哪吒(ナタ/Nézhā/ナタク)とは、中国の神である。別名は哪吒太子(ナタタイシ)。神名は太子爺、中壇元帥。ショタ神ではあるが破壊神でもあるので触ると危険。
概要
元々はヒンドゥー教の北方・財宝神クベーラの息子ナラクーバラ。クベーラが仏教に毘沙門天として取り込まれると哪吒三太子として取り込まれた。中国で毘沙門天信仰が高まると、毘沙門天は唐代初期の名将である李靖と同一視され、托塔李天王として道教でも崇められるようになり、それに伴って道教でも崇められるようになった。これが那吒である。
後に毘沙門天信仰が廃れると仏教では忘れ去られてしまったが、道教では封神演義での活躍もあって人気を集めることになった。
外見
基本的には通常モードと戦闘モードがあり、戦闘モードの時には頭3つで腕8本(西遊記では6本)の化け物になる。ただし、余りにも萌えない姿になるので、日本ではなかったことにされている。
通常は小学生以下の童子として表現されている。とはいっても中国のことなのであれなのだが、人によってはツーサイドアップテールなショタになることもある。
ただし、日本ではその生い立ちから人造人間として見られることが多く(安能版では序文で人造人間であることを力説していた)、従って現代の創作では感情に乏しいクール系のキャラになる傾向もある。原典の封神演義や安能版ではそれとは正反対なヤンチャ坊主であるのだが。
封神演義
封神演義では、元々はきたるべき殷周戦争に備えて太乙真人によって作られた霊珠。それを殷の武将である李靖の妻に入れて、人として誕生させたのが那吒である。凶悪なまでのヤンチャ坊主で李靖を悩ませていたが、竜王の息子をぶっ殺して背筋を抜くという事までしてしまうと責任を取らないわけにはいかず、自ら凌遅するという手法で自害してしまう。しかし、肉は死んでも魂魄は死んでいないことから、母親の夢の中に現われて自分の行宮(神社)を作るよう懇願して、母親は願い通りに行宮を作った。神像が三年間受香すれば生き返れるはずだったのだが、那吒の行宮が作られていることに気づいた李靖が腹を立ててぶっ壊してしまう。しかし、那吒は殷周戦争における重要なファクターだったので、復活させない訳にもいかず、太乙真人は蓮の花に金丹を入れ、それを肉体することによって那吒を復活させた。
復活した那吒はこれまでの恨みを晴らすべく李靖にお礼参りにでかけたが、流石に李靖を殺させるわけにもいかず太乙真人とその兄弟弟子の文殊広法天尊に取りなされてしまう。それでも哪吒は約束を反故にして、後から李靖を殺そうとしたが、当然のことながら見抜かれており、太乙真人ら崑崙十二仙を束ねる燃燈道人によって妨害されてしまう。それでも哪吒は復讐を心の中で企み続けるが、燃燈道人が李靖に那吒制御用の宝貝である玲瓏塔を与えたことによって敵わぬ夢になってしまう。その後は殷周戦において、太公望の手駒として殺戮の限り、もとい大活躍することとなる。
金吒(キンタ)と木吒(モクタ)という兄がいて、2人とも高名な仏弟子である。
ちなみに安能版では「ナタク」と呼称されているが、研究者によれば実際には「ナタ」と呼ぶのが正しいとのことである。
能力
蓮の化身であるという特異な出自のため、対人間用の相手を気絶させたり混乱させる術や宝貝の効果のほとんどを無効化する。また病気にもならないため、敵の放った病気によって味方のほとんどが身動きが取れない中、哪吒は自由に動き回れたということもあった。
宝貝
太乙真人から、生まれた時に「乾坤圏」「混天綾」、蓮の化身となったときに「風火輪」「火尖槍」「金磚」が与えられた。のちに三頭八臂の姿を与えられた際に「九竜神火罩」「陰陽剣」も与えられている。また、肉の肉体を持っていた時には「乾坤弓」という伝説の弓も遊びで放っている。
西遊記
西遊記での哪吒は武器や家族構成に変更点はあるものの、何物かが李靖の妻を媒体として誕生し、竜王とのトラブルで自害。すったもんだの末に再生という大まかな流れは共通している。
三蔵法師が登場する以前、天界で暴れていた孫悟空を捕まえるべく激闘を繰り広げるものの敗北。三蔵法師の旅に同行する訳ではないので見せ場はこんなところであり、結果的には悟空の強さを知らしめるカマセみたいな扱いになってしまっている。
現在日本での創作
藤崎竜の漫画「封神演義」
安能版の記述を引き継ぎ、感情に乏しいロボット系のキャラとして登場。混天綾や風火輪、火尖槍といった宝貝はアレンジがあるとはいえ、比較的原作に近い描写だが、乾坤圏はいわゆるロケットパンチに近い形(両手に装着された2つの円筒が発射される形)、金磚はビーム砲に近い形で描写されている。原作通りの多彩な宝貝に加え、後に原作では使用したことのない宝貝をも使いこなすようになる。全体的に、やや野郎系のアレンジがされている。
藤崎版封神演義は、安能版を原案としているため、哪吒に関しても物語前半の展開は原作や安能版とよく似ている。李靖との戦いのエピソードでは原作通り父親を憎み争うが、同時に母親の殷氏を愛していることが重視して描かれている。その様子は、作中で太公望によって「エディプスコンプレックス」に例えられた。母親を失った黄天祥に親近感を抱き、次第に彼の兄貴分となる。
アニメのCVは宮田幸季(仙界伝封神演義)、古川慎(覇穹 封神演義)。
無双OROCHI
かつての大戦で落命したが、ある人物に改造されることで命を救われ、機械仕掛けのような姿で再び生を得たという設定になっている。
「無双OROCHI2 Ultimate」では、機械の身体になる前の若き姿で登場。同じ人物が2パターン登場するのは遠呂智に続けて2人目となった。
Fate/Grand Order
数ある宝貝の中から、火尖槍をメインとして使うランサーとして登場。両足につけた風火輪で飛び回り敵に突撃する。
体言止めを多用、なおかつ助詞を省略する傾向にあるのでロボット臭さはあるものの、かといって感情に乏しい訳ではない。
西遊記からの繋がりで、三蔵法師とは知己の間柄。
なお、元々は男の子として誕生したのだが、太乙真人が女の子の肉体で再生させてしまった。つまり、男の心を維持したまま性転換させられてしまったようなもので、性別の話題を振られると気後れてしてしまう。時には慌てもする。それが可愛いのは言うまでもなく、徐々に染まってきているようでもある。
詳しくはこちら→哪吒(Fate)
関連動画
関連項目
- 1
- 0pt