公衆電話とは、不特定の者が利用できるように道路や施設内に設置してある電話機のことである。
概要
もともと、電話加入権や電話機本体の価格が高く、庶民が利用しにくかった電話のサービスを使いやすくする目的で始まったとされる。
一般家庭や企業に固定電話が普通に設置されるようになった後は、外出先からそれらの場所に連絡を取るための施設に変化した。公衆電話の存在を前提として、NTTは1968年に無線呼び出し(ポケットベル)のサービスを開始している。
しかしながらその後、携帯電話・PHSなど持ち運び可能な電話機が小型・軽量・安価になり広く普及したこと、それに電子メールやSMSの普及によって電話で要件を済ます事自体が減少したため、現在では世界中でその設置台数が減少している。日本では1985年に90万台以上設置されていた公衆電話が、2018年度末時点では約15.5万台[1]にまで減少した。
但し、携帯電話の電波が届かないようなところ(僻地やトンネル内など)、それに携帯電話の電波が輻輳などにより繋がらなくなる(特に災害時)時などでは、公衆電話の意義は今なお高い。また、総務省の基準に基づき設置される公衆電話においては、前述の理由で概ね1km四方に最低1台は設置するよう義務が課されているため、絶滅が危惧されているという訳ではない。ただし、NTT東日本・NTT西日本ともに新規の設置は見合わせているため、たとえば新興住宅地や震災復興地域、都市の再開発をした場所などでは公衆電話がなくなっている場合もある。結果、面積に対しての電話機のメッシュ・カバー率が85.9%の東京都に対して大分県は全体面積の12.9%しかフォローできていなかったりする。もっとも、2017年以降に、災害時・緊急連絡用の特設公衆電話設置を大分県などで実施されるなど、少しずつではあるが改善の兆しが見え始めている。
日本の公衆電話は、固定回線を用いるものはNTT、無線を用いるものはNTTコミュニケーションズかNTTドコモが管理しているものが大半であるが、数は少ないとはいえ、それ以外の通信事業者が設置・運営しているものも存在する。例えば九州新幹線の車内電話は、2011年までソフトバンクテレコム(旧日本テレコム)の管轄だった。現在はソフトバンクテレコム、KDDIともに公衆電話サービスを停止している。
NTT設置の公衆電話では、10円・100円硬貨と、テレホンカードが利用できるものが多い。ただし特殊簡易公衆電話(ピンク電話)の場合は硬貨のみ、無線を用いる鉄道車両・船舶内に設置されている公衆電話はテレホンカードのみに対応しているものが大半である。また100円硬貨を用いた場合、釣銭は返って来ない。
その他、日本内外の国際電話が可能な一部の公衆電話では、クレジットカードを挿入して利用するタイプのものもある。
また国際電話が不正利用(偽造テレホンカードを用いたものなど)の温床となったことがあるため、NTT設置の公衆電話で国際電話にかけられるものは数が限られている。ただし、番号式テレホンカード(KDDIスーパーワールドカードなど)を使った場合は、この限りではない(非対応の電話機からも発信ができる)。
関連動画
関連静画
関連項目
- 電話
- 公衆電話の跡
- NTT (NTT東日本 / NTT西日本)
- NTTドコモ / NTTコミュニケーションズ
- KDDI / ソフトバンクテレコム
- 携帯電話 / スマートフォン
- PHS / ポケットベル
脚注
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