概要
定義
労働基準法第24条で「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」と定められていて、法令や労働協約による取り決めがないのならその条文を遵守しなければならない。そのため上記の定義の「賃金」を「金銭」に置換しても大体において正しいと言える。
法律における定義
労働に関する法律において労働者やそれに関連する言葉は次のように定義されている。
労働組合法第3条 この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によつて生活する者をいう。
労働基準法第9条 この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。
労働基準法第11条 この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。
日本国憲法第28条における勤労者との一致
日本国憲法第28条では勤労者に対して労働三権を保障している。
この勤労者は労働組合法第3条で定義される労働者に当たる[1]。
公務員は労働者に含まれる
日本の判例において「政府に雇われて労務を提供している公務員は日本国憲法第28条の勤労者に含む」とすることが一貫している[2]。
全逓東京中郵事件の最高裁判決(昭和41年10月26日)でも「右に述べた労働基本権は、たんに私企業の労働者だけについて保障されるのではなく、公共企業体の職員はもとよりのこと、国家公務員や地方公務員も、憲法二八条にいう勤労者にほかならない以上、原則的には、その保障を受けるべきものと解される。『公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない』とする憲法一五条を根拠として、公務員に対して右の労働基本権をすべて否定するようなことは許されない。」と述べられている。
日本国憲法第28条の勤労者は労働者のことを意味するので、公務員は労働者とみなしてよい。
労働者は経済的弱者である
「労働者は使用者に比べて経済的弱者である」と考えることが一般的である。
全逓東京中郵事件の最高裁判決(昭和41年10月26日)でも「この労働基本権の保障の狙いは、憲法二五条に定めるいわゆる生存権の保障を基本理念とし、勤労者に対して人間に値する生存を保障すべきものとする見地に立ち、一方で、憲法二七条の定めるところによつて、勤労の権利および勤労条件を保障するとともに、他方で、憲法二八条の定めるところによつて、経済上劣位に立つ勤労者に対して実質的な自由と平等とを確保するための手段として、その団結権、団体交渉権、争議権等を保障しようとするものである。」と述べられていて、労働者が経済的劣位に立つことが指摘されている。
正規雇用と非正規雇用
ちなみに正規雇用と非正規雇用という区分は労働に関する法律で定義されたものではなく、労働行政を担当する官公庁や企業の間で慣習的に使われて定着した言葉である。
関連項目
脚注
子記事
兄弟記事
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