名古屋立てこもり放火事件とは、2003年9月16日に発生した脅迫・放火事件である。名古屋ビル爆破事件とも。
概要
2003年9月16日の朝、名古屋市東区の大曽根駅前ビルの4階に入居する運送会社「軽急便」本社・名古屋支店に、同社から宅配委託業務を請け負う52歳の男が侵入し、ポリタンク内のガソリンを辺りに撒き散らして41歳の支店長を拘束、ライターを手にして3か月分の給与21万円の支払いを迫るという、立てこもり脅迫事件が発生した。
これに対して愛知県警察の機動捜査隊(通称: 機捜(隊)。警視庁・道府県警本部の刑事部に所属する執行隊で、警備部所属の機動隊とは異なる)が出動、男の説得に当たる。気化したガソリンが充満しているため閃光弾を撃ち込む等の制圧行動を執ることができず、事態は膠着化していった。
そして13時8分頃。いかなる成り行きの果てかは不明であるが、待機していた救急・消防隊員やマスコミ・近隣住民の眼前で、突如「ボン」という轟音と共に爆発が発生した後もうもうと黒煙を上げて炎上、爆発時に吹き飛んだ窓ガラスの破片等で多くの負傷者が発生して現場は大混乱となった。各テレビ局は放送予定を変更して事件の様子を生中継しており、爆発の瞬間はもちろん、同社内から吹き飛ばされた大量の書類が舞い飛ぶ中、血まみれになったマスコミスタッフやレポーターが逃げ惑いながら報道を行う姿や、はしご車に乗った消防隊員が割れた窓ガラスから生存者を懸命に救出する様子など、生々しい映像がお茶の間に届けられることとなった(後述の「関連動画」参照)。
火災は約1時間後に消し止められたが当階は全焼、焼け跡から容疑者と支店長の遺体が発見され、説得に当たっていた機捜隊の31歳の巡査長も殉職、その他40名余りの重軽傷者が出る惨事となった。
爆発の原因が意図的な自爆であったのか、はたまた事故的な引火であったのかは明らかになっていない。少なくとも当時の現場が、ちょっとした火花でも容易に引火し爆発しかねない危険な状況であったことは確かなようだ。
この事件が起きた背景には「『独立開業支援、一ヶ月で収入30~50万円』という売り文句で募った業務委託者に対し、指定した業務用ミニバンの購入ローンを半強制的に組ませ、社員ではなく『個人事業主』としてローンが支払える最低限度の保障と業務斡旋しか行わない(しかも契約時に保証金等を取ったうえ2年間は解約できない)」という、いわゆる「軽貨物商法」と呼ばれる業界の悪質な雇用体制があったと言われている。この事件後、当社は指定車両の購入義務を撤廃して車両の持ち込みを可能とする等の改善は行ったようだ。
なお、ポリタンク等によるガソリンの購入禁止が強化される切っ掛けとなった事件であり、またガソリンの揮発性とその危険性についても一般に広く周知されることになった。
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