『児雷也豪傑譚』とは、現代の多くの創作物に影響を与えた挿絵付き娯楽小説である。
概要
文化3年(1806年)に刊行された読本『自来也説話』を基に、天保10年(1839年)から明治元年(1868年)にかけて刊行された合巻(それまでの草双紙基準で複数冊に相当するような多いページ数を、合わせて一冊にした娯楽本)で、主人公の盗賊・忍者「児雷也」、ヒロインの「綱手」、児雷也の宿敵「大蛇丸」をメインに据えた物語が展開される。
最初の作者は美図垣笑顔で、その後は一筆庵主人、柳下亭種員、柳水亭種清が順に執筆を引き継いでいる。美図垣笑顔が作者代表として挙げられることも多いが、美図垣笑顔が書いたのは最初の5編のみ。最も多く執筆しているのは柳下亭種員で、全43編中28編と3分の2以上を柳下亭種員が担当している。
この柳下亭種員は全ての合巻中で最長の人気作品『白縫譚』の初代作者でもあり、人気の戯作者だった。
挿絵は歌川国貞・歌川国輝・歌川国盛・二代目歌川国貞・歌川国芳・歌川芳房・歌川芳幾と、浮世絵で有名な歌川一門の絵師が担当している。
このように人気戯作者・絵師たちによって約30年もの長期にわたり書き継がれた優れた作品である。しかし「人気があったからやや強引に継続した」感もあるようで、作者の交替も影響してか作風や設定が一貫していないという評価が与えられることもある。
なお最終の第43編で物語が大団円を迎えたわけではなく、幕末・明治維新の際の社会の混乱のためか未完のままで刊行が途絶えた形となっている。
本作を基にした歌舞伎狂言『児雷也豪傑譚話』は現在でも公演されている。
ストーリー
家の再興を目指す義賊・児雷也は、蝦蟇を召喚・使役する妖術を用いて各地で妖怪や悪人を懲らしめるなど活躍する。その後、蛞蝓を使役する妖術を使う絶世の美女・綱手を娶り、蛇を操る極悪人・大蛇丸との対決を繰り広げる。
日本では「蝦蟇は蛇が苦手、蛇は蛞蝓が苦手、蛞蝓は蝦蟇が苦手」という俗説があり、主要登場人物三名はこれらを元にした三すくみの関係になっている。
NARUTO疾風伝 #133(353)「自来也豪傑物語」
タイトルこそ『児雷也~』と同じであるが、内容は全く異なる。原作・アニメともに屈指の名エピソードであり、雨隠れの里を舞台に、暁・ペイン六道による九尾捕獲を食い止めるため、自来也は単身雨隠れの里で決死の戦いに挑む。
関連書籍
関連項目
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