南阿蘇鉄道とは、熊本県に本社を置く第三セクター方式の鉄道会社である。
概要
昭和61年(1986)に廃止された国鉄高森線を転換する形で開業した鉄道会社である。立野駅と高森駅を結ぶ高森線を運営しており、JR九州の豊肥本線(立野駅)と接続している。
日本一長い駅名「南阿蘇水の生まれる里白水高原駅」は有名である[1]。トロッコ列車「ゆうすげ号」の運行、DMVの走行実証実験などを行っている。
2016年4月14日、熊本地震が発生し、豊肥本線と共に甚大な被害を受けた。中松〜高森駅間は被害が少なかったことと、車両は無事だったことから2016年7月31日に運転再開したが、現在も立野~中松駅間は不通となっている。残る区間については、2018年3月に復旧工事を開始し、2023年7月15日に全線復旧を果たした。これに合わせて豊肥本線・肥後大津駅までの片乗り入れが開始されている。
国土交通省は2017年4月16日、立野〜中松間の復旧に70億円かかる見通しを発表した。これは路盤が完全に破壊されているため橋の新設などに費用が掛かるためである。現地負担について現在調整しているが最低でも5%を割ることはないとの見通しであるため、3.5億円は出資している市町村と南阿蘇鉄道にて賄う必要が出る見込みである。
ニコニコ超会議2017に参加、JR九州、南阿蘇鉄道のコラボチャリティー企画をおこなった。
2017年6月13日、国土交通省は復旧費の9割以上を補助する支援策を検討していることが報道された。条件は上下分離方式。一度、国と自治体にて折半にて修繕費を負担、地方の負担分は時間をかけて交付税にて処理する形を検討している。
全線復旧に向けての活動
長らく不通が続いていたが、復旧、復興に向けて様々な取り組みを行っていた。
トロッコ列車
2017年3月18日からトロッコ列車の運行を再開している。 毎年3月から11月末まで運行し休日と祝日は1日2往復運転する。
南阿蘇鉄道応援サイト
公式サイト内に設置された復興に向けての応援サイトである。
アクセスはこちらから。復興に関連する各種情報がここで取得できる。
復興応援切符
熊本地震で被害を受けた南阿蘇鉄道への復興応援活動として、2016年4月29日からひたちなか海浜鉄道、由利高原鉄道、若桜鉄道、いすみ鉄道、南阿蘇鉄道の五社による復興応援切符が販売される。金額は1000円で印刷販売コストを差し引いた700円ほどが南阿蘇鉄道に支援金額としてわたることとなる。2016年05月22日から高森駅でも販売を開始した。
『ONE PIECE』復興列車
11月27日から2017年2月28日までの土休日、全車自由席のワンマン列車として運行、乗車するとオリジナルイラスト入りポストカードがもらえる。ルフィの声による車内アナウンス放送が聞けた。
がんばれクマモト! マンガよせがきトレイン
「ドラえもん」や「名探偵コナン」など小学館のキャラクターを寄せ書きしたラッピングトレイン。2017年4月15日から11月末まで運行。
熊本地震 南鉄復旧義援金
2016年4月時点でトンネル内壁のクラック、橋梁の変状等が発生していることがわかっている。義援金の問い合わせが多いことから、専用の口座が開設されることとなった。また「お寄せいただいた義援金は、全て南鉄復旧財源として活用させていただきます」と南阿蘇鉄道が発表している。
被災まくらぎオーナー
文字通り被災してしまった補修用に保管していた枕木のオーナーを2016年10月8日から募集する。本数は368本で集まった金額は土に埋まった枕木の掘り出しや線路に設置する費用として使用する。
yahooネット募金「平成28年熊本地震 南阿蘇鉄道復旧支援プロジェクト」
各種募金でおなじみのyahooネット募金の南阿蘇鉄道復旧支援プロジェクトである。
セブンティフィフス・ストリート
阿蘇白川駅の構内にあるカフェである。オーナーはアメリカ人の夫を持つキザキ真理子氏。地元食材を使ったランチや手作りケーキなどがあり、現在は地元に元気になってもらうためにランチを半額にて提供している。
おもちゃ博物館&おやつカフェ
駅舎カフェ久永屋
無人駅である長陽駅の駅舎を利用したカフェである。店長である久永氏が駅長を兼ね土日のみ営業している。熊本地震の影響でしばらく休業していたが2016年5月14日に再開した。
駅カフェ倶梨伽羅
南阿蘇白川水源駅構内で営業しているカフェである。 オリジナル駅弁「たっぷり赤牛 牛めし弁当」(1300円)を販売している。売り上げの一部は南阿蘇鉄道復旧義援金に寄付される。
南阿蘇鉄道高森線
熊本県阿蘇郡南阿蘇村の立野駅から阿蘇郡高森町の高森駅を結ぶ路線で、旧国鉄高森線を第三セクターに転換して開業した路線である。阿蘇カルデラの南部を走り、車窓からは阿蘇五岳と周囲を囲む外輪山を一望できるローカル線である。
元々国鉄高森線は立野駅から、高森、高千穂を経由して延岡駅に至る路線の一部として建設されたもので、立野~高森駅間を高森線、高千穂~延岡駅間を高千穂線(後の高千穂鉄道高千穂線)として営業していた。その後1973年に高森~高千穂間の工事が始まったが、高森トンネルの掘削中に出水事故が発生。地元の水道水や農業用水を根絶やしにする事態となり、その後1980年になって同区間の工事は中止となった。残った区間もほどなくして第1次特定地方交通線に指定され、1986年に立野~高森駅間を南阿蘇鉄道に転換して今に至っている。なお、出水事故を起こしたトンネルは無償譲渡を受けた高森町によって"高森湧水トンネル公園"として整備されていて、現在は町を代表する観光地の1つとなっているほか、清冽な水は水道原水として利用されている。
地震の影響で、長らく立野駅~中松駅間は不通となっており、中松駅~高森駅間のみ運行されていた。地震前は1時間に1本程度で普通列車が運行されていたが、平日3往復、休日2往復のみの運行となっていた。また朝夕の運行はなく昼間のみ運行されており、観光に特化したダイヤとなっていた。
全線開通後は従来通りのダイヤに戻されており、午前中の2往復が豊肥本線・肥後大津駅まで乗り入れる。
また、トロッコゆうすげ号は地震前と変わらず土休日に2往復運行されている。中松駅~高森駅間の部分運行時にもかかわらず人気のある列車であり、乗客が多い場合は臨時で増発することもある。
2018年現在の車両はMT-2000形、MT-3000形(普通列車)、DB16形、トラ700形、TORA2000形(トロッコ)。2023年の運転再開に合わせてMT-4000形が導入された。
高森線全線でJR九州が販売する「旅名人の九州満喫きっぷ」で乗車できる。ただし「トロッコゆうすげ号」は利用することはできない。
ちなみに特殊自動閉塞式で運行されてするが、地震によって部分運行だった時期は、列車本数が非常に少ないため、全線スタフ閉塞で運行されていた。高森駅では国鉄時代に使用されていた通票(タブレット)を受け渡す様子を見ることができた。
高森線駅一覧
南阿蘇鉄道転換前より存在する駅は太字。
駅名 | 備考 | 所在地 | |
立野駅 たての |
乗換 JR九州:豊肥本線(肥後大津駅まで直通運転) 豊肥本線はスイッチバック構造 栃木温泉の最寄り駅 |
熊 本 県 |
阿蘇郡 南阿蘇村 |
長陽駅 ちょうよう |
旧長陽村(現南阿蘇村)の中心駅 地獄温泉、宝来宝来神社の最寄駅 |
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加勢駅 かせ |
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阿蘇下田城駅 あそしもだじょう |
温泉浴場を併設していた珍しい駅であったが、 地震の影響で廃止された。 |
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南阿蘇水の生まれる里白水高原駅 みなみあそみずのうまれるさとはくすいこうげん |
日本一名前の長い駅名であった(現在は2番目) | ||
中松駅 なかまつ |
一心行の大桜、熊本県野外劇場アスペクタの最寄駅 | ||
阿蘇白川駅 あそしらかわ |
旧白水村(現南阿蘇村)の中心駅 | ||
南阿蘇白川水源駅 みなみあそしらかわすいげん |
白川水源の最寄駅 | ||
見晴台駅 みはらしだい |
2016年と2017年に「午後の紅茶」のCM撮影が行われた (出演は上白石萌歌など) |
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高森駅 たかもり |
高森町の中心駅、本社・車両基地併設 熊本県立高森高等学校、高森湧水トンネル、 月廻り公園、高森峠の最寄駅 |
阿蘇郡 高森町 |
関連動画
関連生放送
関連項目
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- くま川鉄道
- ニコニコ超会議2017
- 旅名人の九州満喫きっぷ
関連リンク
脚注
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