双魔神とは、PS2専用ゲームソフト「大神」に登場するボス妖怪、黄金魔神モシレチク・白銀魔神コタネチクの総称である。
概要
物語終盤のカムイ編における一対のボス妖怪。スタッフ曰く、「明治時代のような和洋折衷のデザイン」との事。テーマ曲は「双魔神 モシレチク コタネチク退治」。
巨大なフクロウの姿をしており、黄金魔神モシレチクの腹部には昔ながらの時計盤が、白銀魔神コタネチクの腹部にはデジタル時計を髣髴させる時計が埋め込まれている。杖、片眼鏡、シルクハットなど紳士的な装いをしているが、作中では容赦の無い悪行を行っている。機械仕掛けの存在だからか台詞は一切無いものの、魔神同士の意思の疎通は難なく行えている模様。重大な損傷を負うと体から電流が迸るが、オキクルミによると損傷を負っても休めば回復するらしく、ひとたび逃がしてしまうと回復される。
ボス妖怪だけあって通常の攻撃ではダメージを与えられない。ダメージを与えるには敵の攻撃を利用するか、オキクルミの協力が不可欠である。モシレチクは時間停止を、コタネチクは時間加速の能力を持っており、作中のムービーでは時間停止を喰らったオキクルミが窮地に陥っている。ボス戦では2戦目より使用するが、特定の条件を満たさないと見られないレアな技となっている。その条件は双魔神の体力が半分以下かつ2体揃っている事が発動の条件。時間加速はモシレチクの動きが大変機敏になり、ベーゴマのように回転してアマテラスを集中攻撃してくる。この時、戦闘BGMも加速する丁寧な演出がある。時間停止を受けると一切動けなくなり、コタネチクがジワジワと迫ってきて痛撃を喰らわせてくる。ダメージは太陽器3つ分であり、作中最大の攻撃力を誇る。能力を発動している魔神は動けないため、攻撃は片割れが担当する。初見殺し技だが、筆しらべが使えるので対策が分かれば怖くない。双魔神自体大して強くないので、見る前に倒してしまう人が多い。
モシレチク・コタネチクの名を繋げると、「月の歯車」と言った何らかの意味を持つという。月の国が造ったカラクリ兵器とも取れる。
作中では
その昔、双魔神はカムイの国を氷漬けにしようと荒らし回っていたが、カムイの英雄によって倒されて置き物にされる。その後はエゾフジ山麓のイリワク神殿に封印され、エゾフジともども祀られた。長らく平穏が保たれていたカムイだったが、神州方面から飛び立ったヤマタノオロチの怨霊・参悪鬼と肆悪鬼がカムイへ流れ込み、双魔神が封じられた置き物に宿った事で復活。更にアマテラスの力の一端である凍神を捕まえて悪用し、カムイに猛吹雪を吹かせた。その際にエゾフジの火山活動をも停止させており、氷漬けの障害を排している。このままではカムイは温もりを失い、人の住めない氷の大地と化してしまう。エゾフジの山麓にあるウエペケレからオイナ族の戦士オキクルミと村長サマイクルが根城のイリワク神殿に乗り込んできたが、圧倒的な力を見せ付けて敗退へと追いやり、オイナ族に抵抗は無意味だと思い知らせた。だがオキクルミだけは双魔神を討つ事に固執し、宝剣クトネシリカを無断で持ち出してまで対抗を試みる。
その後、何かを探すかのようにウエペケレに襲来し、多くのオイナ族を殺害。双魔神の目的はエゾフジを噴火させる儀式に不可欠な少女ピリカだった。火山を噴火させられては氷漬けの障害になると考えた双魔神は彼女の夢の中にカムイの守護神であるフクロウの姿で現れ、妖力を使ってヨシペタイの森の奥にある幽門扉へと誘導し、100年前のヤマタノオロチのもとまで追いやった。ヨシペタイは半人半獣のオイナ族が近寄れない場所であり、ウエペケレでは決死のピリカ捜索が行われたが、当然見つからなかった。火山噴火の儀式が出来なくなったオイナ族は万策が尽きてしまった。暴虐を働く上、頭まで回る厄介な難敵と言えよう。
このためアマテラスが来訪した時には、既にカムイは滅びを待つだけの状態と化していた。ここまでは双魔神の計画通りだったが、アマテラスによって徐々に計画が狂わされていく。オイナ族が唯一捜索していなかったヨシペタイをアマテラスが捜索し、紆余曲折を経て幽門扉を発見。100年前のヤマタノオロチを倒してピリカを奪還され、すぐに噴火の儀式が始められる。功を焦ったオキクルミが再度イリワク神殿に侵入し、それを追う形でアマテラスも神殿に入った。内部には様々な仕掛けや妖怪が待ち伏せていたが、全て突破された挙句、捕まえていた凍神も解放されて吹雪が止められた。そして、深部にてついに両者は相見える事になる。
最初にアマテラスの前に現れたのは白銀魔神コタネチク。片割れのモシレチクは不在のようであり、戦端が開かれようとした瞬間、100年前の世界から白野威(全盛期のアマテラス)が現れ、アマテラスに加勢。コタネチクvsアマテラス・白野威の戦いが始まった。白野威の力は強大であり、1体しかいないコタネチクはあっと言う間に叩きのめされてしまって墜落。コタネチクが討たれそうになった時、突然外壁が崩れて中から黄金魔神モシレチクの顔に張り付いたオキクルミが登場。ようやく双子が揃った双魔神は本来の力を発揮できるようになり、怪しげな動きを見せる。双魔神を倒す事で頭が一杯なオキクルミは双魔神の怪しい動きやイッスンの忠告を無視して飛び掛かる。オキクルミの刃がコタネチクに届こうとした時を見計らい、モシレチクが時間停止を発動。双魔神以外の動きが凍りついたように止まり、息さえも苦しくなる。コタネチクの眼前で止められたオキクルミは格好の的であり、今にもトドメの一撃が繰り出されようとしていた。そんな中、強引に時間停止を破った白野威がオキクルミをかばって痛撃を受け、咄嗟の反撃でモシレチク、コタネチクは思わぬ損傷を受ける。その場から退却しなければならなくなったものの、最も強力な白野威を戦線離脱させた。
対岸の祭壇まで退避した双魔神はアマテラスたちが来るまでに傷を癒やし、万全の状態で待っていた。カムイの命運を賭けた2戦目が幕を開ける。互いにコンビネーションを活かした攻撃で一進一退の攻防を続け、最後は双魔神が敗北し、2体とも花となって散った。加えてピリカによる噴火の儀式が完了し、エゾフジから一対の火柱が立ち上ってカムイが渇望した温もりをもたらした。こうして双魔神の野望は潰えたかに見えたが、亡骸から飛び立った参悪鬼と肆悪鬼がラヨチ湖に沈む箱舟ヤマトのもとに吸い込まれていくのだった…。
余談だが、箱舟ヤマトでのボスラッシュに双魔神は唯一登場しない。白野威やオキクルミを登場させられない事が原因と思われる。また箱舟ヤマトにはこれまで戦ってきたボス妖怪を象った紋章が刻まれているが、双魔神のものは無い。このため双魔神は月ではなくナカツクニで誕生した妖怪ではないかと考える人もいる。
双魔神戦
1戦目は白銀魔神コタネチク単体と戦う。プレイヤーの味方として白野威(しらぬい。主人公の全盛期)が加勢し、数の上では2対1という事になる。それだけでも有利に見えるが、なんと白野威は全盛期だけあってチート級の強さ。筆しらべが現在のアマテラスより強力になっており、適当に戦っているだけで白野威がダメージを与えてくれる。時間は掛かるが、コタネチクを1回気絶させて白野威に攻撃のスイッチを入れれば、後は丸投げでも勝ててしまう。ムービーでもコタネチクが押され気味だったとはいえ、かなり一方的である…。
2戦目では黄金魔神モシレチクが加わり、ついに2体揃った双魔神と戦う。前回のコタネチク戦で白野威が瀕死の重傷を負ってしまったため、代わりにオキクルミが参加し、2対2の戦いとなる。双魔神は2体交互に攻撃してきたり、時には同時に攻撃してくる。アマテラスやオキクルミの通常攻撃は全て無効だが、敵の攻撃を跳ね返すと隙が生じ、オキクルミを弓で飛ばして顔に張り付かせる事で無防備な状態となってダメージが通るようになる。一定時間でオキクルミが剥がされるので、再び敵の攻撃を利用して張り付かせる必要がある。
双魔神が2体とも健在で、互いに体力が半分以下になっていると時間停止もしくは時間加速を使用してくる。術をかける個体が止まり木に止まると発動の合図となる。停止は一閃で、加速は霧隠で無効化に出来るが、ヒントが一切無いため初見殺し技となっている。2体揃っている事が条件なので1体脱落させると発動できなくなる。
元ネタ
元ネタはアイヌ民話に登場する魔神の一柱。大神と違って「モシレチク・コタネチク」の名で1体の存在となっている。
日の出と日の入りの時に大口を開けて太陽の女神を飲み込もうとしたため、神々が朝に狐2匹を、夕方にカラス12羽を投げ入れて何とか太陽を通過させていた。しかしある日、とうとう太陽がモシレチク・コタネチクに飲み込まれてしまい、世界は暗闇に閉ざされた。魔神は捕らえた女神を厳重に幽閉し、救助に来た神を魔力で赤子に変えた。結末については伝承によって異なるも、最終的に英雄アイヌラックル(オキクルミ)に討伐されて女神は奪還されたようである。
関連動画
関連項目
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