概要
1961年山口県生まれ。駒澤大学卒。デビュー前は編集プロダクションに勤務しながらフリーライターをしており、旺文社の学年誌「中1時代」「中2時代」にて「ギャグバンク」名義で『アストロ倶楽部の事件ノート』という推理漫画の原作をしたりしていた(ちなみに作画のなるせゆうは後の西山優里子)。
1993年、光文社の公募アンソロジー『本格推理1』に短編「仮面の遺書」が収録。その後いくつかの新人賞への投稿を経て、1995年『狂乱廿四孝』で第6回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。
デビュー当初は第2作になるはずだった長編『メビウス・レター』を刊行目前で没にされてしまうなんてこともあったようだが(後に講談社から刊行)、1999年に『花の下にて春死なむ』にて第52回日本推理作家協会賞を受賞。以降、民俗学ミステリ、美術ミステリ、歴史ミステリなど多彩なミステリーを発表して人気作家として活躍した。ほか、2001年に『凶笑面』で第1回本格ミステリ大賞候補。
代表作は、民俗学ミステリーの《蓮丈那智フィールドファイル》シリーズ、骨董の世界を舞台にした美術ミステリーの《旗師・冬狐堂》シリーズ、安楽椅子探偵ものの《香菜里屋シリーズ》など。単発ものでは『メイン・ディッシュ』『共犯マジック』あたりか。ミステリーとしての魅力や、題材となる分野についての緻密なディテールもさることながら、特に作中での美味しそうな料理描写には定評がある。
主要シリーズは世界観が繋がっており、あるシリーズの主人公が別のシリーズに顔を見せたり、サブキャラクターが後に主役を務める作品が出たりといった作品間のクロスが多い。とはいえ別に全シリーズを読んでいなければ話がわからないということはないので、気になったシリーズから読むと良いだろう。
かくしてコンスタントに刊行を続けていたが、2010年、49歳の若さで急逝。現役バリバリのままの急死だったため、いくつかの作品が未完成のまま絶筆として遺されることとなってしまった。
連載途中だった『暁英 贋説・鹿鳴館』は未完のまま刊行。《蓮丈那智フィールドファイル》シリーズは途中まで書かれていた第4巻『邪馬台』を婚約者の浅野里沙子が書き継いで完成させ、未収録作と遺されたプロットを元に浅野が書き下ろした短編が第5巻『天鬼越』としてまとめられた。
2020年から2021年にかけて《旗師・冬狐堂》と《香菜里屋シリーズ》の新装版が相次いで刊行され、2024年からは《蓮丈那智フィールドファイル》が角川文庫から復刊されるなど、没後10年以上になる現在も根強い人気を誇っている。さすがに新品で入手できる作品は少なくなったが、どの作品も古書での入手は難しくない。
作品リスト(刊行順)
赤太字は2024年4月現在新品で入手可能なもの。
◆は《旗師・冬狐堂》シリーズ、☆は香菜里屋シリーズ、◇は佐月恭壱シリーズ。
- 狂乱廿四孝 (1995年、東京創元社→2001年、角川文庫)
→ 狂乱廿四孝/双蝶闇草子 (2016年、創元推理文庫) - 未完の続編を増補 - 冥府神の産声 (1997年、カッパ・ノベルス→2000年、光文社文庫→2008年、光文社文庫[新装版])
- 狐罠 (1997年、講談社→2000年、講談社文庫→2020年、徳間文庫) ◆
- メビウス・レター (1998年、講談社→2001年、講談社文庫)
- 闇色のソプラノ (1998年、立風書房→2002年、文春文庫)
- 花の下にて春死なむ (1998年、講談社→2001年、講談社文庫→2016年、双葉文庫→2021年、講談社文庫[新装版]) ☆
- メイン・ディッシュ (1999年、集英社→2002年、集英社文庫)
- 屋上物語 (1999年、ノン・ノベル→2003年、祥伝社文庫)
- 凶笑面 蓮丈那智フィールドファイルⅠ (2000年、新潮社→2003年、新潮文庫→2024年、角川文庫)
- パンドラ's ボックス (2000年、カッパ・ノベルス→2007年、光文社文庫) - 短編集にエッセイを併録
- 顔のない男 (2000年、文藝春秋→2003年、文春文庫)
- 親不孝通りディテクティブ (2001年、実業之日本社→2006年、講談社文庫)
- 蜻蛉始末 (2001年、文藝春秋→2004年、文春文庫)
- 共犯マジック (2001年、徳間書店→2004年、徳間文庫)
- 孔雀狂想曲 (2001年、集英社→2005年、集英社文庫)
- 狐闇 (2002年、講談社→2005年、講談社文庫→2020年、徳間文庫) ◆
- 触身仏 蓮丈那智フィールドファイルⅡ (2002年、新潮社→2005年、新潮文庫→2024年、角川文庫)
- 緋友禅 旗師・冬狐堂 (2003年、文藝春秋→2006年、文春文庫→2021年、徳間文庫) ◆
- 桜宵 (2003年、講談社→2006年、講談社文庫→2021年、講談社文庫[新装版]) ☆
- 支那そば館の謎 裏京都ミステリー (2003年、光文社→2006年、光文社文庫)
- 螢坂 (2004年、講談社→2007年、講談社文庫→2021年、講談社文庫[新装版]) ☆
- 瑠璃の契り 旗師・冬狐堂 (2005年、文藝春秋→2008年、文春文庫→2021年、徳間文庫) ◆
- 写楽・考 蓮丈那智フィールドファイルⅢ (2005年、新潮社→2008年、新潮文庫)
- 暁の密使 (2006年、小学館→2008年、小学館文庫)
- 深淵のガランス (2006年、文藝春秋→2009年、文春文庫) ◇
- ぶぶ漬け伝説の謎 裏京都ミステリー (2006年、光文社→2009年、光文社文庫)
- 親不孝通りラプソディー (2006年、実業之日本社→2008年、ジョイ・ノベルス→2012年、講談社文庫)
- 香菜里屋を知っていますか (2007年、講談社→2011年、講談社文庫→2021年、講談社文庫[新装版]) ☆
- なぜ絵版師に頼まなかったのか (2008年、光文社→2011年、光文社文庫)
- 虚栄の肖像 (2008年、文藝春秋→2010年、文春文庫) ◇
- うさぎ幻化行 (2010年、東京創元社→2014年、創元推理文庫)
- 暁英 贋説・鹿鳴館 (2010年、徳間書店→2011年、徳間文庫) - 未完
- ちあき電脳探偵社 (2011年、PHP文芸文庫) - 1996年に「小学三年生」で連載された児童向け作品。
- 邪馬台 蓮丈那智フィールドファイルⅣ (2011年、新潮社→2014年、新潮文庫)
- 天鬼越 蓮丈那智フィールドファイルⅤ (2014年、新潮社→2016年、新潮文庫)
関連項目
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- 相沢沙呼
- 青崎有吾
- 青山文平
- 赤川次郎
- アガサ・クリスティ
- 芥川龍之介
- 浅暮三文
- 芦沢央
- 芦辺拓
- 飛鳥部勝則
- 綾辻行人
- 鮎川哲也
- 有川浩
- 有栖川有栖
- 泡坂妻夫
- アーサー・C・クラーク
- 池井戸潤
- 伊坂幸太郎
- 石川博品
- 石田衣良
- 石持浅海
- 伊藤計劃
- 稲見一良
- 乾くるみ
- 井上真偽
- 井上夢人
- 今邑彩
- 今村翔吾
- 今村昌弘
- 岩井志麻子
- 歌野晶午
- 内田幹樹
- 浦賀和宏
- 江戸川乱歩
- エラリー・クイーン
- 円城塔
- 大沢在昌
- 大山誠一郎
- 岡嶋二人
- 小川一水
- 荻原規子
- 奥田英朗
- 小栗虫太郎
- 乙一
- 小野不由美
- 折原一
- 恩田陸
- 海堂尊
- 梶尾真治
- 上遠野浩平
- 加納朋子
- 紙城境介
- カルロ・ゼン
- 川原礫
- 神坂一
- 神林長平
- 貴志祐介
- 北方謙三
- 北村薫
- 北山猛邦
- 桐野夏生
- 久住四季
- 倉知淳
- 黒川博行
- 黒田研二
- グレッグ・イーガン
- 古泉迦十
- 甲田学人
- 古処誠二
- 小林泰三
- 小松左京
- 紺野天龍
- 今野敏
- 呉勝浩
- 佐々木譲
- 笹本祐一
- 細音啓
- 佐藤究
- 三田誠
- 時雨沢恵一
- 品川ヒロシ
- 篠田節子
- 島田荘司
- 島本理生
- 斜線堂有紀
- 朱川湊人
- 殊能将之
- 白井智之
- 真藤順丈
- 真保裕一
- ジョージ・オーウェル
- 水野良
- 須賀しのぶ
- 瀬名秀明
- 高木彬光
- 高村薫
- 竹本健治
- 田中慎弥
- 田中啓文
- 田中芳樹
- 田辺青蛙
- 月村了衛
- 月夜涙
- 辻堂ゆめ
- 辻村深月
- 土屋隆夫
- 都筑道夫
- 恒川光太郎
- 天藤真
- 遠田潤子
- 鳥飼否宇
- 中村文則
- 中山七里
- 仁木悦子
- 西尾維新
- 西澤保彦
- 西村京太郎
- 西村賢太
- 西村寿行
- 似鳥鶏
- 貫井徳郎
- 沼田まほかる
- 野崎まど
- 法月綸太郎
- 長谷敏司
- 羽田圭介
- 初野晴
- 早坂吝
- 林真理子
- はやみねかおる
- 氷川透
- 東川篤哉
- 東野圭吾
- 広瀬正
- ピエール・ルメートル
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