古代進とはもはや言うまでもない、宇宙戦艦ヤマトシリーズの主人公である。
後述するように旧作では問題児な面も多かったが、終始熱血漢の主人公らしい主人公であった。担当CVも多く、初代から完結篇は富山敬、ゲーム版及び復活篇は山寺宏一、2199では小野大輔が努めている。
概要(初代~完結編)
当初は宇宙戦士訓練学校の候補生であり、島大介と共に火星の観測基地で任務中、偶然にも波動エンジンの設計カプセルを持ったイスカンダル人のサーシア、 その亡骸と邂逅。カプセルを回収。
地球帰還後、そのカプセルを基に波動エンジンを完成させたヤマトに乗艦。砲雷長と航空隊長を兼任するような、戦闘班長の地位に就く。初期段階は兄、古代守を「見捨てた」沖田十三を相当に恨んでいた。
そういった経緯からガミラス人への憎悪も激しく、捕虜をナイフで殺害しようとさえしている。
しかし激戦の末に滅びたガミラス本星を前に「勝利か、クソでも喰らえ!」と戦いの虚しさも痛感。14万8000光年の旅路は、彼を人間的に成長させた。イスカンダルで奇跡的に無事だった古代守を見届けた後、地球に帰還する。
そして沖田艦長戦病死後(実際は誤診)は、しばしば艦長、艦長代理などに就任。ヤマトの実質的な指揮官だが…
- レーダーが利かず、艦載機の操縦に支障があるのに、加藤三郎に無理矢理、宇宙空間に散らばっているガミラスのミサイルの破片を取りに行かせる。(初代)
- 地球防衛軍所有の宇宙戦艦であるヤマトを、上層部の許可なしに、かつての乗組員と結託して強奪し、無断で地球から発進させる(2の総集編では太陽系外周警備にで出たまま、上層部の許可を得て11番惑星へ救援に駆けつける)。(さらば・2)
- ヤマト率いる外周第三艦隊が地球へ帰途につこうとした時、テスト航海のため同一進路に入ったアンドロメダに対して、復路優先を理由に進路を変更するように通信。アンドロメダ艦長兼連合艦隊司令官の土方竜は、地球防衛艦隊の旗艦となることを理由に進路を変えるよう返信するが、お互いに主張を譲らずニアミスする。外周第三艦隊は、白色彗星帝国からの攻撃で損傷を受けていた事情があることを考慮すべきだが、この時の古代はその件を土方には一切説明しなかった(後日、土方に呼ばれて事情を説明)。(2)
- 一度は地球連邦政府が決定したガトランティスへの降伏を、独断専行の攻撃で台無しにする。結果的に、超巨大戦艦の砲撃で地球各地は火の海と化し、ヤマトで特攻する以外、打つ手がなくなる(そもそもヤマト単艦で超巨大戦艦に突っ込もうにも、圧倒的な火力で撃沈されるだろうし、テレサが現れなければ確実に地球は滅亡していた)。(2)
- 暗黒星団帝国と独断で戦闘状態に突入。そのことが、翌年の暗黒星団帝国の地球侵攻のきっかけになる。(新たなる)
- 暗黒星団帝国本拠地のデザリアム星で、自分の姪であるサーシャが星にいるという、心情的には同情の余地あれど、絶好の波動砲攻撃のチャンスを私情で躊躇する。(永遠に)
- ヤマトを占拠したシャルバート信者を処刑しないように、警備隊長レバルスに懇願。その後、処刑を命じたベルラーゼ首相に対して抗議して彼の機嫌を損ね、地球を敵国認定されて交戦状態になる。警備隊(寄港中に世話になったレバルスも殺害)やボラー艦隊を殲滅した結果、彼から更に怒りを買い、惑星破壊ミサイルでバース星を囚人もろとも破壊される。(III)
- ↑挙げ句、ベムラーゼに対して「私はあなた方のような残酷な民族は見たことがない」と煽る。(III)
- ガルマン・ガミラス本星で、ボラー連邦のミサイル攻撃から防衛した際、デスラー総統に対し、上から目線で説教を垂れる。(III)
- デスラー総統の命令で、惑星ファンタムを爆破しようとするグスタフ中将に抗議し、さらに惑星破壊ミサイルを砲撃して撃墜しようとするなど、彼の任務を妨害する。(III)
- アクエリアスの洪水によって水没寸前だったディンギル星から、人々を救出させようとするが、救えたのは1人の少年だけで、コスモハウンドもろとも洪水の海へ転落した乗組員&ディンギル人など、逆に多数の犠牲者を出す。(完結編)
- ↑が原因で、地球がディンギルの侵略で滅亡寸前に、個人的感傷で辞職。責任放棄を試みる。(完結編)
他にも藤堂長官や土方司令などの擁護、追認がなければ、不名誉除隊にされても何も文句が言えない。
独断専行、命令違反を日常茶飯事で行なっている経歴を持つ。結果として地球を幾度も救ったとはいえ、およそ軍人としてふさわしい人物とはいえず、良くも悪くも「冒険物の主人公」というキャラ付けであった。
また、古代が戦闘班長を努めている時の艦長は、必ず戦死or戦病死する(魔の艦長席)。
但しここまで書くと古代進という人物が、真性のロクデナシに見えるので、一定の弁護を行なっておく。
初代無印では宇宙戦士候補生でありながら、急遽任命されたヤマト戦闘班長の任務を務め上げ、一応の区切りである完結篇では、ヤマトを自爆させてでもアクエリアスによる地球滅亡回避を提案。
その際には自分が波動砲の内部自爆制御を担当を申し出るなど、それなりの責任感も有している。
また、家族を思春期に相次いで亡くしたことから、沖田十三艦長を何処か父親のように見ており、ヤマト自爆を古代の代わりに請け負った沖田艦長を、落涙とともに「さようならお父さん」と、見事な挙手の礼で見送った。
概要(復活篇)
ディンギル戦役から17年後にあたる復活篇では防衛軍を退役、森雪と正式に結婚。
一人娘の古代美雪をもうけている。しかしヤマトや宇宙への未練から良い父親とはいえず、貨物船の船長として家を空けることが多かったこともあって、そのことから家族関係は良好と言えなかった。
妻である雪は第一次移民船団護衛のスーパーアンドロメダ級の艦長に就任。
SUS艦隊から移民船団を守る戦闘のさなか、緊急ワープと同時に乗艦が被弾してしまい、大破した乗艦こそ残されたが本人は消失。復活篇とディレクターズカット版。双方で行方不明扱いとなった。
雪の行方不明とカスケードブラックホール接近を、地球の科学技術庁長官となった真田さんより知らされ心機一転。
再度大幅に強化されて就役したヤマト艦長、そして第三次移民船団護衛艦隊司令官の任務を引き受ける。また、この任務を引き受ける前にも、大破した戦闘空母ブルーノアでSUS艦隊を撃退するなど、腕は衰えていなかった。
当初のビジュアルは、その容貌は往時の沖田艦長のような濃いヒゲに覆われ「誰だお前」状態であった。
移民船団護衛の任務は見事に務め上げ、嘗ての自分のような血気盛んな部下を諌めるなど。年齢相応の落ち着きと成長がだいぶ見られる。見られたはずなのだが…
カスケードブラックホール破壊の際は、本来の戦闘班長を押しのけて勝手に波動砲を撃つ。
ブラックホールの影響で地球が暴風雨に覆われた時は、娘救出のため無断でコスモゼロを持ち出すなど。
…やっぱりいつもの古代でした。寧ろ職責の重さが増したことを考えれば、更に悪化したかもしれない。
概要(PS/PS2ゲーム版)
平成に入ってからゲームとしてリメイクされた作品であり、松本零士をはじめ、ゲームスタッフ達によって、原作の理不尽な脚本・皆殺し展開を大きく変更。
それに伴い古代もかなり理性的になり、年長者との会話は必ず丁寧に行う、部下や同僚の判断、意志を尊重。僚艦援護もヤマト艦長となった古代守のサポートという形でこなすなど、概ね理想的な戦闘班長となっている。
恐らく2199を除けば、一番性格的に落ち着き、理性的になった古代進であろう。
ゲームの流れもヤマト無双ではなく、残存防衛艦隊とのチームプレイで勝利を勝ち取る王道ルート。
何より山南修艦長、古代守、サーシャ(スターシャと守の娘)といった、原作「ヤマトよ永遠に」にて理不尽な死に方をしたキャラを、ルートによっては生還させることも可能で、非常に良くシナリオが練られており、ヤマトIII以降の続編が出なかったことが惜しまれている。
概要(2199)
他のキャラクターと同様に年齢、出自、国連宇宙軍への入隊経緯、階級などが細かく設定されている。
初登場時の階級は3尉で、メ号作戦の一環として、イスカンダルからの連絡機との接触のため、火星で島大介とともに待機していた。偶然サーシアと遭遇というわけはなく、このあたりの整合性はリメイクならではある。
今作では、出渕裕監督の「古代と島の性格、スタンスを逆にした」・「昔の古代では今は受け入れられない」という判断から、ゲーム版以上に落ち着いた、(年齢相応の未熟さを除けば)冷静な性格となった。一例としては旧作同様、兄の戦死を「陽動作戦で兄を殺したのか」と沖田に詰め寄るが、苦悩に満ちた謝罪から心情を察し、敬礼で応じた。
とは言えその直後、整備中の最新鋭機コスモゼロを島とともに無断出撃させ、整備中でメンテ不完全なことが原因から不時着、大破させてしまい、加藤三郎に顔の形が変わるほど殴られている。唯一の肉親である兄の戦死直後ということで、やはり頭に血が上っていたのであろうか?
こういった経緯から、後に戦術長の職掌と1尉昇進を拝命しても、航空隊からは非常に懐疑的に見られた。
加藤からは戦術長「殿」と、海軍では最大級の侮辱にあたる、旧陸軍式の名前で呼ばれ、部下を無駄死にさせた場合の覚悟を迫られる場面もある。当人も自覚はあり、当初は自分にその資格はないと辞退を申し出ている。
しかしヤマト出撃後は、単に命令に忠実なだけではなく、戦術長として概ね的確な判断能力を発揮。
仮に危険な任務を迫られた場合は、自らが率先垂範するなど、能力と人格で階級と職掌の両方にふさわしい人物であることを証明し、加藤を始めとして多くの部下や同僚から、信頼と信用を確立している。
また今時の主人公らしいというのか、基本的に温厚で概ね能力も優秀で、部下の心情を悟るのも早い。
気の回る良い上官なのだが、異性関係だけは正真正銘の朴念仁で、森雪や山本玲といった女性陣の好意に全く気づいていない。また、意外とアナクロな表現を好み、真田志郎を「コンピューター人間」と評していたこともあった。
なお、戦闘時に際しては基本的に第一、第二艦橋で指揮を執るが、メ2号作戦のように航空隊指揮をとることもある。
その際の乗機はコスモゼロ1号機、コールサイン「アルファワン」であり、旧作のように独断専行で出撃するわけではなく、古代不在の際には砲雷長の南部康雄が指揮権を引き継いでいる。
「新米の3尉がいきなり新型戦闘機を操れるのは?」という旧作の疑問も、ヤマト配置前の所属部隊という形で解消。
原隊は第7航宙団、つまり戦闘機隊であり、同時にコミック版では「航空技量主席」と設定も補完されており、大概の戦闘任務をこなせる理由も、それなりの整合性を取るように努められている。
戦術長という職掌に相応しい、人間味と能力を有した、今度こそまっとうな主人公として活躍中である。
因みに2199の担当声優、小野大輔氏は「昔の古代って野獣みたいな…」とオーディオコメンタリーで評している。
関連動画
関連商品
関連コミュニティ
関連項目
- 宇宙戦艦ヤマト
- 宇宙戦艦ヤマト2199
- 宇宙戦艦ヤマト復活篇
- 富山敬/山寺宏一/小野大輔(担当声優)
- コスモゼロ(シリーズを通じてほぼ愛機)
- 古代守(兄、唯一の肉親)
- 森雪(後の妻?)
- 沖田十三/土方竜/山南修(魔の艦長席・古代進被害者の会?)
- 1
- 0pt