千曳辰治(ちびき たつじ)とは、小説・アニメ版『Another』の登場人物である。
概要
夜見山北中学校の旧校舎<0号館>にある第二図書室の司書。演劇部の顧問も務めており、部員達からも尊敬されている。26年前(1972年度)の夜見山北中学三年三組の担任でもあり、死亡した夜見山岬を“生きている”事にした為、自分達の行動が災厄を招いてしまった事を悔やんでいる。尚、榊原恒一の母・理津子はこの年度の教え子であり、理津子の妹の怜子や息子である恒一もまた三年三組になった事に感慨深く思っている。
この後、1976年度と1979年度にも三年三組の担任を務めるが、何れも生徒とその家族の多くが犠牲となり(79年度はクラスを三組ではなくC組にしたが効果は無かった)、己の無力を痛感。同時に自分も死の危険に立たされる為、1980年度からは教職を辞して、自らは死ぬ危険の無い司書という離れた立場から三年三組を見守る決意をして現在に至る。千曳先生自身は「逃げ」と自虐しているが、歴代三年三組の記録を事細かに残しており、恒一と鳴にとって欠かせぬ協力者となった。
11話までは肝心な所で役に立たないという声もあったが、長年修羅場を経験しただけあって、緊急時の対応の素早さは桁外れに優れている。久保寺先生の異変に気付き、その自殺でクラスが大パニックになった時は、動揺した三神先生にも的確に指示を出す。合宿では三神先生の助っ人として参加、和久井大輔が喘息の発作を起こして、連絡手段が麻痺した時には、自分の車で病院に搬送して、その命を救った。そして管理人の沼田峯子が放火に虐殺と大暴れした時は、これを見事に取り押さえた(原作では恒一・アニメ版では勅使河原直哉が命拾いしている)。しかし、この年でも演劇部の教え子である赤沢泉美・綾野彩・小椋由美の3人が災厄の犠牲となり、彼にとってはまたしても辛い結末となってしまった。
設定などの裏話
いとうのいぢのキャラクター原案では、学者のような佇まいをみせ、ベストが似合う初老の紳士となっている。これに対して、アニメ版では水島努監督がロン毛とコートのオプションを追加し、風貌も怪しいイメージのキャラクターを指示しており、穏やかな顔付きのいとうのいぢのイラストに比べ、表情も厳しく少し風変わりな印象を受ける。
アニメ版では語られなかった為、忘れられがちだが、実は既婚者である。しかし家族に害が及ぶのを恐れた為、家族は夜見山から遠く離れた北海道に住まわせ、自分一人だけが夜見山に残った。また、上記の様なアクシデントに備えて、日頃から鍛錬を欠かさず続けている。キャラクターデザインの石井百合子は(千曳先生がキャラクターの中でも特にお気に入りらしい)、作画にあたって合気道を修練しているイメージとコメントしている。
また、漫画版では料理も得意という意外な一面を見せている。管理人夫婦が登場しない為、食事は彼が自信作のメニューを用意。この時の千曳は普段からは想像できない程の良い笑顔で自慢していたが、ピリピリとした重苦しい雰囲気の中では余りにも浮いていた(三神先生も思わず突っ込みを入れている)。
実写映画版では、現象への執着心が執拗なまでに強調されており、図書室にある彼の部屋には、災厄に関する史料が壁一面に貼られている。恒一や鳴の協力者とはならず、寧ろ鳴からは避けられており、二人は自力で災厄を止める方法を探す事となる。合宿で火災が発生すると、三神先生を死に還そうとした鳴を阻止し、自分が三神先生を問いただそうとするが、その際に自分が三神先生が発する死の呪いに取り込まれてしまい、炎の海に転落して死亡するという超展開となった(この事から、久保寺先生の死後、担任もしくは副担任になった模様)。エピローグでは、若かりし頃の姿で再登場。2012年度の夜見山三年三組の担任となり、死者として復活する所で物語が終わっており、原作・漫画版・アニメ版と全く異なる結末を迎えた。
関連動画
関連項目
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