商社単語

総合商社と特定の分野に特化した専門商社の二種類があり、そのうち総合商社については日本固有の業態である。

当記事では総合商社を中心に説明する。

総合商社は海外で対応業種がないため「Sogo shosha」と呼ばれている。アメリカにおいては投資銀行が商社と証券会社の両方の機能を備えた類似産業であるが、商社のように商業特化してはいない。

商事も商業を営む会社という意味であり商社のことである。

歴史・特徴

商社の源流は坂本龍馬が立ち上げた日本初の株式会社「亀山社中」（のちの海援隊）と言われている。出資者を募って資金を集め、貿易の利益配分によって出資者に還元する形を取った。また、海外との貿易を通して武器や、物資の融通をして利益をあげていた。これらは利益とともに国益を引き上げるために必要不可欠なことであった。貿易商人の株式会社化したものというと分かりやすいかもしれない。

彼らの仕事はただものを買い付けるだけではなく実際に出資して運営に参入したり、日本企業の海外子会社の設立を全面バックアップしたりときわめて多岐にわたる。つまり貿易に関しておこる様々な不都合（言葉の壁、物価の壁、輸送のリスク）などかかるすべてのリスクを自身らの情報網とノウハウによって最低限のリスクまで引き下げる総合貿易商人なのである。

戦前は欧米列強国と渡り合うため、戦後は日本国、ひいては自社の最大利益確保のため彼らは日々世界中を走り回っているのである。

なお、辻元清美が鈴木宗男にたいして「疑惑の総合商社」といったことがあるが、これは専門商社のように疑惑を全品揃えているという意味の揶揄である（疑惑を取り扱う専門商社は当然実在しない）。それを言った彼女自身も「疑惑の人民公社」と揶揄されている。

中国がレアメタルを外交カードに使用してきたため、総合商社達がほぼ総力を持ってレアメタル（希少金属）確保に奔走した。さらに日本の主要メーカーたちもレアメタル不要技術の開発に努め、結果として中国の外交カード「レアメタル」は無効になった。

所管官庁は経済産業省であり、商社たちは必要に応じて緊密に連絡をとりつつ世界中で商業展開をしている。
貿易商売を行うという特性上、商社たちはそれぞれに自前の情報収集網を保持しており、経済産業省が高度成長期に適切な産業育成がなしえた裏の理由ともいわれる。「Mighty MITI」（力強い通産省）と呼ばれた経済産業省の事実上の半身、それが情報収集と素材集め、貿易に遁走した商社たちだったのである。

以下のうち三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅までを五大商社と呼ぶ。1960年前後に10大総合商社体制と呼ばれたが今は以下の7大総合商社に集約している。また、商社業界団体の日本貿易会長は七大商社社長が順番に持ち回りで務めている。かつて売上を企業の成長指針にしていたことが長かったが現在は方針転換し連結純利益を重視している。2000年以降、低金利と通貨高を受けた国内外への投資を増やし配当などのキャッシュフローを増加させてきている。結果、IT革命による商社不要論が声高に唱えられた1990年代を乗り越え再び飛躍的な成長を見せている。