危険な配合とは、ダービースタリオンシリーズ恒例の警告である。種付け時に近親交配過ぎると牧場長が警告してくる。
概要
ダービースタリオンシリーズではプレイヤーが所有する繁殖牝馬に種牡馬を種付けして競走馬を生産する。
種牡馬の選択においては血統が重視され、インブリード(近親交配)でクロス(父と母が共通の先祖を血統表に持つ)を発生させることで得られるボーナスが強い馬作りに必須とされる。
組み合わせによっては複数のクロスを発生させて大きなボーナスを得られるが、近親交配過ぎると牧場長が「危険な配合です」と警告してくる。おおむね、血量50%以上の場合に警告が出るらしい。
血量という概念に関して説明すると、1世代前を50%、2世代前を25%、…というように遡って計算したものの、インブリードの合計値である。要するに「血統表の中で、複数回登場する馬の血が全体の何%を占めているか」を示す数値である。
詳しいことはインブリードの記事を読んでほしいが、上述の通り、競走馬の配合においては、一般的に血統表を5代前まで遡った中に同じ馬が複数出現する場合、その馬が○代前と△代前にいるということを「○×△」というかけ算で表記し、これを「クロス」と呼ぶ。科学的根拠は特にないらしいが、上手くクロスを作ると強い馬が生まれやすくなるとされており、現代の活躍馬は大抵の場合は何らかのクロスを持っている。
文章で書いてもわかりにくいので、実際の血統表で説明しよう。これは2021年クラシック世代の狂気の牝馬として話題のメイケイエールの血統表である。
ミッキーアイル 2011 鹿毛 |
ディープインパクト 2002 鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | |||
*ウインドインハーヘア | Alzao | ||
Burghclere | |||
*スターアイル 2004 鹿毛 |
*ロックオブジブラルタル | *デインヒル | |
Offshore Boom | |||
*アイルドフランス | Nureyev | ||
*ステラマドリッド | |||
シロインジャー 2013 白毛 FNo.2-w |
*ハービンジャー 2006 鹿毛 |
Dansili | *デインヒル |
Hasili | |||
Penang Pearl | Bering | ||
Guapa | |||
ユキチャン 2005 白毛 |
*クロフネ | *フレンチデピュティ | |
*ブルーアヴェニュー | |||
シラユキヒメ | *サンデーサイレンス | ||
*ウェイブウインド |
この場合、父の父の父(3代前)と、母の母の母の父(4代前)にサンデーサイレンスが共通して出現するため、「サンデーサイレンスの3×4」となる。また、同じく父の母の父の父(4代前)と母の父の父の父(4代前)にデインヒルも重なっているので、「デインヒルの4×4」も加わる。
上記の血統表を見るとわかると思うが、1代前では先祖は2頭なので各50%、2代前では先祖は4頭なので各25%、3代前は8頭なので12.5%……という風に遡るほどに割合は半々になっていく。
で、上記のメイケイエールの場合「サンデーサイレンスの3×4」は12.5%(3代前)+6.25%(4代前)=18.75%。「デインヒルの4×4」は6.25%+6.25%=12.5%。
両方合わせると18.75%+12.5%=31.25%がメイケイエールの持つインブリードの血量という計算になるわけだ。
なんで足し算なのにかけ算で表記するのかって? この×は「掛け合わせる」って意味だからほら。
世代 | 血量 |
---|---|
1 | 50% |
2 | 25% |
3 | 12.5% |
4 | 6.25% |
5 | 3.125% |
ただし、あまりに血を濃くしすぎると体質が弱かったり、極端な気性難だったり、繁殖能力に欠陥があったりといった問題を抱えた馬が生まれてくるリスクが高くなるため、あまりに濃いインブリードは避けるのが普通である。ダビスタで警告が出るのもそういった事情を反映している。
しかしインブリード自体にルール的な規制があるわけではなく、特に牝馬の場合、濃いインブリードを持つと繁殖成績が良くなる傾向があったりするので、現代でもときどきびっくりするような危険な配合の馬が走っていたりする。
ちなみに競走馬の場合、父も母も同じ兄弟(全兄弟)はクロスの計算上は同じ馬として扱う。両親が同じである以上、含まれる血量は変わらないという理屈である。
実在競走馬の例
- コロネーション(トウルビヨンの2×2) 1946年産
- 凱旋門賞などを勝利したが繁殖能力に問題があり、子供は生まれてこなかった。詳細は記事参照。
- クインスヨルカ(クヰーンスジエストの2×2) 1973年産
- 16戦0勝。繁殖入りしたが産駒は5頭。そのうち出走したのは↓とサンクインルーラー(3戦0勝)の2頭いる。
- ヤチヨポーセレン(シャイニングヨルカ・クイーンスジェストニセイの1×2とクヰーンスジエストの2×3×3) 1980年産
- ↑の子なのだが、父シャイニングヨルカが母母クイーンスジェストニセイの全兄という狂気の極みのような配合。人間で言うと、異父兄妹の間の娘が伯父の子を産んだということになる。意味がわからん。血量でいうと87.5%。2戦0勝。
- リトルジャスミンの1994(トドロキヒホウの1×2) 1994年産
- 血統登録のみ。父と娘の子となる。これは牧場の手違いでつけてしまったらしい。
- ショウナンパーリオ(シンボリクリスエスの1×3) 2015年産
- 祖父と孫の子ということになる(血量62.50%)。2戦0勝。
- ニクルークベンセジュバ(アラブ(血量100%)、Jaeceroの2×2とGkehdahkの2×2) 1971年産
- 全兄弟をクロス計算時に同じものとして扱うとみなすと、なんと1×1という狂気である。彼女はなんと繁殖牝馬として日本に輸入され、孫世代には地方で勝利を挙げた馬、さらには中央競馬で走った馬の記録がある。アングロアラブなので既に競走馬としての血は繋がっていないが、地方で2勝を挙げた孫のオーシャンキングが皇室用の乗用馬を生産する宮内庁御料牧場で種牡馬入りし、2020年まで種牡馬として登録されていたのが確認されている。
- Coronis(Durban・Heldifannの全姉妹2×1) 1935年産
- パーソロンの3代母。1935年生まれの古すぎる馬なので戦績は不明(父トウルビヨン)
- マイネルレオーネ(ゴールデンサッシュ・サッカーボーイの全兄妹2×2) 2012年産
- 2023年時点で11歳現役。63戦8勝(うち障害競走27戦4勝、2022年中山GJ・中山大障害でともに3着)。インブリードの影響なのか400kg前後と障害馬としては記録的に小柄で、障害オープン勝利と、日本調教馬の大障害コース出走の最軽量記録を持っている。
- ファーガス(競走馬)(ブライアンズタイムの2×2) 2019年産
- まさかの現代でのコロネーション配合。2023年現在地方で現役。
- ワイズメアリー(ブラックタイド・ディープインパクトの全兄弟2×2) 2020年産
- 父キタサンブラック・母父ディープインパクトという基本血統情報だけでヤバいとわかる配合。2022年12月4日デビュー。
- キタノグリエル(エアグルーヴ・カーリーパッションの全姉妹2×2とサンデーサイレンスの3×3) 2020年産
- 父父母と母父母しか異系がないという狂気の配合。4戦0勝で佐賀競馬へ移籍。
- ファントムシーフ(デインヒルの3×3とHasili・Arriveの全姉妹3×3) 2020年産
- 父父Dansili(デインヒル×Hasili)と母母Promising Lead(デインヒル×Arrive)という実質Dansiliの2×2という血統。2023年共同通信杯(GIII)勝ち馬。
関連項目
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