概要
窒素酸化物等から光化学反応によってオゾンなどの光化学オキシダントが生成され、これが硫酸塩などの微粒子などと共に混合された状態で大気中に高濃度で浮遊する現象である。
光化学反応によって光化学オキシダントが生成されることが原因であることからも判る通り、強い太陽光が降り注ぐ夏場の日中、さらに風が弱い時に発生しやすい。
後述する通り、今日においては主に自動車の排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)が発生の主原因であると考えられている。
健康被害と予防
光化学スモッグはオゾンなどを含むことから人体などに対して有害である。光化学スモッグの曝露を受けると、目や喉などに痛みを感じたり、重症例では呼吸困難や意識障害などの重篤な症状を発症することがある。これを光化学スモッグ障害と呼ぶ。
対策としては、光化学スモッグが発生した、あるいは発生の恐れがある場合は屋内に退避し、窓などを閉め切って汚染物質の曝露を防ぐことが挙げられる。光化学スモッグが発生する可能性がある際には都道府県などから注意報・警報が発令されるため、これらが発令された場合は屋外活動を中止し、速やかに屋内に退避するべきである。
光化学スモッグ障害が発生した場合、清潔な水などで汚染物質を洗い流し安静にする。症状が消えない場合や呼吸困難などの重症症状がある場合は医師による治療を受ける。
その他、濃度や曝露時間によっては農作物に枯死などの影響が出ることもある。
黒いスモッグと白いスモッグ
スモッグ(smog)という名称は、英語の煙(smoke)と霧(fog)に由来する。光化学オキシダントの他にも石炭燃焼に伴う煤煙や二酸化硫黄などが霧と混じったものなどによる大気汚染もスモッグと呼ばれる。歴史的には後者の方が古く、19世紀から20世紀半ば頃まで全世界で猛威を振るった。特に1952年にはロンドンで大規模なスモッグが発生し、これによる健康被害で数千人の死者が出る大惨事になっている。これは煤煙を主成分とすることから黒いスモッグと呼ばれる。
これに対し、光化学オキシダントを主成分とする「白いスモッグ」は20世紀後半のモータリゼーションによって見られるようになったと言われている。即ち自動車の排気ガスに含まれる二酸化硫黄、窒素酸化物などが主原因となるもので、これは霧の日に発生する黒いスモッグと違い晴れた霧の無い日に発生することが特徴である。二酸化硫黄についてはその後ガソリンの脱硫が進んだことで大きく減少しているが、窒素酸化物については21世紀となった現代においても排出が続いており、今日の光化学スモッグの原因となっている。
関連動画
関連項目
- 4
- 0pt