十干とは、甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の十個の要素の順列である。十二支、陰陽五行説と深い関わりを持つ。
概要
甲(こう、こうぼく、きのえ)
木性(守備本能)の陽。樹木を表す。「自我」「独立」「頑固」という性質を持つ。
乙(おつ、おつぼく、きのと)
木性(守備本能)の陰。草花を表す。「協調」「和合」「社交」という性質を持つ。
火性(伝達本能)の陽。太陽を表す。「明朗」「寛容」「芸能」という性質を持つ。
丁(てい、ていか、ひのと)
火性(伝達本能)の陰。灯火、ろうそくの火を表す。「孤独」「反骨」「芸術」という性質を持つ。
戊(ぼ、ぼど、つちのえ)
土性(引力本能)の陽。山を表す。「奉仕」「愛情」「回転財」という性質を持つ。
己(き、きど、つちのと)
土性(引力本能)の陰。大地、田畑を表す。「家庭」「堅実」「蓄積財」という性質を持つ。
庚(こう、こうきん、かのえ)
金性(攻撃本能)の陽。鉱石、鋼鉄、刀剣を表す。「闘争」「行動」「短気」という性質を持つ。
辛(しん、しんきん、かのと)
金性(攻撃本能)の陰。宝石を表す。「矜持」「名誉」「律儀」という性質を持つ。
壬(じん、じんすい、みずのえ)
水性(習得本能)の陽。海、大河、湖を表す。「自由」「放浪」「創造」という性質を持つ。
癸(き、きすい、みずのと)
水性(習得本能)の陰。雨露、沢、池沼を表す。「努力」「伝統」「学問」という性質を持つ。
なお六十干支、干支(かんし)のことを「えと」と呼ぶのは、十干の日本語呼称が「え」及び「と」で終わることに因んだものである。
今日の日本では干支というと十二支、それもそれを構成する動物(十二生肖)のことを指す事が多いように、十二支と比較すると忘れられている感がある十干であるが、法律や資格等の用語には「甲乙」を中心に十干を順序を示す語として用いた名残が存在する。
例えば危険物取扱者免許には「甲・乙・丙」、鉄道の動力車操縦者免許には「甲・乙」の区分があり、焼酎にも「甲種・乙種」がある。近畿日本鉄道の優等列車(近鉄特急)でも「甲特急・乙特急」が区別されている。
また「甲乙つけがたい」といったように慣用句として残っているものもある。
日本でのカウント方法
本場中国では10の要素にそれぞれ別の字を当てたのに対し、日本では陰陽五行説にあやかった訓読みを施している。まず五行(木・火・土・金・水)の訓読みをつけて、そしてそれぞれに陽(兄、すなわち「え」)と陰(弟、つまり「と」)を充てた。
十干と陰陽五行は数学的に相性がいい。この訓読みが充てられたのは10という数が半素数であり、5と2に素因数分解できるために適応できた技である(当時の陰陽師等が素因数分解を知っていたかどうかは別として)。
関連商品
関連項目
- 4
- 0pt