南部康雄とは、宇宙戦艦ヤマトシリーズのレギュラー登場人物の一人。
昭和の旧作ではヤマト砲術班長、リメイクである宇宙戦艦ヤマト2199では砲雷長という、海自護衛艦の分隊長に近い職掌に就いている(一例としては『ジパング』の菊池砲雷長に相当)。
担当CVは旧作やゲーム版では林一夫、2199では赤羽根健治。
リメイクに当たり東京都出身、年齢21歳、南部重工大公社の御曹司など、出身地や年齢・家柄なども明確化されている。 外見のデザインにも相当に変化が加えられた。
概要
初代の頃は性格的にもそれほど目立つキャラクターではなかったのだが、『さらば』以降声優が固定された影響か、血気盛んな熱い男になっていった。
『2』で敵の攻撃をモロに食らい絶命したように見えるシーンがあったのだが、『新たなる旅立ち』で問題なく登場したため、ファンの間では不死身説が流れている。
また、『ヤマトよ永遠に』では波動カートリッジ弾の初陣を陣頭指揮するなど、それなりの活躍の場面も存在する。
しかし、良くも悪くも古代・島・雪・真田さん・沖田艦長がクローズアップされる中、第一艦橋のその他大勢キャラとして没個性化したのは否めない。大田や相原も同じような役回りだったのだが、相原だけは妙にクローズアップされる話が多かったため南部は影の薄さに磨きがかかっていた。
ちなみに、南部重工の御曹司であるという設定は旧作の時点で存在しており、もっと活かしてやればよかったのではないかとファンの間でも時折話題になっている。
ゲーム版限定の設定だが、拳銃や小銃でも「オリンピック級射手」という、射撃の名手でもある。
『宇宙戦艦ヤマト2199』での南部くん
『2199』では上記のような出生の明確化をはじめ、短髪で端正な顔立ち、森雪にほのかな思慕を抱いているといった設定が追加。そして後述する、ある意味では旧作の古代よりも過激な一面など、かなり特色のあるキャラにリメイクされた。また第一話の段階から、旧作に比べると若干軽薄な印象を与える言動が多い。
因みに彼の実家・南部重工大公社は複数の企業を抱える、現実の三菱等財閥に相当するような大企業である。
ヤマトの船体は南部造船・波動防壁は南部重工・三式弾は南部火工株式会社など、あらゆるところに南部グループの製品が使われており、ヤマト以前の国連宇宙軍艦艇(金剛型宇宙戦艦「キリシマ」等)も多く建造している。
ある意味で軍隊に入らずとも将来を約束された身だが、父親の抑圧的かつ非現実的な態度に強く反発。
国連宇宙軍に志願、イズモ及びヤマト計画メンバーに選抜。本来の砲雷長がガミラス強襲空母の攻撃で戦死したため、2尉に昇進の上でヤマト砲雷長就任へと至っている(司令部勤務時代は3尉)。
いいじゃないか、星の一つや二つ!
コミック版で補完されているが、ヤマト乗艦前までは司令部勤務で艦艇乗務経験はない。
しかしその割に、未だに未知数な砲塔式ショックカノンや試製空間魚雷を用いた射撃を外したことはなく、優秀な砲雷長として辣腕を振るう。若いながらもヤマト計画に選ばれるだけの資質、能力を持っていることが伺える。
だが、ヤマトは初めてガミラス相手に互角以上に戦える火力を持つ、余りに強力な戦艦である。
その破壊力に魅了され過ぎてしまっている側面もある。これまでの国連宇宙軍が、ガミラスに対してあまりにも劣勢であることを考えれば、無理の無い部分もあるが…それを差し引いても驚くべきが以下の言動である。
木星浮遊大陸を波動砲で破壊したときは、第一艦橋メンバーの中で唯一喝采を叫び、沖田艦長に窘められた。
そして冥王星基地攻略を目的としたメ2号作戦では波動砲による、冥王星直接攻撃を意見具申。戦術長の古代進に「冥王星そのものを破壊するリスクがある、それは出来ない」と却下された際の反論が──
「いいじゃないか、星の一つや二つ!」
そう。南部康雄というキャラを、余りよろしくない意味で一気に引き立てた暴言であった。
これは冥王星破壊による太陽系の天体にどれほどの悪影響を及ぼすかを全く考えていない。そして戦術面に限っても、波動砲攻撃準備の間にメ号作戦で確認された大艦隊(総数120隻以上)が出現したらどうするか…。
戦略、戦術双方のリスクを見落とした。砲雷長としてあるまじき発言である。
同時に自信過剰な側面、特に航空隊を目下に見ているフシがある。加藤三郎隊長相手に「ヤマトに航空隊が必要なのか疑問だ」と、他の幹部士官が集まる作戦会議で面罵し、激怒させてしまう一幕すらあったほどである。
若干弁護するのであれば、当時の地球はガミラスにより滅亡まで後一年に追いやられ、誰もが余裕をなくしていた。その直接の原因が冥王星からの遊星爆弾であることを思えば、波動砲やショックカノンなど、ガミラスの基地を直接破壊できる兵器を手にしてしまった、未熟な若者相応の反応と言えなくもない。
但し意外なことに…
以上のように作戦会議、意見具申では過激さが目立つものの、作戦決定後に命令違反を犯したことはない。
古代・島・山本などが一度は命令違反を起こしているのとは印象に反して対照的な、命令には忠実な士官である。「旧作の古代の乱暴なパートを一部担当」と監督は述べているが、士官として最低限の常識は心得ている。
軍隊では意見具申、作戦会議の段階までは上記のような暴言はともかく、異論反論は許される。
しかし命令決定以降の違反や軍規無視は本来、軍法会議に処せられる重罰ものである。第1話の複座コスモゼロ無断発進の末の大破、第12話のコスモファルコン無断発進+捕虜の無許可釈放などは、本来は軍籍剥奪ものの行動なのだ。
そういった意味では良くも悪くも命令に従順な、人としては未熟だが技量は優秀な砲雷長である。
カレル163沖海戦で第二副砲が破壊されたときは、砲塔要員を本気で心配する描写も存在しており、軽率ではあっても悪人ではなく、それなりに部下のことも案じている一面もある。
技量についても、ドメル率いるガミラス最精鋭の第六空間機甲師団を相手にしても、冴えを発揮している。
3連装3基の主砲、3連装2基の副砲、艦首及び艦尾、艦底部魚雷発射管など全兵装の火器管制をマルチタスクで処理し、(作劇中の都合もあるが)ほぼ外れ弾なしで多数のガミラス艦を葬っている。
しかし「畜生、ここで沈むのかよ!」と真っ先に諦めを口にしているあたり、やはり残念なイケメンではある…。
因みに第七話の太陽系赤道祭は、ドメル艦隊との戦闘と並び、南部康雄最悪の一日と成り果ててしまった。
家族との最後の通信では、父親からの依然として強圧的な言動を受け辟易させられ、意中の森雪との会話もできず、泥酔した原田真琴の暴走に巻き込まれ、潰され、太田に顔面をキャンバスにされるなど散々であった。
なお、砲雷長という職掌上、波動砲攻撃などでの台詞は、これも意外なことに古代よりも多い。
話が進むにつれて徐々に古代へ比重は大きくなるが、オーディオコメンタリーで古代進役の小野大輔は、波動砲の最初の出番は南部に全部美味しいところを持っていかれたと、苦笑するほど出番が多い。
また13話からは「撃ちー方はじめー」と旧海軍・海上自衛隊式の射撃号令を行なっている。
同話からは旧作の北野哲に相当する、北野哲也宙士長が同じ戦術科の部下として登場している。古代進が不在の際には、彼が南部の指揮の元、舷側短魚雷やショックカノンの射撃を行う。
中の人による南部へのコメント
2199では担当声優は赤羽根健治氏であり、舞台挨拶やツイッターで南部のことを幾度か口にしている。
赤羽根氏いわく「自分が好きだと思ったら、相手も自分を好きだと思ってしまうタイプ」「第5話の南部くんは駄目だなあ」「軽率な発言さえなければ、基本的には良い人」と、流石、自分の持ちキャラを正確に把握している。
因みに本夏のゲリラ豪雨で洗濯物を台無しにされた時は、空に波動砲をぶち込んでやりたいと思ったとか…
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