初春型駆逐艦とは、大日本帝国海軍の一等駆逐艦である。同型艦6隻。
概要
ロンドン海軍軍縮条約で特型駆逐艦の製造を禁じられた海軍は、特型(1680t)よりも約200t小さい1400tの船体に特型に準ずる性能を持った艦の建造に着手した。こうして誕生したのが初春型駆逐艦である。
しかし、従来の特型駆逐艦よりも小さな船体に特型同等の兵装を搭載した結果重心が上がり、復元性に重大な欠陥が露呈した。(初春の公試運転や友鶴事件)さらに軽量化を進めるために用いられた電気溶接も当時の技術水準から信頼性が不足しており(第四艦隊事件)、兵装の見直しを余儀なくされた。その結果排水量の増大と速度の低下を招き、いわば「失敗作」と目されるようになった。
これらの経過を受け海軍は当初の計画を変更して初春型駆逐艦の建造を6隻で中止。設計を大幅に見なおした白露型駆逐艦の建造を行うこととなった。
性能諸元
排水量 | 基準:1400t →1700t |
---|---|
全長 | 109.5m |
全幅 | 10.0m |
吃水 | 3.03m → 3.5m |
機関 | ロ号艦本式缶3基 艦本式タービン2基2軸 42000馬力 |
速力 | 36.5kt→33.27kt |
航続距離 | 14ktで4000海里 |
燃料 | 重油:458t |
乗員 | 205名 |
兵装 | 50口径三年式12.7cm連装砲B型2基 50口径三年式12.7cm単装砲A型 1基1門 40mm単装機銃 2挺 十二年式3連装魚雷発射管3基9門(八年式魚雷18本)→2基6門(九〇式魚雷12本) ※魚雷次発装填装置付 |
同型艦
計 画 順 |
艦名 | 起 工 順 |
起工日 (建造所) |
進 水 順 |
進水日 | 竣 工 順 |
竣工日 (所属駆逐隊) |
喪 失 順 |
喪失日(状況) (喪失場所) |
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1 | 初春[Ⅱ] 第五十九號驅逐艦 →初春(艦これ) |
1 | 1931年5月14日 長崎・佐世保海軍工廠 |
2 | 1933年2月27日 | 1 | 1933年9月30日 第二一駆逐隊[II] |
5 | 1944年11月13日戦没 マニラ湾(空襲) |
2 | 子日[Ⅱ] 第六十號驅逐艦 →子日(艦これ) |
3 | 1931年12月15日 神奈川・浦賀船渠 |
1 | 1932年12月22日 | 1 | 1933年9月30日 第二一駆逐隊[II] |
1 | 1942年7月5日戦没 アガッツ島ドック湾沖(潜水艦) |
3 | 若葉[Ⅱ] 第六十一號驅逐艦 →若葉(艦これ) |
2 | 1931年12月12日 長崎・佐世保海軍工廠 |
4 | 1934年3月18日 | 4 | 1934年10月31日 第二一駆逐隊[II] |
4 | 1944年10月24日戦没 スル湾(空襲) |
4 | 初霜[Ⅱ] 第六十二號驅逐艦 →初霜(艦これ) |
5 | 1933年1月31日 神奈川・浦賀船渠 |
3 | 1933年11月4日 | 3 | 1934年9月27日 第二一駆逐隊[II] →第十七駆逐隊[III] |
6 | 1945年7月30日戦没 宮津湾(空襲・機雷接触) |
5 | 有明[II] 第六十三號驅逐艦 →有明(艦これ) |
4 | 1933年1月14日 神戸・川崎造船所 |
6 | 1934年9月23日 | 5 | 1935年3月25日 第九駆逐隊[Ⅳ] →第二七駆逐隊[Ⅲ] |
3 | 1943年7月28日戦没 ニューブリテン島グロスター岬(空襲) |
6 | 夕暮[II] 第六十四號驅逐艦 →夕暮(艦これ) |
6 | 1933年4月9日 京都・舞鶴海軍工廠 |
5 | 1934年5月6日 | 6 | 1935年3月30日 第九駆逐隊[Ⅳ] →第二七駆逐隊[Ⅲ] |
2 | 1943年7月20日戦没 チョイセル島沖(空爆) |
関連項目
大日本帝国海軍 一等駆逐艦 艦級一覧 | |
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戦間期 | 海風型 - 浦風型 - 磯風型 - 江風型 |
峯風型 - 神風型[II] - 睦月型 - 吹雪型(特型) - 初春型 - 白露型 - 朝潮型 - 陽炎型(甲型) | |
戦中 | 夕雲型(甲型) - 秋月型(乙型) - 島風(丙型) - 松型(丁型) |
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