判官贔屓(ほうがんびいき)とは、敗者などの苦境にある者に対して「弱い立場にある」という理由から贔屓(ひいき)し、肩入れすること。「同情心」などが原因であると言われる。
「判官」(ほうがん)とは源義経を指す。源義経の官位が判官にあたるものだったことから。源義経は兄の源頼朝と対立して追い詰められ非業の死を遂げた人物であるが、その敗者としての立場を悲劇的・好意的に描いた歴史書や創作作品は多く、これが「判官贔屓」として劣勢にある者を応援・擁護したがる風潮を指す言葉となった。
単に「苦境に陥っている」という理由だけで好意的に見ることになるため、一種の偏り(バイアス)がかかった見方になっていることを示唆する言葉であるとも言える。よって、「世間には彼を応援する人も少なくないが、彼の主張や行動について論理的に評価しているというよりも、ただの判官贔屓で応援しているように見える」といった批判的な文章にも使用される。
比較的古来から存在する傾向ではあるようで、そのためか「我々日本人は判官贔屓の傾向がある」ともよく語られる。「悲劇の英雄」を語る創作が多いことや、「弱きを助け強きを挫く」という日本語があり、義侠心のある行動様式として称賛される傾向にあることも同様に引き合いに出されることがある。ただし「諸外国の人々と比べて日本人がどれだけ判官贔屓の傾向が強いのか」といった明確なデータが示されているわけではないようだ。
類義語の外来語にアンダードッグ効果(英語:underdog effect)があり、こちらは投票などにおいて少数派/敗色濃厚と目される側に、同情などの理由から本来集まるはずの票以外が集まる現象を指して言う。外来語に類似の言葉があるところから考えても、「判官贔屓」は日本人にのみ存在する風潮というわけではないと思われる。
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