兜甲児とは、1972年にフジテレビ系列で放映された永井豪原作のTVアニメ『マジンガーZ』および同タイトルの漫画の主人公である。『マジンガーZ』は多くの媒体でリメイクや派生作品が生まれているが、その主人公もまた「兜甲児」の名を冠することが多い。
CVは石丸博也(『マジンガーZ』『グレートマジンガー』『UFOロボ グレンダイザー』等)、山口勝平(『CBキャラ 永井豪ワールド』)、赤羽根健治(『真マジンガー衝撃!Z編』)、光嶋誠(『マジンガーZIP!』)、森久保祥太郎(『マジンガーZ / INFINITY』)、下野紘(『グレンダイザーU』)。
概要
基本的にどの媒体でも明るい熱血漢として描かれるため、ベースとなっているのは最初の兜甲児である1972年のTVアニメ版であることに間違いはないはず。
「昭和」と言う時代の若者像を反映したせいか、16歳にしてノーヘルで大型バイクを公道でぶっとばすというちょっと不良じみた面があるが、基本的に目上の人間に対しては礼儀正しく、弟の兜シローや他人には優しい人物である。
ちなみに、兜甲児は明確に16歳と発言されているわけではないが、次回作『グレートマジンガー』で18歳とされているので、逆算して放映開始時は16歳となる。
天才科学者「兜十蔵」を祖父に持つ兜甲児は、ある日謎の襲撃者によって命を落とした祖父に、使い方によっては「神にも悪魔にもなれる」「スーパーロボット」「マジンガーZ」を託される。
甲児は何もわからないままマジンガーZに乗り込み、その巨大な力に翻弄されながらも、多くの仲間と協力しあい、祖父の命を奪い、機械獣軍団によって世界征服をたくらむ「Dr.ヘル」の一派と2年にも及ぶ戦いをマジンガーZと共に挑んで行く。
マジンガーZ
前述の経緯によってマジンガーZに乗ることになり、同時に「日本の巨大ロボットアニメーション」において初めて「ロボットの内部に搭乗して操縦する」という後年に今なお続くパターンを確立した人物であり、ロボットアニメ史を語るなら絶対にはずすことのできない人物である(人によっては「『アストロガンガー』が最初じゃないか」言う人もいるかもしれないがそれはそれ)。
今となっては「ロボットの操縦」については「訓練する」「操縦ロボットが一般的な世界」「睡眠学習などで操縦法を脳内に直接インプット」「ロボットの動きが搭乗者の思考に同調する」「モビルトレースシステム」など後年の創作者たちによっていろいろな方式が試行錯誤されているが、番組初期はまさしく兜甲児も製作スタッフも「手さぐり状態」だった。
今までにない「巨大な人型の機械」に「人が乗って」動かすとはどういう事なのかを作品内のエピソードと交えながら展開していき、兜甲児がマジンガーZと一心同体になるまでを描いたのがこの作品のキモのひとつである。
例えば本作では操縦がバイクに似ている、そして甲児はバイクが得意という設定で初めてでも操縦が可能な事に理由を付けている
特徴的なツンツン頭、戦闘においては真っ先に戦場へ駆けつける潔さ、可愛い女の子にはちょっぴり弱いなど、後年の熱血少年キャラのテンプレとして認識されがちだが、本人は突然手に入れた大きな力に飲み込まれる事なく、亡き祖父へ「正義のため」にマジンガーZを使う事を強く決意したり、劇場版『マジンガーZ対暗黒大将軍』では絶望的な状況に苦悩しながらも恐怖に耐えて立ち向かう事を決意する繊細な内面も描写されている。
後年スパロボの影響か気合いですべてを解決するような男と見られる事も有るが、むしろそのような面は少なく、知恵と勇気と仲間との工夫によって機械獣を打倒する場面も多い。
例:マジンガーは空が飛べない!→アフロダイAのおっぱいミサイルに捕まれば飛べる!!等
グレートマジンガー
前作の最終回で弓さやかと共にアメリカに留学しており、帰国するのは終盤の第53話。
恩師の弓弦之助教授から要請を受けて帰国。パワーアップした(と思われる)マジンガーZを操縦し、グレートマジンガーに助けられた前作とは逆に今度はグレートを助けるために活躍した。
UFOロボ グレンダイザー
前作での戦いの後に再びアメリカへ渡ってUFOを研究、「TFO」なる円盤を作って帰国したのが今作の彼である。
帰国したのと同時期にベガ星連合軍が来襲。
甲児は異星人との友好のために彼らと接触しようとしていたが、攻撃を受けた&グレンダイザーに助けられたのをきっかけに三たび戦う事を決意する(が、今作ではマジンガーZには全く乗らない)。
番組初期は、TFO(当初は武装なし、のちにミサイルを搭載)に乗って単独で戦いを挑んではすぐにやられる単なる足手まといでしかなかったが、第35話以降は支援メカ「ダブルスペイザー」に搭乗(第45~49話までは「ドリルスペイザー」も兼任で操縦)。デューク・フリード(番組の主人公)のサポート役を立派に務めるようになる(この2つと「マリンスペイザー」の各種地球製スペイザーは「有人ジェットスクランダー」と言うべきサポートメカ)。
なお、初期は牧葉ひかる(ヒロインその1)に想いを寄せていたようだが、中期以降はグレース・マリア・フリード(ヒロインその2でデュークの妹)といい仲になっていく。
劇場版『UFOロボ グレンダイザー対グレートマジンガー』では、敵に奪われたグレートマジンガーを取り戻した後にそれを操縦。映画とTV、Zとグレートの違いこそあるが、鑑賞者は「『グレンダイザー』でマジンガーに乗る兜甲児」を見る事が出来た(TVでは一度だけボスボロットに乗った事があり、漫画版ではマジンガーZに乗った事がある)。
ちなみに、ゲーム『スーパーロボット大戦』シリーズでは「本作原典の甲児」の出演が少なく、愛機のダブルスペイザーも大体がひかるかマリアが乗っている。
マジンカイザー(死闘!暗黒大将軍含む)
キャラデザが原作拠りになったこと以外は昭和版とあまり変わらない。ただし今回兜十蔵博士は行方不明扱いであり、また剣鉄也や炎ジュンが光子力研究所所属となっているなど、彼の周囲が変化している。
愛機マジンガーZは第一話にして破壊されあしゅら男爵に奪われており、本作では「最強の魔神」マジンカイザーに乗ることとなる。
カイザーの未知数すぎる戦闘能力ゆえに序盤は出撃を禁じられるなどしたが、中盤にはカイザーで海水浴に行くなどかなり余裕が出ていた。
『死闘!暗黒大将軍』ではミケーネ帝国との戦いで次々と死んでいく仲間達の想いを胸に、宇宙で整備されていたマジンカイザーに乗り込み闘った。
真マジンガー 衝撃!Z編
本作は原作漫画版、ならびに漫画「Zマジンガー」などの設定を元にしており、それまでの作品とは若干異なる雰囲気を醸し出している。
兜兄弟は(途中まで)「くろがね屋」という温泉に身を寄せており、またネタバレになるが母が存命であるなど環境が大幅に異なっている。甲児はこのくろがね屋で心身ともに大幅に鍛えられている(元からケンカは強かった)。
ちなみに珍しくさやかを呼び捨てにする。
マジンガーZ / INFINITY
TV版マジンガーZ、並びにグレートマジンガーの直接の続編となり、その10年後を描いている本作では、28歳に成長した姿を見せている。
相棒の剣鉄也が現役でグレートのパイロットとして活躍し、弟のシローもパイロットの道を選ぶ一方で彼自身は研究者の道を進んでおり、歴代で最も博識な兜甲児と言って差し支えない。
しかし人間関係については良くも悪くも10年前のままであり、ボス達との友情は変わらないものの、さやかとの仲については特に進展がない(この辺りは鉄也とジュンのそれと対を成すように作中では描写されている)。
グレンダイザーU
『グレンダイザー』のリメイク作品となる今作では、当然兜甲児も登場する。また、旧作とは違いマジンガーZも地球側の防衛力として登場する。
今作の兜甲児は光子力によってなした財で、大富豪と正義の味方の二つの顔を持っている。砂漠で発見した宇門大介/デューク・フリードに対してはその能力に信頼を寄せている。
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