同人ゴロとは、「同人」と「ゴロツキ」あるいは「ゴロマキ」を合わせた造語である。
同義語として「同人やくざ」がある。
概要
元々は、同人誌制作に関して不当な方法を用いて利益を得る行為を行った者に対する、非難の言葉である。
主に「同人アンソロジー」などと呼ばれる合同誌の関係者に多く向けられていた非難で、対象となった行為の例としては「有名作家ばかりを集めただけの内容の無い本を作る」「海賊本を作る」「印刷所や参加者に支払いを行わずに蒸発する」などが挙げられる。
共通しているのは、創作者たる他人に利益を還元せず、参加者の同意が無いまま一部の関係者だけが不当に多額の利益を得ていたことである。
しかし近年ではそのような例は少なくなり、以下のような意味合いでこの単語が使われることが多い。
その時々に流行している作品を題材とすることを重要視し、その作品への愛情や敬意が全く感じられない頒布物を制作し、それによって金銭的利益を上げている作者やサークル。
こうした意味に転じた時期や原因は定かでないが、その背景には現在の同人活動における二次創作作品の位置付けがファンによる作品への愛情表現の延長として行われてきたという暗黙の共通認識の存在があると考えられる。
昨今、インターネット通販により頒布物の入手が容易になったことや、各所で頻繁に即売会などのイベントが行われるようになったことで市場規模が拡大した。そのため同人活動の人口そのものが増え、「売れている人」と「売れていない人」の差がより顕著に分かるようになり、「他人よりも売れる事」に価値を見出す人が現れ始めた。そしてそのために、人気のあるジャンルで同人誌を多作、そのジャンルの人気が下火になったらまた次の人気ジャンルへ移動して多作する、というサークルが散見されるようになった。
このことから原作の設定やキャラクターに対する理解が著しく欠如している二次創作作品への反発表現として、このような用法が一般的に使用されるようになったのではないかと推察される。
ただ残念なことに、この用法は正当な批判よりも中傷として使用されるケースが多い。
元々の用法では明確な被害者がいたのに対し、この用法ではそれが存在しない。さらにこの用法においては、金儲けであるという証拠付けとなり得る信頼できる情報が示されるケースは少なく、むしろある事実から導き出した悪意のある憶測が証拠付けとして提示されていることが多々あるため注意が必要である。
こうした用法は見方によっては一種の「有名税」であるとも考えられるが、当該サークルのファンとの間で諍いを起こす原因となるばかりではなく、事情に詳しくない者にいらない先入観を与え、作品とユーザーとの出会いを阻害する可能性も大いに考えられるため、冗談のつもりでも軽々しく使うべき言葉ではない。
関連項目
関連リンク
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