初音ミク(はつね みく)は、クリプトン・フューチャー・メディアが開発・発売しているバーチャルシンガーソフトウェア、およびそのキャラクター。
概要
クリプトン社のバーチャルシンガー。
同社の「ピアプロキャラクターズ」でも高い知名度を持ち、「電子の歌姫」の二つ名でも知られる。
第一弾はVOCALOID2エンジンを使用した「キャラクター・ボーカル・シリーズ01」として発売され、爆発的ヒットを記録。
ネット発の一大ムーブメント「初音ミク現象」を起こし、アマチュアやプロ、企業、地域を「創作の連鎖」に巻き込み、「ボカロ」という音楽ジャンル・文化を築いた。
後の文化や音楽シーンにも大きな変化を及ぼしたと言われ、時代のターニングポイントとなった。その影響力の高さから教科書にも掲載されている。
「キャラクター」としても波及しており、後述するCGM発の創作文化を商業シーンに取り入れた膨大な数のメディアミックス作品を世界中で展開。音楽だけではなくイラストやフィギュア、ゲーム、イベントなどで多角的に成功を収めた(メディアミックスについては後述)。
ニコニコ動画で元気にネギを振り回していた子は、ネット発の文化の象徴的存在となったのである。
2020年には「プロジェクトセカイ」がリリースされ、若年層を中心に大ヒット。
さらにクリプトン社と産総研が共同開発したVOCALOIDではない新エンジンを採用したミクの音声合成ソフトが発売されるなど、ミクを取り巻く環境は劇的な変化を見せている。
2021年、海外メディアの取材で初のオリジナルアニメ/漫画のシリーズ(制作中)の存在が判明。これまでアニメ化に否定的だったクリプトン社の姿勢にも変化が見られる。
初音ミク現象
初音ミクはUGC=ユーザー生成コンテンツとそれによって形作られるCGM=消費者生成メディアによって成立している。
ミクのブームによってCGM型投稿サイトの中で様々なクリエイターが二次創作、三次創作、四次創作と表現を重ねる「n次創作」の現象が発生。クリプトン社はこれを「創作の連鎖」と呼んだ。「初音ミク現象」はこのn次創作(創作の連鎖)が土台になっている。
- ミクの登場によって「ボカロ」という音楽ジャンル・文化が生まれた。ボカロ文化はDTMの他アイドルマスターMAD文化の様式も継承している。当時の“架空のアイドルをプロデュースしたい”という熱気・需要をミクが一手に引き受ける形となったのである。「ボカロP」という呼び方もアイマスのユーザー・動画投稿者を○○P(プロデューサー)と呼んでいたことに由来する。
- 各種XR技術を使った3DCGライブイベントを国内外で展開しており、仮想世界で生み出された熱気を現実世界で可視化させる事に成功する。ミクはこの手のライブの先駆者・代表格として扱われている。また、バーチャルタレント・広告塔としても実績を残している。
- メルトショック(詳細は記事を参照)
- ミクはフィギュアブームの火付け役・牽引役ともいわれる。ミク初の立体商品「ねんどろいど 初音ミク」は飛ぶように売れ、2013年3月までに12万個以上を出荷する記録的なヒット商品となった。ねんどろいどはミクと共に成長したブランドとも。
- pixivではキャラ別のタグ投稿数で大差の1位を誇る(作品名タグを含めると5位)。音楽より絵の方で馴染み深いという者も多いようである。
- 歌唱/読み上げソフトの普及と知名度向上に大きく貢献。ミクが失敗したらボカロ自体が断絶していた可能性があったという。
- ミクの名を冠したソフト「MikuMikuDance」の公開によって、3DCGを動かすことに対する敷居が格段に低くなった。ミクは日本史Aや英語、音楽の教科書に掲載されているのだが、後にMMDも情報の教科書に採用されることになる(題材はミク)。
プロフィール
年齢 | 16歳 | 得意ジャンル | アイドルポップス/ダンス系ポップス |
---|---|---|---|
身長 | 158cm | 得意な曲のテンポ | 70~150BPM |
体重 | 42kg | 得意な音域 | A3~E5 |
ソフトウェアについてはVOCALOID、初音ミクNTの記事を参照。
公式設定以外のミクの楽曲・イラストはニコニコ動画やピアプロなどのCGM型プラットフォームで発表されたもので、それらをクリプトン公式などの商業企画が汲み取るというのがピアプロキャラクターズ界隈での様式となっている。
ミクを代表するアイテム「ネギ」も元はCGM発の設定(ネギ、Ievan Polkkaを参照)。
公式には年齢、身長、体重と得意な音域及び音楽ジャンル程度の情報しか発表されていない。容姿に関しても、パッケージイラストの他に歌っている姿を表したイラストと「はちゅねミク」とは別の方向で描かれたデフォルメイラストの計3点のみが公式とされる。
「プロジェクトセカイ」の様なクリプトンが根底から関わるケースでも「あくまでその作品における設定」という形になっており、ユーザーの投稿作品とクリエイティビティが尊重されている。
パッケージの公式絵等で分かる通りどちらかと言うとやや貧乳気味。キャラクターデザインを担当したKEI曰く、大きなツインテールはバーチャルな存在なら大丈夫だろうと思ってデザインしたとの事。胸があまり無いだけでかなりのモデル体型。
主なメディアミックス・商業企画
クリプトン社が主催・開発・運営・監修・協賛などの形で関係する企画。
本項では「キャラクター」「プロジェクト」「イベント」「ゲーム」「アニメ」「その他」に分けて解説する。あまりにも多すぎるので「クリプトン公式かつ恒例化/シリーズ化している企画」を特筆事項として単独で記載、単発企画は分野ごとに纏める。
キャラクター
ミクたち(ピアプロキャラクターズ)にはメディアミックスのために設定された衣装・姿が存在する。クリプトンはもちろんグッスマとセガが関与しているケースも多い。
- ピアプロキャラクターズ
- クリプトン社のバーチャルシンガーソフトウェア及びキャラクター。
初音ミク、鏡音リン、鏡音レン、巡音ルカ、MEIKO、KAITOの6名を指し、キャラクターとしても様々なメディアミックスで成功を収めている。 - 雪ミク
- 冬季版ミク。クリプトン社の地元である札幌市および北海道の「冬」を象徴するご当地キャラクター的な存在。後述するイベント「SNOW MIKU」を中心に活躍する。デザインは公募で、テーマ曲とともにシーズンごとに変わる。
- 桜ミク
- 淡い桜色が特徴の春季版ミク。2019年には青森県・弘前さくらまつりの公式応援キャラクターに就任し、それ以来青森のイベントにも頻繁に起用されている。
- レーシングミク
- 「初音ミクGTプロジェクト」用にデザインされたレースクイーン。その年のデザインがマシン(通称:ミク号)やピット、レースクイーン(ミクサポーターズ)にも反映される。巡音ルカにも専用デザインが用意されている。
- モジュール/コスチューム
- モジュール:ゲーム「初音ミク -Project DIVA-」シリーズの概念。簡単に言えば基幹となるキャラとその衣装・亜種・派生キャラの3Dモデルの事で、これらを自由にコンバートできる。DIVAの3Dモデルはセガが関わった3DCGライブにも流用されている。
モジュールには元動画がベースのデザインやクリプトンが運営するCGM型サイト「ピアプロ」で公募したデザインを取り入れている。さらにマジカルミライや雪ミク、桜ミク、レーシングミクといったバリエーションの他、その他の人気派生キャラクターもモジュールや背景として登場する。
コスチューム:ゲーム「プロジェクトミライ」には「コスチューム」と言う概念もある。デザインの切り替えという観点からもモジュールと全く同じ概念と言える。 - ミクダヨー
- ミクダヨー。
- セカイのミクたち
- ゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」に登場。5つの主要ユニットのメンバーの“想い”から誕生した、5つの「セカイ」とピアプロキャラクターズ。
作中では「教室のセカイ」「ワンダーランドのセカイ」「ステージのセカイ」「ストリートのセカイ」「誰もいないセカイ」が登場し、セカイのミクたちは容姿・性質がそれぞれ異なる。 - 初音ミクif
- ミクの初期デザイン(ボツ案)。髪型がハーフアップになっている。ifという名称は公式イベント「初音ミク・クロニクル」で設定された。
- それ以外
- 「初音ミク公式イラストに付けられた愛称一覧」の記事にもある通り、クリプトン公式イベントで誕生した衣装違いのミクに、ファンがあだ名をつける事が恒例化している。
- また、はちゅねミクに代表されるCGM発の公認派生キャラ、発音ミクやフェイ・イェンHDに代表される商業IPコラボから誕生した派生キャラもいる。
プロジェクト
- 初音ミク GTプロジェクト(自動車レース)
- レーシングミクを主体としたグッドスマイルレーシング(現在)とのコラボプロジェクト。SUPER GT300クラスに参戦している。ミクの痛車だが、色物どころか何度もシーズンチャンピオン(と表彰台)の栄冠を掴んだ古豪である。
- SEGA feat. HATSUNE MIKU Project(総合メディアミックス)
- セガ×初音ミク(クリプトン社)のプロジェクト。ゲームやグッズ、3DCGライブイベントの技術協力・制作など長期に亘って展開されており、グッドスマイルカンパニーと共に初音ミクのシーン形成で重要な役割を果たした。
2007年9月に発案。セガからクリプトン社に打診し、2008年5月に正式なプロジェクトが発足。第一弾のリズムゲーム「初音ミク -Project DIVA-」制作開始を皮切りに、ミク(ピアプロキャラクターズ)を主体とした様々な展開に関わる。「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク」など、ミクを中心とした新たなメディアミックスプロジェクトも行っている。 - 初音工房 / 初音工房プロジェクト
- 株式会社糸口×ミク(クリプトン社)による、日本工芸の精神を未来に繋げるプロジェクト。簡単に言うならミクと伝統工芸を生業とするクリエイターのコラボである。
その第一弾は「紋様と浴衣」をテーマにした限定品で、ミク16歳記念企画(後述)の一つ「ミク×伊勢丹コラボ」で初披露された。 - 初音ミク Happy 16th Birthday -Dear Creators-
- 後述。
イベント
- SNOW MIKU
- クリプトン社が主催する北海道のローカルイベント。冬季版ミク「雪ミク」と一緒に北海道の冬を盛り上げる。毎年新たな雪ミクのデザイン・曲が発表される。ミク以外も冬季仕様になる。
- 初音ミク「マジカルミライ」
- クリプトン社×TOKYO MXによるピアプロキャラクターズ総合イベント。通称:マジミラ。
透過型スクリーンを使った3DCGライブ、グッズ販売、展示など様々な企画が催される。セガも関わっている。ライブにはDIVAとクリプトン系のモデルが使用されている。
名称は「本気(マジ)なコンサートと初音ミクの文化(カルチャー)のこれまでと未来(ミライ)」から。 - MIKU EXPO
- 国内外で展開されるミクのワールドツアー。いわば海外版マジミラ。日本ツアーも行われている。
- HATSUNE MIKU DIGITAL STARS
- ミクの影響下にある様々な創作文化とその創作者によるカルチャーミックス企画。通称:デジスタ。以前はMIKU EXPOのサブイベントだったが、2020年に初の単独開催。
- 初音ミクシンフォニー
- ピアプロキャラクターズが出演するオーケストラコンサート。他社のキャラが出演することも。
- 上記以外の3DCGライブイベント
- 最初に透過型スクリーンを使って行われた「ミクフェス09(夏)」や「初音ミク ライブパーティ(ミクパ)」「ミクの日感謝祭(ミク感)」は、その様式を「マジカルミライ」へと継承した。それ以外にも「Project DIVA発売記念ライブ」「初音鑑」「初音ミク GALAXY LIVE」など恒例イベント以外も散発的に行われている。
- 2023年にはEXPO以来7年ぶりの日本ツアー「初音ミク JAPAN TOUR 2023 ~THUNDERBOLT~(ミクボルト)」が開催され、クリプトンから派生した雷音株式会社の本家ミクライブのデビューを飾る。バンダイナムコグループが制作に関わるなど異例の要素が多い。
- 「レディー・ガガ」や「BUMP OF CHICKEN」「鼓童」「Aqours」など人気アーティストとのスペシャルコラボも行われている。
ゲーム
- 初音ミク -Project DIVA-
- 「SEGA feat. HATSUNE MIKU Project」で誕生したリズムゲーム。通称:DIVA。
ピアプロキャラクターズ及び各キャラが歌う楽曲(MV)を収録。数多くの派生デザインを「モジュール」としてクリプトン案件に組み込んだ意欲作。初音ミクシーンに大きな影響を与えた。 - 初音ミク and Future Stars Project mirai
- 「SEGA feat. HATSUNE MIKU Project」のリズムゲーム。通称:mirai、プロミラ。
3Dモデルが「ねんどろいど」のデザインになっているのが特徴。いわばDIVAのデフォルメ版。このゲームの宣伝の際に「ミクダヨー」が生まれたんダヨー。 - プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク
- セガ×カラフルパレットによるスマホ向けリズムゲームを中心としたメディアミックスプロジェクト。マジカルミライで発表された。クリプトン社はライセンサーとして、そしてプロデューサーに近い形で関与している。
ピアプロキャラクターズが出演しているが、ストーリーはオリジナルの人間キャラを主体として展開される。曲は人間×ピアプロキャラクターズによるcoverまたはオリジナル曲であるため、ゲーム外での扱いには注意が必要。
ピアプロキャラクターズと人間のシンガーが共演する3DCGライブイベント等、プロセカを軸にした新たなメディアミックスも展開されている。 - クリプトン・モバイル・コンテンツチームによるゲーム作品
- クリプトン純正(例外あり)のモバイルコンテンツ。
「初音ミク ボカロ×ライブ!」「 初音ミク ぐらふぃコレクション シリーズ」「初音ミク ロジックペイント」「初音ミク -TAP WONDER-」「初音ミク みんなで大富豪」。
前例に倣ってクリエイターとの協力体制で展開され、VOCALOID神話入りを果たしたあの人気曲もここから生まれている。が、基本的に長続きしない。
- その他
- セガから「ミクフリック」「初音ミク ライブステージ プロデューサー」「初音ミク VRフューチャーライブ」、Degicaから「初音ミクVR」が登場している。
「スーパーロボット大戦UX」にはセガコラボから誕生した派生キャラ「フェイ・イェンHD」が参戦した他、ミク本人も多数のゲームにコラボ(限定)で出演させて貰っている。
アニメ
- ミクバース(仮称)/ 初音ミクのオリジナルアニメシリーズ
- クリプトン社、Graphic India、Carlin West Agencyが制作しているというオリジナルアニメ+漫画のシリーズ企画。
クリプトン海外チームのドゥヴィーニュ・ギヨームは米国メディアの取材に対し「ファンによる創造性と芸術表現の機会を無限に与えてくれる初音ミクの本質に忠実なアニメをつくるため画期的な方法を見つけたと信じています。これはミクと世界中のファンにとって大きな瞬間となるでしょう」と答えている。詳細は不明だがアニメと実写が融合したミクバースの物語であるらしい。 - ぷちセカ
- プロセカのミニアニメ。全10話。登場人物の頭身がデフォルメされている。
- その他
- 他社IPにコラボ出演させて貰っている
派生キャラ:
「新幹線変形ロボシンカリオン」では「発音ミク」として登場し、シンカリオン H5はやぶさの運転士となった(『劇場版』では雪ミク仕様になった)。Netflix配信アニメ「ヤキトリ」では「初音ミミ」という管制AI設定の派生キャラが登場する。
本人:
「【俗・】さよなら絶望先生」「あはれ!名作くん」「邪神ちゃんドロップキックX」では本人が登場。
その他
単発の企画やグッズが網羅できないくらい多い。wikipediaではミクのメディアミックス用の分割ページをさらに分割するという事態に…。
- 雑誌・ムック
- ピアプロキャラクターズ関連の資料。セガのゲームのファンブック(DIVAやmirai、プロセカ)、マジカルミライやMIKU EXPOなどのライブイベントの冊子が販売されている。
さらに「MIKU-Pack」という現ピアプロキャラクターズ専門雑誌、セガとGSRのミクプロジェクト全体に視点を当てたムック、報知新聞と読売新聞が発行するミク関連のタブロイド、本家ソフトウェアの攻略ガイドブック、ミクを題材にしたイラストメイキング資料なんかも発売されている。 - 漫画・小説
- 現ピアプロキャラクターズとクリプトンが窓口を受け持つ派生キャラが出演。
漫画:最初期に展開された「ちびミクさん」「はちゅねミクの日常 ろいぱら!」「みくよん」「週刊はじめての初音ミク」、KEI氏による「メーカー非公式 初音みっくす」「初音ミク ‐Project DIVA‐ オムニバスコミック」など。「プロジェクトセカイ」の公式4コマにも出演している。また、公式イベント用の漫画
など単行本化されないものも…。
- 小説:ボカロ小説と呼ばれるボカロ曲を題材とした小説作品が展開されている。ただし、登場するのはバーチャルシンガーをモチーフとした名前・デザインが酷似したキャラである。
初音ミク Happy 16th Birthday -Dear Creators-
2023年に始動したミクの16歳を記念したプロジェクト。
主催はクリプトン社。メインビジュアル担当はミクNTの原案絵師の一人でもあるRella。
これまで「共創」によって多種多様なコンテンツを創出し、今やネット文化のアイコンとして世界中で親しまれるミクは、2023年にバーチャル・シンガーの初音ミクとして16歳の誕生日を迎える。本プロジェクㇳではそんなミクの軌跡を振り返りつつ、様々な新規企画が実施される。
メインビジュアルのミクは「創作の羽根」を背に纏っている。これは音楽、書籍、イラスト、フィギュア、衣装(コスチューム)、3Dモデル、編み物など、バーチャルの垣根を越えて「初音ミク」を形作ってきた創作ツールたちの集合体である。
また、装飾品にはV2~NTまでの一部デザインの意匠が採用されているため初音ミクの軌跡、あるいは現時点での集大成と言えなくもない。
本プロジェクトはクリプトン社が主催する北海道のイベント「SNOW MIKU 2023」及び「マジカルミライ10th in SAPPORO」に関連して現地のイベント会場で先行告知され、2023年2月10日に公式ウェブサイトがオープン・正式に始動する形となった。
コラボレーションした主な作品や企業など
クリプトンは世界各国に100社以上の提携先を持つほかコラボ等も盛んに行われ、その数はキャラクターIP事業によって更に拡大している。ここで記すのはその一部である。
初音ミクの登場まで
発売前史
初音ミクはボカロ・音声合成ソフトブームの立役者だが、初のVOCALOIDというわけではなくそれまでにも数体のVOCALOIDが発売されていた。
2003年にヤマハが初代VOCALOIDを発表。2004年にイギリスのZero-G社が初のVOCALOID「LOLA」と「LEON」を発売した。Zero-G社はクリプトン社と交友があり(クリプトンの伊藤社長いわく友達)、クリプトン側がVOCALOID技術を紹介して開発を持ちかけたとされている。
同年11月にクリプトン初のVOCALOID「MEIKO」をリリース。当時の成功基準の3倍もの本数を売り上げた。その後に男性音源の「KAITO」を発売するも、当時(※)はMEIKOの半分にも満たない本数に終わった。売上の低迷・開発の縮小により、VOCALOIDが断絶する可能性もあったという。
※その後、ミクの成功を受け新商品が発売。今となってはむしろ大成功である。
「電子の歌姫」初音ミクの登場
ヤマハとクリプトンの協議の末、クリプトン側が提案した「架空の少女(バーチャルアイドル)に歌わせる」というコンセプトのもと新プロジェクトが始動。後に「キャラクター・ボーカル・シリーズ」と銘打たれたこの商品企画は、これまでシンガーを起用していた中で「声優」を起用することを前提に進められた。そこで選ばれたのが『アーツビジョン』所属の藤田咲であった。
藤田が選ばれた理由は「地声がロリータボイスっぽい」「あまり演技をしていない(声を作っていない)」「藤田の声とボカロエンジンの相性が良かった」という事が大きな理由に挙がる。ミクの開発者の佐々木(wat)は「チャーミングでポップでキュートなボーカロイド」になると確信していた。
2007年6月にクリプトンのブログで「ミク」というコードネームとKEI氏のイラストが公開。発売前の時点で反響があり、予約が殺到した。
2007年8月31日、「初音ミク(V2)」が発売。発売直後から大ヒットを記録し、あまりの人気に欠品状態が続き、Amazon予約で当日に届かないことでも話題となった。
この時期に、後のワンカップPがMEIKOを使って投稿した「初音ミクが来ないのでスネています」という動画などでさらに注目を集め、話題が話題を呼び、従来のボカロを大きく上回る売り上げを叩き出した。
ニコニコ動画における初音ミク
初音ミクブームの要因、そしてクリプトンのある札幌市と並ぶ「ミクの故郷の一つ」とも言えるのがニコニコ動画(以下、ニコ動)である。
ニコ動ではミクを使用したカバー曲が次々とアップされ、しばらく後には投稿者自ら作曲したオリジナル曲が人気を得るようになっていく。オリジナル曲は当初、歌詞が「初音ミク」そのものを題材にしたものが多かったが、 やがてラブソング等、ミクの持つ独特のイメージに縛られない歌が脚光を浴びるようになっていった(メルトショック)。
ニコ動の中で「初音ミク」という無機質なデータが様々な投稿者達の手によって色々な要素を肉付けされ、 設定でしかなかったイラストがニコ動ユーザーによって形作られていった。本当の意味で、インターネットによって作られたバーチャルアイドル誕生である。
そして彼女はDTM、VOCALOIDの代名詞と言えるべき存在に成長し、今もなおとどまる所を知らない。
2008年8月31日、初音ミクの代表作の一つ『みくみくにしてあげる♪【してやんよ】』が15:09(3時9分=ミク)に500万再生を突破した。 因みにこの日は初音ミクの発売1周年の日でもある。
2009年7月2日にはセガから初音ミクを題材とした音楽ゲーム『初音ミク -Project DIVA-』がPSPで発売された。このシリーズ及びSEGAとの協力体制は、ピアプロキャラクターズを取り巻く創作に大きな影響を及ぼす事となった。
2009年7月2日同日に、上記の『初音ミク -Project DIVA-』のPSPで発売を記念してPlayStation®Homeで初音ミクのファーストヴァーチャルライブが行われた。
初音ミクを取り巻く騒動
初音ミク削除騒動
2007年10月17日頃から、GoogleやYahooのイメージ検索で、初音ミク関連の画像が一切表示されないという事象が確認された。
MSNのイメージ検索では、問題なく表示できていた。
Yahooでは10月21日頃から、Googleでは10月23日頃から検索にHITするようになり始めた。
この騒動の原因は未だ定かではないが、Yahoo、Googleは共に、意図的削除はなかったと表明している。
技術的な問題に関する説(新規イメージが検索可能になるまでに2ヵ月半ほどのタイムラグがあるなど)がいくつか報告されてはいるが、真偽は定かではない。
イメージ画像
初音ミク | はちゅねミク(公認デフォルメキャラ) |
![]() |
![]() |
ねんどろいど 初音ミク | グッドスマイルカンパニー 初音ミク |
![]() |
![]() |
関連商品
通常のミク関連
多すぎるので本家ソフト、書籍、ゲーム、グッズ、ライブ関係、CDから一品のみ紹介。
ミク派生関連
雪ミク、桜ミク、レーシングミク、派生キャラ、モジュール、プロセカ、コラボ系から一品のみ紹介。
その他は「VOCALOID関連商品の一覧」を参照。
関連コミュニティ
関連リンク
関連項目
- 135
- 0pt