取り返しのつかない要素とは、ビデオゲームにありがちな要素の一つである。
思えば人生は取り返しのつかない要素だらけである。
概要
ゲームにおいて進行には影響しないが、後から変更の効かない選択、ある時点から入手できなくなるアイテム、戦闘できなくなる敵、観られなくなるイベントや会話などを指す。
明確な定義はないが、進行が不可能になる「詰み」「ハマり」、物語の流れが大きく変わるルート分岐とは区別されることが多いようだ。
多くのプレイヤーが気になる(人によっては忌避しがちな)要素であるため、ゲームの攻略wikiなどではよく個別のページが用意される。
取り返しのつかない要素の例
この項目は、ネタバレ成分を多く含んでいます。 取り返しがつかないかもしれません。自己責任で突っ走ってください。 |
キャラメイク
キャラクターの名前や容姿、見た目などの選択、転職、クラスチェンジ、ステータス振り分け、レベル、スキルなど。
こだわるプレイヤーも多いため後から変更できること(あるいはできないこと)をゲーム内で明確にする作品が近年は多い。
『モンスターハンターシリーズ』多くのタイトルのように服、髪型(色)など(途中で変わっても自然な物)は変更できるが、肌色、性別、名前など(途中で変わったら不自然な物)は変更出来ないという場合もある。
『モンスターハンター:ワールド』では有料で販売のDLCというややゲーム外的な形で上記の普段は変更できない部分を変更出来るようになる。それでも名前変更は出来ないが。
『モンハン』に限らずオンラインに接続する様なゲームの場合悪質プレイヤー対策として、名前変更は出来ない、もしくは課金が必要という物が多い。
近しい例として、ゲーム中に行った何らかの行動の結果として名前や外見が永続的に変化してしまうというものもある。『ゼルダの伝説 夢をみる島』の「どろぼー」が有名だろう。
レベルやスキルは基本的に上げて困る物では無いが、上げすぎると強くなりすぎて緊張感を損なうなどの問題点がある為、下げることができるシステムを導入しているゲームもある。
またそのシステムを使い、ステータス振り分けをやり直す事が出来る場合も多い。
アイテム
アイテムコンプリートという遊び方は人気が高く、ゲームが進化する中でアイテム図鑑などのやりこみ要素を全面に押し出した作品も増えたためアイテム入手漏れを気にするプレイヤーは多い。
入手時期の限られるもの、限られた数しか入手できないものは取り返しのつかない要素に挙げられやすい。
中にはアイテムコンプリートが特典アイテムや実績の獲得条件となっているゲームも存在し、実績埋めの過程、または特典アイテムのためにアイテムコンプリートをせざるを得ないこともある。
アイテムコンプリートに必須となる一点物のアイテムも売却や廃棄ができてしまう作品もあるので、気にする人は要注意。
逆のパターンとして、複数のアイテムの中から一つを選んで入手し、残りは入手出来なくなるというコンプ不可仕様のゲームも多い。
またプレイヤーキャラが常備している装備が1週目のストーリー進行により変更・強化された場合、2週目開始時からストーリー展開無視で変更・強化状態になっている…という様な事もある。変更する方法が無い場合は1週目からやり直す以外にその装備は目にすることは出来ない。
『ペーパーマリオ』シリーズに登場するコブロンは、ハンマーで叩くと「タンコブ」と言うとても優秀な回復アイテムを落とすが、叩く度に徐々に狂っていき、最終的に死んでその後は登場しなくなる。
タンコブが入手不可になるだけでなく、セリフのショックも相まってプレイヤーにトラウマを残した。
『ファイナルファンタジーIX』の最強武器、「エクスカリバーII」はプレイ12時間以内にラストダンジョンの最深部で回収しないと入手不可という、極端なやりこみプレイ前提の設定となっている。
入手条件の都合上、他の取り返しのつかない要素の大部分を捨てることになる。
その他、取り返しのつかないアイテムの主要な例(要スクロール)
- 隠し宝箱 (スーパーマリオRPG)
特にキノコ城の宝箱(カエルコイン) - 最強の矛(ファイナルファンタジーXII)
ある特定の宝箱を取ると二度と手に入らない - ふうりんかざん(鬼神降臨伝ONI)
初期の「ぼくとう」を売ると二度と手に入らない - チキンナイフ・ブレイブブレイド(ファイナルファンタジーV)
- グラシャラボラス(ファイナルファンタジーⅧ)
アイテムというよりは召喚獣。ディスク4に進むと二度と手に入らない - ライネルの○○シリーズの武器防具・獣王の○○シリーズの武器防具(ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド)
4つあるボスを倒してしまうと二度と手に入らなくなる - モーグリの住処の宝箱のリボン (ファイナルファンタジーⅥ)
早い時期に宝箱を取ると中身が別のアイテムになり、リボンが二度と手に入らなくなる
他多数
イベント・クエスト
選択肢によって会話が分岐し、メッセージが観られなくなったりイベントCGが回収できなくなるなど。
発生時期が限られるものは「時限イベント」「時限クエスト」と呼んで区別されることが多い。
作品によっては、特定の分岐点から分岐するイベントを経過しなければ発生させることのできないイベントや、分岐した先で全く別のシナリオが展開され、そのまま専用のエンディングが用意されているというパターンも存在する。
さらに、一度しか見ることのできないイベントを見ることが実績解放の条件となっているケースも散見される。
また下記の「行けなくなるエリア」「生存・死亡」が発生した際、それにまつわるクエストなどの多くは消滅する。
『Undertale』ではある特殊なエンディングへのルートを完遂してしまうと「ニューゲームを始めて他の平和なエンディングのルートを見ようとしても必ず不穏なエンディングへと変化する」という、不可逆のフラグが仕込まれている。このフラグ管理の強度はプラットフォームによって異なるが、特にエグいとされるSteam版では「Steamアカウント自体に不可逆のフラグとして刻まれる」らしく、「全てのセーブデータを削除しても、『Undertale』をSteamから一度完全にアンインストールしても元に戻ることはない」ようだ。「取り返しがつかなくする」事への制作者の執念が感じられる。
仲間キャラ
『ドラゴンクエストVI 幻の大地』のアモス、『ファイナルファンタジーVI』のシャドウなど、イベントでの選択によってパーティメンバーに加入しなくなる、あるいは脱退する仲間キャラ。
転じて、脱退する仲間キャラに使用した強化アイテムや装備品も取り返しのつかない要素といえる。
『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』のキーファが前触れ無くパーティを脱退し「種泥棒」などと呼ばれたのは今でも語り草。
「全国図鑑完成」というコンプリート要素と「交換」という遊び方を全面に押し出した作品の先駆けとも言える『ポケットモンスター』シリーズでは、最初の三匹や化石ポケモンに代表されるような、複数から1匹を選び、選ばなかった方は自力では仲間に出来ないというシチュエーションがある。
また、一回しか捕獲のチャンスのない希少なポケモンがかなり意図的に用意されている。かつては捕まえずに倒すとそのセーブデータでは二度と会えない仕様だったが、近年では条件を満たせば捕まえるまで再戦できるようになっている。
なお、イベント配布でしか入手できないポケモンは全国図鑑完成に必要なポケモンの対象外に設定されているため、入手できなくても全国図鑑を完成させることができる。
行けなくなるエリア
ゲームが進行するうえで入れなくなるダンジョン、戻れなくなる街など。アイテムの取り逃しやイベントの見逃しを生む。年月が過ぎ去って街の風景が様変わりするといったパターンもある。
一点物の便利な装備があるのが定番。◯◯分以内にクリアできないとゲームオーバーになるような、時間制限のあるダンジョンであることも多い。
特に初代PSでは容量の問題で、大作RPGに分類されるゲームなどは1作品のパッケージに複数枚のCDが収録されており、シナリオ進行に合わせてディスクを入れ替えて遊ぶという形であった為、新しいディスクにシナリオが進むとそれより前のディスクで行けていた場所に行けなくなる場合がある、という現象が起こっていた。
その為、結果的に時限となるアイテムやイベントが多く、全要素の回収には綿密な攻略情報が必要とされていた。
『ファイナルファンタジーVIII』のDisc4などが顕著だろう。
SFCの『新桃太郎伝説』では、終盤ほとんどの町が海に飲み込まれてしまうというショッキングなイベントが発生。多くのプレイヤーにトラウマを植え付けた。
敵キャラ
1度しか戦えない敵キャラ、ストーリーの進行で出現しなくなる敵キャラなど。
前者はボスキャラなどに多い。また再戦出来たとしてもステータスが強化されて実質別物になっているキャラクターも多い。
後者は、上記の「行けなくなるエリア」にそのエリア限定の敵がいた時などにおこる。またストーリーを進めると敵が強化され以前の敵が出現しなくなるという場合も。
また、これらの敵キャラからしか入手出来ないアイテムやスキルなども取り返しのつかない要素となる。
生存・死亡
死んだ人間は生き返らない。自然の摂理である。シナリオ上重要なキャラの場合はルートが分岐し物語の流れが大きく変わる場合もあるが、進行に影響しないサブイベントとして処理される場合はプレイヤーの選択でキャラクターの生死が分かれたという事実だけが深く胸に残る。
特に『スーパーロボット大戦』シリーズでは、通常進めていると死亡してしまうが、条件を満たすことで生存イベントを発生させることができる作品が非常に多い。
生存イベントを発生させることで後のイベントが変化したり、自軍加入イベントが発生し仲間として使用できるようになるというパターンも非常に多く、それが隠しユニットの出現条件となっているケースも存在する一方、敢えて見殺しにすることで強力な機体や強化パーツが手に入るという二者択一のケースも多い。
『スーパーメトロイド』ではラスボス戦後の惑星脱出前にちょっと寄り道することで小部屋に閉じ込められたお助けキャラを助けることができる。気付かなければ彼らはそのまま爆発四散である。
『ファイナルファンタジーVI』のシドはマズイ魚ばかり食わせていると徐々に弱っていき最終的に死ぬが、旨い魚ばかりを食わせ続ければ生存させられるという隠し要素がある。ただし、生存させてもアイテムが貰えるなどの報酬は一切無い。死んだ方がストーリー的に面白い。
また、『パワプロクンポケット』シリーズはあまりに酷な展開が多いので「パワポケではよくあること」などと言われる。
『ファイアーエムブレム』では仲間が死亡すれば復活しないが原則のシリーズとなっている。美少女だろうが過去の歴戦の猛者だろうが登場してすぐに死なせることも可能である。ストーリー上重要なキャラクターに関しては「重傷を負った」等の理由でユニットとしては使えなくなるが生存はしていることも。当然ながら主人公が死亡すれば即ゲームオーバーである。滅多に死なないではなく普通に突出して集中攻撃されてあっさり死ぬので緊張感やキャラへの愛着がより一層深まるゲーム性になっている。(近年では「カジュアルモード」等の死んでも復帰するモードも用意されているが、原則は死んだら復活しないゲームである。)
洋ゲーのオープンワールド系のRPGでは名前有りのNPCが自分の意志でいつでも殺せる場合があり、クエストも見殺しにするか助けるかの選択肢が多数あり、善人プレイ、悪人プレイなどの自由度を広げる要素の一つになっている。しかし、味方よりのNPCを一度でも殺してしまうと、犯罪としてペナルティだけでなく、クエストの消滅、商人なら店が使えなくなるなど、殺人のリスクとリターンが全く釣り合わない場合の方が多い。そして恐ろしいのは自分の預かり知らぬ所で戦闘に巻き込まれて勝手に死んでいるケースである。殺す気はなかったのに何故か死んでいてクエストや店が利用できなくなった・・・は充分にゲームを諦める要因になり得る。近年では制作もそれに気を遣っていて、本当に自由に殺せるゲームは少なくなっている。
余談だが、「プレイヤーの意思で死なせることができ、生かしても殺しても変わらないか、むしろ(薬代などで)生かしたら損をする」ようなNPCをあえて生存させる日本人プレイヤーの割合は、海外のプレイヤーと比べて高い傾向にあるらしい。
戦績、実績、トロフィー
ゲームでの行動や勝率等あらゆるものが記録されていてそれが閲覧できるときはそれも取返しのつかない要素である。ほとんどの場合累積したほうがやりこみの証であり、プラスの面を持つが全滅した回数、逃げた回数などネガティブなものは一度でも行ってしまうと1と記録され、そのゲームでは二度と0には戻らない。気にする人にとってはもやもやするものである。勝率等も回数を重ねれば自分の好みの数値に近づくが100%は一度でも外れると二度と復帰できないし、ゲームによってはノーミスでクリアしないと手に入らないアイテムや称号が用意されているケースすらある。負けたくないからもうゲームしないなど本末転倒な考えも起きてしまう。
そして実績,トロフィー等はオンラインが必須なものだとすでに発売から時が経ちすぎて過疎やサーバーが終了してマッチングが成立せず、二度と習得できない場合も存在する。個人の努力ではどうにもならない要素ともいえる。オンライントロフィーの有る無しが中古で購入する時の参考になる要素にもなり得る。またトロフィーを取得した場合でもつまらない、興味のないゲームのトロフィーを取得してしまって自分のトロフィー一覧に数%の取得率が並ぶのも嫌がる人もいる。トロフィーは取得したら削除ができないのでこれも取返しのつかない要素ともいえる。(非表示にすることは可能)
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