哀しみのチンフェとは、自動作曲システム「Orpheus」によって作成された、Orpheusオリジナル曲である。
概要
ギリシア神話に登場する吟遊詩人の名にちなんで命名されたOrpheusは、東京大学大学院・情報理工学系研究科の嵯峨山茂樹教授を中心に研究開発された「自動作曲システム」であり、誰もが無料で、音楽と数学を繋げる法則性を元に、入力した日本語歌詞から自動で作曲、伴奏付きの合成音声をMP3でネット上で公開できる。
Orpheusは純粋な学術目的で公開されたウェブサイトであったが、とあるネット掲示板のコミュニティ利用者に目を付けられてしまい、殺害予告や汚物用語、罵詈雑言といった下劣な歌詞を元に作成した楽曲が大量に公開されるという惨状になっていた。
しかしながら、とあるネット掲示板のコミュニティ利用者による作品投稿は、作曲数が大量であることに加えて、システム開発グループの想定を超える発想で作曲するケースも見受けられ、自動作曲システムの多種多様な利用法を体現していたが、それと同時に、下劣な歌詞ばかりが評価される事態も引き起こしていた。
そのため歌詞統計に支障が生じることからOrpheus開発グループは、とあるネット掲示板のコミュニティ利用者を「特定コミュニティ」と呼称し、一般ユーザーとは隔離しつつ、自動作曲研究の進展に役立てることにした。
以上の経緯で投稿された「哀しみのチンフェ」は、2013/06/10現在において、「分類名:特定コミュニティ」で最多得票の優秀作品として評価されている。
当時実装されたばかりの二重唱システムを用いた「哀しみのチンフェ」は、架空(?)のチンフェとされる人物の悲哀の物語である。
2分31秒という短い時間のなかで描かれる現代ネットにありがちな取り返しのつかない失敗は、ともすれば笑い話としかならない愚かなものだが、作曲者「風の民」は、その背後にある人間の抱く悲しみ、チンフェの嘆きを、音楽という感情を呼び起こす力を用いて、巧みに歌い上げた。
ネット上で繰り返される、人々に嘲られ、消費されていく愚かな人物の悲哀を描いた「哀しみのチンフェ」は、時代へ警鐘を鳴らす、Orpheusというウェブの海で生まれた類まれな名曲であった。
歌詞
現実世界で思うような人間関係が作れず
自己主張の場を欲した結果たどり着いたネット
一般に匿名で楽しむ掲示板
敢えてコテをつけて乗り込む
それからそこが居場所になった
嫌われながらも存在が認められ
教室では寂しげに過ごす日々
しかしそこでは得意気に自分を語る
初めて彼女ができたこと(彼女はブサイク)
嫌いな同級生たちのこと(嫌われていたけど)
未成年で飲酒をしたこと(異常な「呑み」への拘り)
友達を7人も泊めたこと(救世主になれた)
この他数々の武勇伝
語る内容はほとんど嘘
それでも彼は満足だった
しかしこれが後に仇となる
細切れに出された情報を
自らがつけたコテが全て結び
追い詰められてついに特定
衝動で発した言葉たちが
自らの首を締め上げる
彼への仕打ちはまだ続く
切羽詰まって思いついたのは
弁護士に相談という選択肢
衝動で駆け込んだその先は
残念ながら無能弁護士
大金叩いて雇ったはいいが
騒ぎは鎮火どころかさらに燃える
その火が消えることはなく
彼の過ちはネットの海に残り続ける
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関連項目
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