一部例外あり)融合素材の代わりにもできる、いわばオールマイティの効果を持つ「心眼の女神」などや、融合モンスターの特殊召喚が可能な「デビル・フランケン」、「魔導サイエンティスト」などの優良サポートが多く存在し、融合モンスターも攻撃5000,4500、優良効果持ちといった融合する苦労に見合うカードが存在したため、様々なデッキが考案され、大会でも多くのプレイヤーによって使用されることとなった。
大百科内にも融合モンスターを用いたデッキ、「サイエンカタパ」の記事が存在する(融合モンスターは射出用の弾でしかないのだが)。
一方で儀式召喚の場合、まともなサポートが「マンジュ・ゴッド」「センジュ・ゴッド」など数えるほどしかなく、儀式モンスター自体、最高攻撃力が3300と、通常召喚できる「青眼の白龍」に毛が生えた程度で、特に効果を持っていないモンスターがほとんどであったために融合モンスターに比べて使用するメリットが薄かった。
上でも例に挙げたE・HEROなど、融合モンスターが数多く作り出され活躍していく中で、儀式モンスターはいまいちぱっとせず、出番も数も少ない、不遇なカードとしての扱いを受けながら長い時を過ごすこととなる。
「高等儀式術」
上記の通り、儀式モンスターは良い効果を持つものが少なく、召喚自体が大変なのでそこまでして使いたくもないというものが大半であった。
だが、優秀な効果を持つ儀式モンスター、「終焉の王デミス」と、イレギュラーな儀式魔法「高等儀式術」の登場は環境に大きな影響を与えることとなる。
《高等儀式術/Advanced Ritual Art》儀式魔法
手札の儀式モンスター1体を選択し、そのカードとレベルの合計が
同じになるように自分のデッキから通常モンスターを墓地へ送る。
選択した儀式モンスター1体を特殊召喚する。《終焉の王デミス/ Demise, King of Armageddon》儀式・効果モンスター
星8/闇属性/悪魔族/攻2400/守2000「エンド・オブ・ザ・ワールド」により降臨。
フィールドか手札から、レベルの合計が8になるよう
カードを生け贄に捧げなければならない。
2000ライフポイントを払う事で、このカードを除くフィールド上のカードを全て破壊する。※遊戯王カードWikiより
まず、「高等儀式術」。これは今までの儀式召喚、儀式魔法の常識を大きく覆すこととなった。
一つ目は、どの儀式モンスターに対しても対応できる点。これによって、一つのデッキに複数の儀式モンスターを共存させることが容易になった。
次に、フィールド、手札からのリリースの代わりに、自分のデッキから通常モンスターを墓地に送る点。「通常モンスター限定」、「レベルはぴったり合わせる」というデメリットこそあるが、これは、手札に「高等儀式術」と適当な儀式モンスターさえあれば、すぐさま儀式召喚が可能ということで、儀式召喚までのスピードが上昇、安定性が向上した。また、この効果は見方を変えれば「手札の儀式モンスターと同じレベルまでデッキの通常モンスターを墓地に送れるカード」でもある。実際にこの部分を利用したのが後述する「デミスドーザー」と呼ばれるデッキである。
「終焉の王デミス」は、ライフコストこそ重いものの(そのライフコストを利用されていたが)、自身を除くフィールド上の全てのカードを破壊するという凶悪な効果を備えている。
この凶悪な効果を持つデミスに、優良な儀式魔法である「高等儀式術」、さらに容易に特殊召喚可能な「デビルドーザー」などを併用することで猛威を振るったのが【デミスドーザー】デッキである。
手順としては、まず「高等儀式術」でデッキの昆虫族通常モンスターを墓地に送ってデミスを儀式召喚。デミスの効果でライフを2000払いフィールドを一掃する。
次に、先ほど墓地に送った昆虫族モンスターをコストに、「デビルドーザー」を特殊召喚する。
あとは、「巨大化」を「デビルドーザー」に装備して、攻撃力を倍増させて総攻撃を仕掛ければ総ダメージ量8000で1ターンキル(1ショットキル)が成立する。他にも「突然変異(禁止カード)」、「破壊輪(後にエラッタ)」などを利用した勝ちパターンも存在する。
「高等儀式術」の登場により、それまであまりスポットを当てられなかった儀式モンスターが注目され始め、特に【デミスドーザー】デッキは大会で結果を残すほどのデッキとなった。「高等儀式術」の使いやすさ、墓地利用戦術につなげる有用性から儀式モンスターの地位は大幅に向上した。一方で、大多数の儀式魔法が使われないという事態にもなった。
だが、さすがに暴れすぎたか、2008年3月1日に「高等儀式術」は制限カードに指定され、儀式モンスターも相対的に使いにくくなった。
そんな中、新たなモンスターたちが登場する……。
シンクロ召喚の登場
2008年に遊戯王OCGに新たな召喚方法、シンクロ召喚が登場。詳細は「シンクロ召喚」の記事に譲るが、このシンクロ召喚によってデュエルは大幅に高速化。チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上というゆるゆるで簡単にそろえられる素材で簡単に上級・最上級モンスターがぽんぽん飛び出してくる時代となり、「融合」や儀式魔法を利用する召喚はスピードではシンクロモンスターには勝てず、これまでの儀式・融合では太刀打ちできなくなった。
融合モンスターは素材の縛りを緩めるなどの変化が起こり、ある程度環境に適応した。
一方の儀式モンスターは、儀式召喚の際にリリースすることで効果を発揮する「儀式魔人」が登場。「高等儀式術」では魔人の効果を利用できないため、通常の儀式魔法との差別化要素ができた。また、「神光の宣告者」などの強力な効果を持つ儀式モンスターの登場や、儀式サポートも少しずつではあるが増加しており、シンクロに比べればマイナーと言わざるを得ない状況ではあったが、強化はされていった。
さらにDUEL TERMINALでは、儀式召喚をテーマとしたカテゴリ「リチュア」が登場。儀式魔法をカテゴリ内で共有する形態や、「リチュア」限定の儀式版「超融合」、「リチュアに伝わりし禁断の秘術」などが現れている。
儀式魔法に、儀式召喚以外の効果がつくようになったのも特徴。これまでは使ってそれでおしまいだったのが、儀式召喚後も何らかのメリットがある儀式魔法が増えた。これは「高等儀式術」との差別化ともいえる。
「リチュア」と「聖刻」
シンクロが台頭する中、2011年にエクシーズ召喚と呼ばれる新たな召喚方法が登場。最初は依然としてシンクロが勢力を保っていたが、後にシンクロの規制や強力エクシーズモンスターの登場によって遊戯王OCGの勢力図が塗り替えられていくこととなる。
融合モンスターはシンクロ時代とそこまで変わらない戦い方である(そもそも新規カードがあまりない)が、周辺に強力カードが増えた(特に「未来融合-フューチャー・フュージョン」と「F・G・D」の組み合わせから墓地へ送れるドラゴンに強力なものが増え、海外で猛威をふるった)こともあり、とうとう「未来融合-フューチャー・フュージョン」が禁止指定を受けてしまい、良くも悪くも融合モンスターの特徴であったカードが消えていくこととなった。(なお、未来融合は2017年にエラッタされたうえで復帰し、制限カードとなっている)
一方、肝心の儀式の動きとしては「リチュア」に新たな儀式モンスター「イビリチュア・ガストクラーケ」が登場している。
儀式・効果モンスター
※遊戯王カードWiki
星6/水属性/水族/攻2400/守1000
「リチュア」と名のついた儀式魔法カードにより降臨。
このカードが儀式召喚に成功した時、
相手の手札をランダムに2枚まで確認し、
その中から1枚を選んで持ち主のデッキに戻す。より
その後、リリースされることでさらなるモンスターの展開が可能なテーマ、「聖刻」が現れる。「聖刻」の主要モンスターにはレベル6が多く、儀式の際はリリースを行うため、上記「イビリチュア・ガストクラーケ」と相性がよい。
素早く「リチュアの儀水鏡」と「イビリチュア・ガストクラーケ」、レベル6の聖刻を手札にそろえ、儀式召喚することで相手の手札を減らしつつレベル6を2体そろえ、「セイクリッド・トレミスM7」をエクシーズ召喚し、M7やリチュアサポートのサルベージを駆使して再び「イビリチュア・ガストクラーケ」を儀式召喚し……を繰り返すことで先攻1ターン目から相手の手札をほとんどなくしてしまうという強力なデッキが生み出された。成功すればほぼ相手は何もできなくなるため、勝ったも同然である。
このデッキは【聖刻リチュア】などと呼ばれる。
しかし、これがあまりに強力すぎたためか、2012年9月1日の改訂で「イビリチュア・ガストクラーケ」が制限指定を受け、弱体化している(2015年10月1日に準制限化)。儀式が規制を受けるのは「終焉の王デミス」以来のこと。
他にも、レベル10でドロー+条件付きのバウンスを持った「イビリチュア・ジールギガス」も登場。パワフルなその能力のほか、「超弩級砲塔列車グスタフ・マックス」につなぐことによる1ターンキル(1ショットキル)などの戦術がある。
他のカテゴリやエクシーズモンスターと手を組むことで儀式モンスターもそれなりに表舞台に立っていたが、儀式モンスターが活躍するというよりは「リチュア」が活躍していると言ったほうが正確かもしれない。
一時期環境を席巻した「高等儀式術」も、このころになると大して使われることもなくなり、2013年3月に準制限カード、同年9月に制限解除されている。【デミスドーザー】は全盛期と同様の構築ができるようになったが、全盛期の当時と比べて1キル対抗策が格段に多くなったためやや厳しいか。とはいえ「レスキューラビット」との併用もできるので当時より柔軟性も高まっているが。
影霊衣の台頭とサポートの増加(第9期)
第9期に入ると、多彩な召喚法が入り乱れるアニメARC-Vの放送開始に伴ってか、儀式モンスターの数が増えた。
ドロー加速・ハンデス・回収の3つを使い分けられる「竜姫神サフィラ」や、手札誘発やエクストラ素材・墓地儀式などの前代未聞の効果を備えて、同時期のテーマである「妖仙獣」・「霊獣」とともに環境トップに躍り出ようとしている「影霊衣」などが登場。属性などに偏りはあるものの、少しずつ優遇されつつある。
影霊衣の流行によって、2015年1月の改訂で、儀式召喚の要のカードである「マンジュ・ゴッド」「センジュ・ゴッド」「儀式の準備」が2015年1月で3枚まとめて制限カード入りという他の儀式召喚まで巻き添えにされる事態となった。儀式にとっては致命的とも言えるとばっちり規制だが、対策として優秀なサーチ効果を持つ「虹光の宣告者」のシンクロ召喚を狙うギミックが儀式デッキ全体に取り入れられる事になる。その後、さすがにやりすぎと判断されたか、2015年4月に、影霊衣本体の規制に伴い、「マンジュ・ゴッド」が準制限、「センジュ・ゴッド」は規制解除された。流石に強すぎるのか「儀式の準備」はしばらく制限カードのままとなった。
(後の2015年10月には「マンジュ・ゴッド」は無制限カード、「儀式の準備」は2016年以降に準制限となり、2017年10月には制限解除となっている。)
それ以外にもアニメDMから「ロード・オブ・ザ・レッド」がOCG化されたり、「カオス・ソルジャー」が強化を受けたりするなど、少しずつではあるが過去の不遇な状態は改善が図られ、長い間儀式召喚補助として用いる方法に乏しかった「限定解除」にも、占術姫という相方が登場。
2016年には「儀式の下準備」が登場し、名称指定型のカードのサポートをするようになった他、特定の儀式モンスターを儀式召喚する特殊なフィールド魔法が登場し、癖の強さは相変わらずながらも、ユニークな発展を見せている。
また、「アーティファクト・デスサイズ」などのエクストラメタの影響を受けづらい儀式主体カテゴリーも存在するため、そういった点でもささやかながら追い風が吹きつつある。
2017年春季に発表された、新マスタールールによる縛りの影響も少ないため、追い風がさらに強まる可能性が出てきたが、十二獣などの一部のカテゴリーは健在であったため、冷遇ではないが一強ともいえない状態に落ち着いた模様。
魔神儀登場と儀式魔人リリーサーの禁止(第10期)
2018年には後述の「サイバース・マジシャン」や、先述した「終焉の王デミス」ら過去の儀式モンスターのリメイク、新たな儀式汎用サポートである「魔神儀」が一度のパックに収録された、儀式召喚を目玉に据えたパック「CYBERNETIC HORIZON」が発売され、儀式召喚に流れが向くこととなると思いきや、この時点でもその後でも儀式召喚を軸にするテーマの登場はあれど、性能面としては環境に躍り出るほどのカードはしばらく登場しなかった。
しかし、「魔神儀」を採用した儀式召喚やアドバンス召喚等のエクストラに干渉しないテーマを使うデッキが点々といることはあった。
一方で、2020年1月までに登場したカードの蓄積により、「儀式魔人リリーサー」を墓地に用意することも容易になり、無効効果の持つモンスター(ドラグーンやサベージ等)とリリーサーを素材にした「クラウソラスの影霊衣」並べて使われてしまっていたことからついに「儀式魔人リリーサー」の禁止指定を受け、一時的に逆風が吹くことになる。
実際に、儀式召喚の絡むデッキは「儀式魔人リリーサー」を前提に組みあがっていることが多く、カードプールの状態からしてあまり良い状態ではなかったのだろう。
第11期
2020年9月により、新たな儀式テーマとして「ドライトロン」が登場する。
こちらはレベルの代わりに攻撃力を参照し、リンクモンスターもリリース出来るという独自性を持ったテーマである。また、のちに「竜儀巧-ファフμβ’」の登場で、エクシーズ素材もリリース先として使えるようになり、よりその強みが増していく一方、手札の儀式モンスターを切りながら展開する特性上、天使族や「サイバー・エンジェル」の噛み合いが良くなり、手軽に「宣告者」儀式モンスターが出せるテーマとして環境に君臨した。(2022年7月改訂で「イーバ」の制限となった。)
ちなみにこの間に、もともとの攻撃力の数値の関係で「ドライトロン」で使えないようになっている儀式モンスターも一部登場したりしている。
2022年夏頃に「御巫」、「リブロマンサー」が登場し、バリエーションが増えていく。(ただし「御巫」は動きとしては「儀式召喚」を多用するテーマではないが、「リブロマンサー」と組まれていることも。)
2022年10月に「リチュア」の新規カードが登場し、レベル2軸が強化されて「スプライト」との噛み合いも良くなり着実と強くなっていたが、「ティアラメンツ」、「クシャトリラ」の台頭もあってトップには出ていなかった。しかし、それらの規制の厳しい2023年1月改訂から環境に躍り出る可能性を持った。
原作・アニメでは
原作における初登場は、決闘者の王国編の遊戯VS孔雀舞で遊戯が使用した「カオス・ソルジャー」である。その後、ペガサスが「サクリファイス」、遊戯が「マジシャン・オブ・ブラックカオス」、梶木が「要塞クジラ」、闇の仮面が「仮面魔獣マスクド・ヘルレイザー」を使用している。
そのうち、遊戯と闇の仮面が使用したほうの儀式モンスターは特にこれといった効果を持たないセミバニラだったが、ペガサスが使用した「サクリファイス」は相手モンスターを吸収して盾にできる強力な効果を持っており、相性のいいバーンモンスター「タイム・ボマー(原作版)」とのコンボ等で遊戯を苦しめた。
梶木が使用した「要塞クジラ」は元々効果を持たないモンスターだったが、原作では王国編の途中から忘れられていた飛行能力持ちのモンスターとして登場。原作の儀式関連モンスターとしては、最初で最後の飛行能力持ちとなる。
原作特有の特殊ルールの恩恵をおおいに受けたフィールド「海」と、対戦場として選んだ施設による地の利を活かした戦法”ステルス・Ⅱ”によって、海中に潜んだフェイバリットカードと、空中から強襲を仕掛けるこのカードの二段構えで、対戦相手の城之内を翻弄した。
アニメDMでは原作に登場しない儀式モンスターも出ている。その他、アニメでは既存カードの逆輸入として海馬瀬人が「白竜の聖騎士」、キースが「ゼラ」を使用している。また、乃亜編ではビッグ5が「F・G・D」(OCGでは融合)、海馬剛三郎が「エクゾディア・ネクロス」(OCGではただの効果モンスター)、ドーマ編では城之内が「ロード・オブ・ザ・レッド」と「闇竜の黒騎士」、ダーツが「ミラーナイト・コーリング」を使用しており、それなりに出番が増えている。
また、原作では素材の厳しさ故に登場回数が少なかった「カオス・ソルジャー」に、原作およびRではいまいち扱いに恵まれなかった「青眼の究極竜」がアニメオリジナルデュエルで融合されるようになり、遊戯と海馬の切り札同士による連携で結束の力を見せることと、究極竜の負けフラグ払拭に貢献した。
登場したすべての名前を挙げても大した記述量にならないあたりが不遇……というより、元々短くわかりやすい文章だったものをぞんざいな内容にされたあげく、主人公と準主人公を苦しめた強敵の主力モンスターが複数存在するのにもかかわらず、約半年の間、そのままにされてしまったことが不運である。
続編となるアニメ「遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX」では、天上院明日香が「サイバー・エンジェル」と名のついた3体の儀式モンスターを使用していた。カテゴリ内で「機械天使の儀式」という儀式魔法を共有するのが特徴で、後の「リチュア」等の特徴を先取りしていたと言える。また、三沢大地が「リトマスの死の剣士」、タイタンが「デーモンズ・マタドール」をそれぞれ使用している。
しかし、本作では十代を始め融合召喚のほうがクローズアップされており、しかもGX初出の儀式モンスターは放送中一切OCG化されておらず、不遇な扱いを受けていた。既存カードとしては上にも出てきた「終焉の王デミス」が登場している。
漫画GXでは「ドラゴン・ユニットの儀式」によって出される「竜の騎士」が存在した。特定のモンスターを要求する点は原作の儀式召喚に近いものがあるが、儀式召喚という用語が使用されておらず、そもそも儀式モンスターではなかった可能性もある。OCGでは効果が改変され完全に儀式召喚とは関係なくなった。
「遊戯王5D's」ではシンクロ召喚自体が中心となったことや、儀式魔法とライディングデュエル(「スピード・ワールド」)の相性が悪かったためか、儀式モンスターは全く出ていない。魔法カードの制約がない漫画版では、イェーガーがシンクロメタとなる儀式モンスター「道化傀儡王パントミーメ」を使用していた。前述の「竜の騎士」を除けば、原作以外の漫画で初めて儀式召喚が利用された例となる。ただし、サポートカードなしでは下級モンスターにあっさり戦闘破壊されかねない打点でありながら無駄にレベルが高いという、これまでに登場した儀式モンスターのなかでも非常に反応に困る代物で、イェーガー自身が使っていた補強手段は一枚だったため、僅かなターンで対戦相手に隙を突かれて無力化され、痛恨の一撃を叩き込まれてしまった。
「遊戯王ZEXAL」では2期目も終盤にさしかかろうとした所で儀式モンスター「光子竜の聖騎士」が登場し、数年ぶりとなる儀式召喚が行われた。しかし、役割は「銀河眼の光子竜」を出すためのカードであり、あっという間にフィールドから消えていった。
もっとも、融合召喚も五十歩百歩の扱いだったため、儀式単体の冷遇というよりはエクシーズに特化した結果と言ったほうが近いのかもしれないが。
歴代の召喚方法が総登場した「遊戯王ARC-V」でも、主役であるペンデュラム召喚が注目され、融合・シンクロ・エクシーズが強力な召喚方法と認知されLDSでこれら召喚方法を教える専門コースが用意されている中、儀式召喚は総合コースの教科の一つとなっており、他より一段低い扱いである。シンクロ・エクシーズ・融合の3つに、それを主力とする集団が存在するのに対し、儀式には現状そのようなものが確認できず、方中ミエルなど、一部のデュエリストが使用するカードという扱いにとどまっている。
ただ、5D’sでは0枚、ZEXALでは1枚出たがただのつなぎという扱いだったのに比べれば、主力とするデュエリストが登場し、その使用カードがOCG化されると言うだけでも大きな進歩かもしれない。また、ARC-Vにて使い手の出番が比較的多かったシンクロ召喚などの使い手も、真っ当な扱いをされてる訳ではなかったため、儀式召喚だけが冷遇されているとは言い切れない状態となっている。
そんな中、次作の「遊戯王VRAINS」では主人公の藤木遊作 / Playmakerが「サイバース・マジシャン」を使用。
5D's以降新召喚法に注目が向かいやすくなった中、儀式召喚を主人公が使用するのはDM以来の事態である。
しかし、遊作はあくまでVRAINS新召喚法のリンク召喚を主に使っており、儀式召喚自体をメインにしているわけではないため、不遇を脱したとは言えない状態である。
ゲーム作品において
OCG準拠ではないGBのDMシリーズでは、原作に近い、特定のモンスターを利用して降臨させるようになっている。儀式モンスター本体はデッキに投入せず、特定のモンスターを揃えて儀式魔法を発動すると新たなカードが現れる。
ゲームオリジナルの儀式モンスターも存在しており、いくつかはOCG化された。
また、DMシリーズの融合召喚は、モンスターの上に別のモンスターを重ねるという形で行われており、仕様上3体融合を再現できなかったため、「青眼の究極竜」などは、同シリーズでは儀式モンスター扱いを受けていた。
「タッグフォース」シリーズでは、GXで登場したサイバー・エンジェル、「リトマスの死の剣士」、「デーモンズ・マタドール」が登場しており、アニメGXの儀式モンスターはすべてカバーできている。
スターターパックのDLソフトである「かんたんマスター!ペンデュラム召喚!」では、初期の時点ではなぜか儀式召喚の解説がなかったが、後のアップデートで追加された。
つまりどーゆーことよ?
- 儀式召喚は使いにくかったけど、最近はそこそこ使いやすくなってきたっぽい。
- 「高等儀式術」はめちゃ強いけど、「俺、制限カードになっちゃった」。今は解除されたけどな!
- 最近はシンクロにおされ気味だけど、なんか「リチュア」とか出てきてる。ってか暴れた。
- 「リチュア」カードがいくつか制限入りしておとなしくなった・・・と思ったら、「影霊衣」が暴れだした。
- 「影霊衣」が自重しなかった結果他の儀式召喚までとばっちりを食らったが、後に是正された。
- 「リチュア」、「影霊衣」の影響かある程度、テーマではない儀式召喚をサポートし始めた。
- 「影霊衣」の規制後に儀式テーマは出ているものの、強力なテーマがしばらくなかった。
- 素材として用意しやすくなってしまった、「儀式魔人リリーサー」の雲行きが怪しくなり、禁止になった。
- リリーサー禁止後、それに頼らずとも強くなる儀式テーマが登場し始め、儀式モンスターの性能水準も上がり始める。
- アニメシリーズでほぼ一貫して酷い扱いなのをよくネタにされる。最近その傾向がより強いので、悪ノリ注意。
関連動画
関連静画
関連項目
一般項目
儀式召喚関連テーマ
儀式召喚関連人物
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