内藤國雄とは、マルチな才能を発揮したタレント、もといプロの将棋指しである。1939年11月15日生まれ。兵庫県神戸市出身。藤内金吾八段門下。70歳近くまで現役で活躍し、2015年3月に引退した。棋士番号77。九段。
内藤国雄とも書かれることがあるが、本名は旧字体を用いる。ただし、後述する歌手活動としては「国雄」を用いているため、厳密には誤りではない。
概要
現役時代は、A級とB1級を三度往復するなどしたが、史上6人目の通算1100勝達成を記録するなど、第一線で活躍を続けていた強豪であり、60歳近くまでB1級にいたことからも、その凄さが窺える。タイトル獲得は通算4期(棋聖と王位が2期ずつ)、タイトル戦挑戦は13回に上る。一般棋戦も13回優勝しているが、名人戦だけは顔を出したことがなかった。
原田泰夫九段によって「自在流」と名付けられるほど、幅広い棋風を持ち、特に派手に飛角を操る空中戦を得意とした。横歩取り戦法を広めたのも内藤といわれ、後に井上慶太九段が「横歩取り8五飛戦法」を引っ提げ、棋界に旋風を呼び込んだが、その戦法の源流が彼の考案した「横歩取り3三角戦法」である。
詰将棋
内藤國雄といえば、詰め将棋の達人としても名高く、看寿賞受賞歴もある。その作品こそかの有名な「完全実戦初形」(初形で玉方、または攻め方が本将棋の配置をしていること)である。特に、攻方の「完全実戦初形」は実現不可能とまでいわれていたが、内藤は500時間以上かけてそれを実現、後世まで語り継がれることになった(どれだけ凄いかというと、まだ内藤曰くそこまで難しくなかったという玉方実戦初形ですら、あの天才伊藤看寿が実現できなかったぐらいである)。
また、彼の著作による実戦向けの詰将棋問題集は多い。但し、氏は「手数を最初からヒントとして与えるのは邪道」という意見を持っていたらしく、手数がバラバラなものが多いので、初心者は注意。
歌手「内藤国雄」
内藤国雄は、棋界随一の美声と謳われ、彼のカラオケを聴いた流しのボスから100万円やるからプロになれと勧誘を受けたほどである。そんな歌好きが昂じて1977年に発表した「おゆき」が100万枚以上を売り上げる(連盟は80万枚と発表)ヒットを記録、それゆえニコニコでは内藤のことを「おゆき」と呼ばれることがある。他に「男の酒場」という曲などがある。
歌手活動としてだけでなく、タレントとしても活動した時期があり(当時は原田泰夫などタレント活動をしていた棋士は少なからずいた)、CM出演も果たしている。引退後も講演会に引っ張りだこであり、軽妙でエスプリの利いたトークは健在。
そんな知名度の高さからか、将棋ソフトメーカーとして知られたセタが最初に出したファミコン将棋ソフトが「内藤国雄将棋秘伝」である。そのため、子どもからの知名度も高く、一番初めに知ったプロ棋士が内藤国雄という当時の少年も少なくない。
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