合唱とは、複数のパートを複数人で同時に同じ場所で歌う行為のことをさす言葉である。
それを目的に作詞・作曲・編曲された楽曲を合唱曲という。
概要
単一のパートを複数人で同時に歌う場合は「斉唱(ユニゾン)」といい、複数のパートを一人ずつで歌う場合を「重唱(アンサンブル)」という。
パートの数によって、「二部合唱」「三部合唱」「四部合唱」と呼ばれており、女声のみの合唱は「女声○部合唱」、男声のみは「男声○部合唱」、女声男声両方ある場合は「混声○部合唱」と呼ばれる。
基本的に女声男声共に3パートに満たない編成の場合は2パートで女声の場合ソプラノとアルトに分けられ、メゾソプラノはソプラノに組み入れられる。男声の場合テノールとバスに分けられ、バリトンはバスに組み入れられる。1パートの場合単純に女声、男声と呼ばれたりソプラノ、テノールとする場合もある。又男声四部合唱が行われる事も多く、その場合はテノールが第一テノールと第二テノールに分けられる。
尚、男性でありながら女声パートを歌う人も存在する(あくまでも、パートとしてはソプラノやメゾソプラノ、アルトという)。以下では、その分類を記す。
- ボーイソプラノ(変声期前の少年を指す)
- カウンターテナー(ファルセット、ヘッドボイスにより女声パートを歌う者の総称)
- ソプラニスタ(ファルセットを使用せずにソプラノに匹敵する音域を出す者)
- カストラート(変声期前に去勢を行う事により変声が起こらないようにした人の事)
これらの男性の女声歌唱者は、文化的な側面から発達してきたと言ってよい。詳しくは各ページを参照されたい。
伴奏はピアノ伴奏がポピュラーで、次いでアカペラが多い。第九のようにオーケストラを伴奏とする場合もある。狭義の合唱は必然的に重いハーモニーとなるため、軽音楽系の演奏を伴奏とする事例は非常に少ないが、皆無という訳でもない。
歴史
人間の声を用いた音楽というのは人類の黎明期から存在するので明確な起源を特定するのは不可能だが、現代合唱の直接の祖となったのはヨーロッパの教会音楽と見て間違いない。当初は祈りの文句を全員で唱える形であったが、10世紀のグレゴリオ聖歌(斉唱)の辺りから、次第に音楽的な色彩を帯びていった。本格的に音楽様式として独立するのは15世紀のルネサンスであり、鍵盤楽器の発展とともに対位法、和声法が取り入れられ、技法としての合唱が確立されていった。
合唱の代表曲
- 美しく青きドナウ - ヨハン・シュトラウス2世
- 第九 - ベートーヴェン
- モルダウ - スメタナ、岩河三郎
- 混声合唱とオーケストラのためのカンタータ「土の歌」(第七楽章「大地讃頌」が有名) - 佐藤眞
- 時の旅人 - 橋本祥路
- 遠い日の歌 - 橋本祥路
- カリブ夢の旅 - 橋本祥路
- 夢の世界を - 橋本祥路
- マイバラード - 松本孝夫
- 気球にのってどこまでも - 平吉毅州
- 若い翼は - 平吉毅州
- 巣立ちの歌 - 岩河三郎
- 空駆ける天馬 - 黒沢吉徳
- BELIEVE - 杉本竜一
- 旅立ちの日に - 坂本浩美
他多数、詳細は合唱曲の一覧を参照。
有名な交響曲の一つであるベートーベンの交響曲第9番ニ短調作品125<合唱付き>(第九)などでは、曲の途中で合唱が伴う(本来は純粋な合唱曲ではない)。
近年、山口百恵の「いい日旅立ち」(作詞・作曲:谷村新司)や海援隊の「贈る言葉」(作詞:武田鉄矢、作曲:千葉和臣)など、往年の歌謡曲やポップミュージックが合唱用にアレンジされた曲も増えている。
ニコニコ動画における合唱
合唱と合唱シリーズ
ニコニコ動画における「合唱」タグと「合唱シリーズ」タグの大きな違いは、使用している音源データを歌唱者がはじめからアップロードされた動画を作る目的で作成しているか、既に存在している音源データを使用して作成されたのか、という点にある。
「合唱」タグは、前述の本義のみならず、別の場所で収録された音声データを楽曲データとともに別の場所で合成し、あたかも同じ場所で合唱したかのように一本化して作成された動画にも使用される。このとき、それらのデータは作成者の同意を元に一本化する人物へ提供されて、「コラボレーション」「合唱企画」などと動画に記される。そのため、複数の人でコラボレーションした「合唱」動画については、「歌い手コラボのリンク」タグをつけることもある。
さらには録音合成をコラボレーションと全く逆の方向に活用する技法として、楽曲のすべてのパートを自分一人で歌って録音し、それを合成してハーモニーにする「ひとり合唱」「一人合唱」というジャンルがある。
一方、「合唱シリーズ」タグは、既にニコニコ動画にアップロードされた動画の音源データを元に第三者が作成している動画である。このとき、作成に当たって使用された動画のアップロード者が作成した第三者に対して動画の使用許諾をしているかどうかは無関係である。
ニコニコ動画ならではの「合唱」
斉唱・合唱問わず、参加者が同じ場所にいなくとも、音声データを合わせることによって擬似的に共に歌い、多くの人を楽しませることができるというのは、インターネットならではの歌唱のあり方であり、音楽の新しい一形態といえる。
合唱曲タグ
「合唱」タグは、上述の「音声データを合わせた擬似的な斉唱・合唱」と、歌唱者が集まって斉唱した演奏、多人数での合唱演奏が混在している。
「合唱曲」タグはこれに対して、後者のような多人数の合唱演奏につけられる。上の3つは明確な区別が難しい(というより、コンクールで披露されるような演奏を、明確に定義付けて他と区別するのが難しい)ため、合唱演奏を聴きたい場合、あるいは合唱演奏をアップロードする場合はこちらのタグを利用することが多い。
関連動画
関連商品
関連項目
- 8
- 0pt