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冲方丁(うぶかた とう)とは、日本の小説家である。ゲーム制作やアニメ脚本や漫画原作もしている。
ペンネームは「沖方(おきかた)」ではなく「冲方(うぶかた)」なので注意。愛称はうぶちん。
概要
1977年生まれ。4歳から14歳までシンガポール、ネパールと海外で暮らしていた。
1996年、『黒い季節』で第1回スニーカー大賞金賞を受賞し19歳にしてデビュー。2000年には大長編『ばいばい、アース』を発表するが、どちらもハードカバーでの出版だったこともあって特にライトノベル界隈では知名度はほぼ無いに等しかった。この頃はセガの社員として、『シェンムー』や『セガガガ』のシナリオに携わっている。
2001年、伊藤真美作画の漫画『ピルグリム・イェーガー』がヤングキングアワーズで連載開始。2002年にはドラゴンマガジンで『カオスレギオン』を連載開始。連載開始直後にゲーム化企画が立ち上がりメディアミックス作品となる(なので、ノベライズと思われがちだが小説版が先行作)。
2003年、『カオスレギオン』『カルドセプト創伝 ストーム・ブリング・ワールド』、そして代表作となる『マルドゥック・スクランブル』を立て続けに刊行。『マルドゥック~』は第24回日本SF大賞を受賞するなど圧倒的な評価を得、『カオスレギオン』も人気シリーズとなって一躍人気作家となる。
以後、『蒼穹のファフナー』『シュヴァリエ』『ヒロイック・エイジ』などアニメ脚本を書いたり原作をやったり、創作講座本を出したり、小説分業制を提唱してみたり、富士見ファンタジア文庫とスニーカー文庫で『シュピーゲル・シリーズ』を同時展開したりと、多岐にわたってマルチに活動を続ける。
2010年には初の時代小説『天地明察』が大ベストセラーとなり、第31回吉川英治文学新人賞を受賞、第7回本屋大賞1位を獲得、直木賞にもノミネートと活躍の場、知名度ともに大きく広げた。2012年には『天地明察』が映画化され、『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。
2015年8月23日、妻へのドメスティックバイオレンス(DV)があったとして、警視庁に逮捕された。 警視庁の調べに対し、「口論はしたが殴っていない」と全面的に容疑を否認。同31日、処分保留で釈放となった。
余談
企画段階では短~中編だった小説作品を長編にまで膨らませて発表する悪癖がある(それが総じてハイクオリティなのが憎らしい)。例を挙げると、
- 担当編集「長編第一作目は剣と魔法が出るお話を250枚くらいでお願いします」
(゜Д、゜) 「ワカリマシタ。ヨーシガンバルゾー!!」
……結果、2800枚の長編が完成。後の『ばいばい、アース』である。 - 担当編集「50枚の短編を書いて下さい」
(゜Д、゜) 「ワカリマシタ。ヨーシガンバルゾー!!」
……結果、1800枚の長編が完成。後の『マルドゥック・スクランブル』である。
かつてはサイトでのテンションの高い日記や、『ドラゴンクエストⅡ 任侠鉄砲玉伝説』のようなパロディ小説でも人気があった。その活動範囲が幅広くなりすぎたためか、昔サイトにタイトルが告知されていた小説作品の多くは未刊のままになっていたりする。
作品リスト
小説
- 黒い季節 (1996年、角川書店→2006年、角川書店[新装版]→2010年、角川文庫)
- ばいばい、アース (2000年、角川書店[上下巻]→2007-2008年、角川文庫[全4巻])
- 微睡みのセフィロト (2002年、徳間デュアル文庫→2010年、ハヤカワ文庫JA)
- カオスレギオンシリーズ(全7巻)
- カルドセプト創伝 ストーム・ブリング・ワールド (2003年、MF文庫J[全2巻]→2009年、MF文庫ダ・ヴィンチ[全2巻])
- マルドゥック・スクランブル (2003年、ハヤカワ文庫JA[全3巻]→2010年、早川書房[改訂新版]→2010年、ハヤカワ文庫JA[完全版・全3巻])
- 蒼穹のファフナー (2005年、電撃文庫)
→ 蒼穹のファフナー ADOLESCENCE (2013年、ハヤカワ文庫JA) - シュヴァリエ (2006年、日経BP社)
- マルドゥック・ヴェロシティ (2006年、ハヤカワ文庫JA[全3巻]→2012年、ハヤカワ文庫JA[新装版])
- シュピーゲルシリーズ(全4巻+全4巻+全5巻)
- オイレンシュピーゲル壱 Black&Red&White (2007年、角川スニーカー文庫)
- スプライトシュピーゲル1 Butterfly & Dragonfly & Honeybee (2007年、富士見ファンタジア文庫)
- オイレンシュピーゲル弐 FRAGILE!!/壊れもの注意!! (2007年、角川スニーカー文庫)
- スプライトシュピーゲル2 Seven Angels Coming(2007年、富士見ファンタジア文庫)
- オイレンシュピーゲル参 Blue Murder (2007年、角川スニーカー文庫)
- スプライトシュピーゲル3 いかづちの日と自由の朝 (2007年、富士見ファンタジア文庫)
- スプライトシュピーゲル4 テンペスト (2008年、富士見ファンタジア文庫)
- オイレンシュピーゲル肆 Wag The Dog (2008年、角川スニーカー文庫)
- テスタメントシュピーゲル1 (2009年、角川スニーカー文庫)
- テスタメントシュピーゲル2(上) (2015年、角川スニーカー文庫)
- テスタメントシュピーゲル2(下) (2015年、角川スニーカー文庫)
- テスタメントシュピーゲル3(上) (2016年、角川スニーカー文庫)
- テスタメントシュピーゲル3(下) (2017年、角川スニーカー文庫)
- 天地明察 (2009年、角川書店→2012年、角川文庫[上下巻])
- マルドゥック・フラグメンツ (2011年、ハヤカワ文庫JA)
- OUT OF CONTROL (2012年、ハヤカワ文庫JA)
- もらい泣き (2012年、集英社→2015年、集英社文庫)
- 光圀伝 (2012年、角川書店→2015年、角川文庫[上下巻])
- はなとゆめ (2013年、KADOKAWA→2016年、角川文庫)
- マルドゥック・アノニマス(続刊中、全9巻予定)
- 十二人の死にたい子どもたち (2016年、文藝春秋→2018年、文春文庫)
- 戦の国 (2017年、講談社→2020年、講談社文庫)
- 破蕾 (2018年、講談社→2021年、講談社文庫) ※文庫版から「雲居るい」名義
- 麒麟児 (2018年、KADOKAWA→2021年、角川文庫)
- 剣樹抄 (2019年、文藝春秋→2021年、文春文庫)
- アクティベイター (2021年、集英社)
- 月と日の后 (2021年、PHP研究所)
- 剣樹抄 不動智の章 (2021年、文藝春秋)
- 骨灰 (2022年、KADOKAWA)
- マイ・リトル・ヒーロー (2023年、文藝春秋)
アニメ
- 蒼穹のファフナー (2004年、文芸統括・シリーズ構成[16話以降]・脚本[12話以降全話])
- 蒼穹のファフナー RIGHT OF LEFT (2005年、脚本)
- シュヴァリエ (2006-2007年、原作・シリーズ構成・脚本)
- ヒロイック・エイジ (2007年、原作・シリーズ構成・脚本)
- マルドゥック・スクランブル (2010-2012年、原作・脚本)
- 蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH (2010年、脚本)
- 攻殻機動隊ARISE (2013-2014年、シリーズ構成・脚本)
- PSYCHO-PASS サイコパス 2 (2014年、シリーズ構成)
- 攻殻機動隊 新劇場版 (2015年、脚本)
- 蒼穹のファフナー EXODUS (2015年、シリーズ構成・全話脚本)
- 蒼穹のファフナー THE BEYOND (2019年-2021年、シリーズ構成・脚本)
- PSYCHO-PASS サイコパス 3 (2019年、シリーズ構成)
- HUMAN LOST 人間失格 (2019年、ストーリー原案・脚本)
- PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPCTOR (2020年、脚本)
- RWBY 氷雪帝国 (2022年、シリーズ構成・脚本)
漫画(コミカライズは除く)
- ピルグリム・イェーガー (作画:伊藤真美、2001年-2006年「ヤングキングアワーズ」連載、全6巻)
- シュヴァリエ (作画:夢路キリコ、2005年-2009年「月刊マガジンZ」連載、全8巻)
- サンクチュアリ THE 幕狼異新 (作画:野口賢、2009年-2011年「オースーパージャンプ」連載、全2巻)
- ガーゴイル (作画:近藤るるる、2013年-2015年「ヤングキングアワーズ」連載、全4巻)
- マルドゥック・デーモンズ (作画:皆本形介、2016-2018年「水曜日のシリウス」連載、上下巻)
関連商品
関連項目
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