十~忍法魔界転生~ | |
ジャンル | 時代劇、伝奇 |
漫画 | |
出版社 | 講談社 |
連載誌 | 月刊ヤングマガジン |
連載期間 | 2012年8月号- |
「十〜忍法魔界転生〜」とは、山田風太郎原作、せがわまさき作画による漫画作品である。月刊ヤングマガジンに連載。
ストーリー
寛永十五年(1638年)、島原。由比民部之介正雪は剣豪、宮本武蔵が島原の乱に軍監(戦の目付役)として参戦していると聞きつけ、目にかかりたいと言い島原に出向く。しかし宮本武蔵は石のように座っているばかりで小笠原藩の兵にも「松平伊豆守信綱の方がよほど兵法に長けている」などと比較され揶揄されていた。
惚けの証拠に武蔵は皆殺しにしたはずの天草四郎時貞の一味、キリシタン大名小西行長の遺臣の「森宗意軒(もり そういけん)を見た」という。
だが武蔵の言葉は真実であった。森宗意軒は何故か生きていて女を刀で両断すると、中から脱皮するかのごとく死んだはずの天草四郎時貞が現れた。森宗意軒の紐付きクナイによって小笠原藩の兵は殺されるが、由比正雪の真意はかねてより森宗意軒の目にかかりたいということであったと何事かを森宗意軒に告げるが、武蔵はこの夜の出来事を黙して語ることはなかった。
七年後、正保十二年(1645年)三月、名古屋城下広井郷、尾張藩兵法師範、柳生家下屋敷前、今にも倒れそうな美男が「間に合った…」とやってきた。この男の目的とは…?
登場人物
- 柳生十兵衛三厳
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主人公。『Y十M 〜柳生忍法帖〜』に引き続いての登場。今作の彼は、前作から1年ほど時が経っているが、飄々としていてつかみどころが無いものの、優しく器の大きい人物、という造形は前作同様。
他の剣豪に比べ、木刀を用いた技比べではそれほど優れているわけではないが、真剣を用いた殺人剣においては無類の強さを誇ると言われ、「ぜひとも転生衆に加えたい。十兵衛のためなら他の転生衆が二、三人死んでもかまわない」と、宗意軒から熱い視線を受けている。
転生衆
宗意軒が、日本古来の忍術と、切支丹の資料から見つけた転生の術を組み合わせて生んだ忍法「魔界転生」によって生まれ変わりを遂げた武人達。
この忍法を使うには、自らの生涯に後悔を抱え、「同じ己でありながら別の己として生まれ変わり、今一度別の人生を歩みたい」という願いを持つ男である必要がある。
彼らがそれぞれもっとも魅力を感じる女を用意し、その胎内に宗意軒の指を切り取って1本入れておく。そして、男の死に際に、彼と性交する。男は死ぬが、女は生まれ変わった男を身ごもり、一ト月の後に転生が完了する。
- 田宮坊太郎国宗
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抜刀術の開祖・田宮家の一族の若剣士。鍛錬の末に、謀殺された父の敵を見事に討ち果たした。
如雲斎をもって「剣の化身」と言わしめるほどの優れた実力を持っていたが、労咳に体を蝕まれ、復讐に全てを捧げた自らの人生を後悔し、かつての恋人・お類の体を通して転生する。
- 宝蔵院胤舜
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宝蔵院二代目院主。「その槍法、神に入る」と謳われた槍術の名手で、院主を退いた今もその槍術は宝蔵院最強。
技術と鍛錬もさることながら、五十六年に渡り童貞を守り通すことによって槍の腕を研ぎ澄ますという秘術を編み出したオナ禁マスター。もっとも官能を揺さぶられるタチの女性・佐奈を常に同伴させながら、絶対に手を出さず、恐らくは自慰もしないでいる。そうやって貯めた精力によって、彼の槍は無双のキレを帯びる。
壮絶な決意でもって転生に挑んだ宗矩を見て、自らも転生を決意し、五十六年守り通した童貞を捨てて佐奈を通し転生した。
- 柳生如雲斎/柳生兵庫助利厳
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尾張柳生の初代。柳生宗矩の兄柳生厳勝の息子。
「尾張の入道」の異名の通り、麻呂を思わせる妙なホクロ(あるいは髭)と禿頭の持ち主であるが、逞しい威風を持つ。
尾張こそが新陰流の本流であるという強い自負を持っており、宗矩をはじめとする江戸柳生に強い敵対心を持つ。その実力は高く、若い頃には宮本武蔵に「久しぶりに生きた武人に会った」と言わしめた。
魔界転生には忌避的であったが、転生した宗矩に打ち据えられた屈辱から、自らも転生を決意する。よりにもよって息子の嫁である加津に好意を抱いており、彼女が転生の寄り代にされると思われる。
- 天草四郎時貞
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島原の乱の首領。寛永十五年に転生。転生衆の中で最初に転生した。
女性と見まごうばかりの美青年。エルフ耳。
戦闘狂の剣士が多くを占める転生衆の中にあっては異質な存在であり、青姦で胤舜をからかったり、十兵衛の屋敷に押し寄せんとする他の転生衆を必死に押しとどめたりと、トリックスター的な活動が殆ど。
女の髪を寄り合わせた糸でもって胤舜の槍を裁断するなど、どこかで見たような忍法を用いる。
- 柳生宗矩
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将軍家剣術指南役。剣士としては異例の一万石という石高を持って召抱えられた江戸柳生の家長。
胤舜同様、由井正雪達の怪しい活動をいぶかしんでいたが、跡継ぎたる次男・主膳が如雲斎に敗北し、並々ならぬ屈辱を受けてしまったことから、如雲斎への復讐のために、そして、高い地位と石高を求めた自らの人生が剣士として本懐であったかという積年の葛藤から、自らも転生を決意する。
長男・三厳の剣を「殺人剣」として忌避しているが、同時にその実力を高く評価してもいる。
『バジリスク~甲賀忍法帖~』冒頭をはじめとして、過去作にも登場している。
- 荒木又右衛門
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柳生流の剣士で、“鍵屋の辻の仇討ち”で名を世に轟かせた。
この仇討ちは、外様大名と徳川家直参の複雑な因縁の中で生まれたものであり、見事仇討ちを果たした又右衛門はしかし、その名声や注目から、さらなる余計な争いを生みかねない危険人物になってしまった。結果彼は幽閉に近い扱いを受けてしまい、後悔の中、妻に瓜二つの女を通して転生した。
- 新免武蔵
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言わずと知れた、播州宮本村の大剣豪。二刀流の使い手。
剣のみを志して、六十二年に渡り女も知らず贅沢もせず、しまいには兵法を志して剣さえも捨てた“哲人”であっり、胤舜の大先輩ともいえる。しかし自身はその人生を悔やんでもいた。
天草四郎の転生の場面や、如雲斎の回想など、いたるところに登場しているが、殆ど言葉を発しておらず、何を考えているのかいまひとつわかりづらい。
関連リンク
月刊ヤングマガジン | 十~忍法魔界転生~ | 作品紹介 | 講談社コミックプラス(第一話試し読み)
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