反共とは、共産主義や共産党、社会主義国家を敵視、排斥する思想のことである。
資本階級の労働者階級台頭に対する恐怖心に根ざしたものであり、純粋な共産主義批判とは異なる。
概要
共産主義や共産党、社会主義国家、さらには社会民主主義や社会主義、労働党や社会党などに排斥する思想の総称。福祉国家、大きな政府、ベーシックインカムは共産主義とは異なるものだが、容共的であるとして中傷されることもある。
共産主義や社会主義、社会民主主義により達成できる平等社会への懐疑
共産党やその他労働党、社会民主党は共産主義により貧富の格差のない社会が達成できると主張しているが、それが無理であるという批判。これはある意味20世紀の社会主義国家の破たんによって証明されたと言える。所詮貧富の差のない社会などは理想論であり、出来上がったのは共産党員による貴族制、また労働意欲がそがれたことによる経済の行き詰まりによって、社会主義国家は破たんしたのだから机上の空論であるということ。
なお共産主義において「働かなくても生きていけるので、人は働かなくなってしまい、結果経済が行き詰まる。」等という主張は誤りである。
ソ連や中国、ベトナムなど社会主義国の憲法には労働の義務が規定されており、有名な「働かざる者食うべからず」も元々ソ連の憲法に明記されていた。
一説には日本国憲法第27条もこれを参考にしたものとされる。
主要資本主義国には同様の規定はほとんど存在せず、社会主義国同等の規定があるのは日本と韓国に限られる。
非民主的な国家になる
北朝鮮や中国、またかつてのソ連を見ればわかる通り、社会主義国家を維持するために指導政党によって圧政が行われ、自由のない非民主的な国家になるということである。場合によっては自国民を粛清、要するに虐殺するという結果もある。
問題点
共産主義憎しのあまり、反共的というだけで問題のある宗教家や独裁者まで支援されてきた。
韓国の初代大統領で大量虐殺を行った李承晩や圧政からキューバ革命を招いたフルヘンシオ・バティスタ、後にアメリカ同時多発テロ事件を引き起こしたウサマ・ビンラディンなどがいる。
また共産主義者に対する犯罪の捏造や無関係の人まで共産主義認定して弾圧した「赤狩り」などが挙げられる。特に、喜劇王として知られるチャップリンが共産主義者ではないのに弾圧されたことが特に有名である。
2022年に起きた、安倍晋三射殺事件も、自民党が反共であることをいいことに統一教会と癒着していたことが事件のきっかけとなった。
現在
2000年代以降、現代となってはソ連も崩壊し、共産主義国家はその多くが民主化されていった結果、多くの共産主義国家が姿を消した。共産主義が何をもたらしたのか、また各国の共産党や共産圏の国の悪事が白日の下にさらされ、それに伴い共産主義運動が下火になっていった。共産党は議席数がもうほとんどないし、活動家のテロも70年代などに比べれば起きなくなってきた。このため、反共という理念自体も役割を終えたかのように語られることもある。
しかしながら、共産党自体はまだ存在しているし、中国、北朝鮮、ベトナム、ラオス、キューバと共産主義国家はまだある(しかもそのうち前者4か国が日本の近隣にある)し、活動家も完全に根絶されてはいない。また、共産主義も平和運動や労働運動、福祉国家論、自虐史観や親中・親露などに形を変えて今も生き延びている。活動家のテロだって起きないとも限らない。そういったことから、反共はまだ終わってはいないとも言える。
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関連項目
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