四日市市 (よっかいちし)は、三重県の北勢に位置する市。国から特例市に指定されている。
概要
本市は、伊勢平野の北部に位置する三重県最大の都市である。ぶっちゃけ津市よりも都会。県下最大の人口31万人を擁しており、国から施行時特例市と保健所政令市の指定を受けている。中京工業地帯有数の工業地域で、背の高い煙突や球状のガスタンクなどが軒を連ねている。伊勢湾に面する東部に工業地帯や鉄道網が集中していて、近鉄名古屋線の存在から南北の移動は容易。しかし東西の移動は近鉄湯の山線くらいしかなく、苦労する。西側には鈴鹿山脈が広がり、山を越えた先は滋賀県となっている。
近鉄名古屋線などが通ることから名古屋市への通勤・通学者が多く、急行及び特急が停車するためアクセスが容易。郊外の団地は工場の工員や名古屋のベッドタウン化している(笹川団地、三重団地、桜台、三滝台、あかつき台など、市内西部に位置するのが多い)。一方、三重県北勢地域の中心都市であり、三重郡の各町、桑名市、鈴鹿市など近隣の市町から当市へ通勤・通学する者も多い。イオン発祥地であり、イオンモールやイオンタウンが多く見受けられる。
現在特例市に指定されており、2005年2月7日に隣接する三重郡楠町を編入したことで人口が30万人を超えたため中核市移行を目指しているが、2007年度中の移行は断念した。
楠町と合併して4年後の2009年現在でも中核市移行をしておらず、さらに中核市を移行する日も決まっていない。
古くは、東海道の宿駅(→四日市宿)で、伊勢神宮への分岐点となる日永の追分もある。市名は四のつく日に市がたったことに由来し、現在も各地で市が開かれている。
四日市ぜんそくの発生地として全国的にその悪名を轟かせてしまったが、現在は法整備や汚染防止技術向上などの対策が格段に進み、工業地帯周辺の大気状態も良好になっている。郊外には田園や茶畑が広がる豊かな自然が望める。 江戸時代から蜃気楼が見られたことでも知られている。
地理
三重県北部に位置し、市域は伊勢湾から鈴鹿山系にまで及ぶ。東部は有数の工業地帯がある事から開発されているが、鈴鹿山脈がある西へ行くほど住宅街や自然が多くなる。市制施行までは、県名の由来である三重郡に所属。
自然
気候
- 気温:最高38.8℃(1994年8月5日)、最低-6.2℃(1981年2月27日)
- 最大降水量:295ミリ(2000年9月11日)→東海豪雨
- 最小湿度:8%(2006年3月25日)
- 最大瞬間風速:49.4メートル(1998年9月22日)
- 最深積雪:53センチ(1995年12月26日)
- 夏日最多日数:137日(2004年)
- 真夏日最多日数:72日(1994年)
- 酷暑日最多日数:13日(1995年)
- 熱帯夜最多日数:25日(1994年)
隣接している自治体
歴史
- 古くはヤマトタケルノミコトが東征の帰途に通過したという伝説が残る。古墳時代から栄え、市内には土器窯や土器片出土地が分布する。また、飛鳥時代には壬申の乱で大海人皇子が兵を集めたと言われる。
- 現在の四日市市街にあたる地域は、平安時代後期まではごく小規模な集落が存在するのみであった。しかし鎌倉時代から室町時代にかけて建立された寺が多いことから、その頃に発展を始めたものと考えられる。
- 安土桃山時代:天然の良港によって回船業が発達し、市場が出来る。市場は『四』の付く日に開かれたため、これが『四日市』の由来になったとされる。本能寺の変では逃亡する徳川家康を四日市の回船問屋が手助けし、その恩として幕府の直轄領(天領)になったとされている。実際は家康自身が陸海の要地であると認めたためと考えられる。
- 江戸時代:天領である四日市に、四日市陣屋(代官所)や高札場ができ、北勢の行政・商業の中心地となる。東海道の主要宿場として本陣や宿駅も設置される。日永追分も現在の四日市市内にある。江戸末期、安政の大地震によって港が壊滅し、回船業が衰退していく。
- 市内の至る所で湧き水が出ていたため古来より「泗水」と呼ばれる。「三重郡の泗水」ということからこの周辺を「三泗地区」と呼ぶ。現在では湧き水の場所も所在が不明になり、僅かながら井戸が残っている程度である。
- 現在の港の基礎は、幕末から明治初期に回船問屋の稲葉三右衛門(1837-1914)が私財を投じて整備した。周辺住民の反対など様々な困難があったが、現在の四日市港の礎を造った偉人として、JR四日市駅前に銅像が建てられている。
明治以降
- 1872年(明治5年) 安濃津県庁舎が津より移転、県名も郡名の三重に因んだ三重県となるが、翌年、三重の県名のまま津へ県庁舎が戻る。
- 1884年(明治17年) 四日市築港完成、1889年に特別輸出港指定を受ける。
- 1889年(明治22年)4月 三重郡四日市町は浜田村・浜一色村と赤堀村のうち新正、末永村のうち川原町を編入し町制施行。新三重郡四日市町誕生。
- 1897年(明治30年)8月30日 市制施行(全国で45番目)
- 1930年(昭和5年) 海蔵村・塩浜村併合
- 1936年(昭和11年) 新四日市港(末広町・尾上町・千歳町など)の完成を祝い、四日市大博覧会が開催。
- 1939年(昭和14年) 第二海軍燃料廠が塩浜地区に着工、1941年から操業開始。
- 1941年(昭和16年) 富田町・富洲原町・羽津村・常盤村・日永村併合
- 1943年(昭和18年) 四郷村・内部村併合
- 1945年(昭和20年)6月18日 四日市空襲。日本有数の工業地帯だったのと、帝國海軍の第二燃料廠があった事からアメリカ軍のB-29による空襲を受け、市街地の大半は廃墟と化す。
- 1954年(昭和29年) 小山田村併合
- 1954年(昭和29年) 川島村・神前村・桜村・三重村・縣村・八郷村・下野村・大矢知村・河原田村併合
- 1957年(昭和32年) 水沢村・保々村、三鈴村の一部を併合
- 1960年(昭和35年) 海軍燃料廠跡地に日本初の石油化学コンビナート稼働
- 1960年 - 1972年 石油化学コンビナートより排出された煤煙により、四大公害病の一つ、四日市ぜんそくの被害が広がる。
- 1972年(昭和47年) 公害訴訟で住民側が勝訴
- 1982年(昭和57年)4月 市民憲章制定
- 2000年(平成12年)11月1日 特例市へ移行
- 2005年(平成17年)2月7日 三重郡楠町を編入
経済
明治以降、日本の近代化の歩みとともに四日市港を中心に商工業都市に進展。特に高度経済成長期に石油化学が多く立地し、県下最大の工業都市に発展している。又、東洋紡績やイオングループなどの発祥の地でもある。
商業
近鉄四日市駅前が中心で近鉄百貨店やアピタなどの大型店の他、一番街といったアーケード型商店街もあり、三重県最大の商業地区となっているが、近年は郊外(西側)の幹線道路沿いに大型店が目立つ。県内二ヶ所しかないアニメイトも出店している。
市郊外にはイオン系SCが多く出店している。また地場系SCとしてスーパーサンシ、一号舘など市内本社の食品スーパーも多い。
市内に本社を置く主要企業
- 太陽工業
- OSIシステム
- 三重銀行
- 北伊勢上野信用金庫
- 日本トランスシティ
- 住友電装
- 太陽化学
- 昭和四日市石油
- 川崎金属工業
- フローラ
- 九鬼産業
- 宮崎本店
- 竹屋
- 中部近鉄百貨店
- スーパーサンシ
- 一号舘
- グリーンズ
- アップルインターナショナル
- アップルオートネットワーク
- 三岐鉄道
- 中日臨海バス
- 四日市つばめ交通
- 名鉄四日市タクシー
- シー・ティー・ワイ
- エフエムよっかいち
- マイクロキャビン
- アサヒグローバル
- 内田鍛工株式会社
市内発祥の主要企業
市内に工場のある主要企業
- BASFジャパン
- 味の素 - 敷地内にバードサンクチュアリを開設している。
- 石原産業
- コスモ石油
- JSR
- DIC
- 宝酒造
- 東芝
- 東洋紡績
- 日本板硝子
- 藤井撚糸 - 2005年2月7日の三重郡楠町編入により、市内に2つの工場を有するに到る。
- 富士電機リテイルシステムズ
- パナソニック電工
- 三菱化学
- 協和発酵キリン
- 八千代工業
- 三菱ガス化学
- トーア紡
交通
鉄道
道路
- 一般国道
- 国道1号→現在北勢バイパス建設中。
- 国道23号
- 国道25号
- 国道164号
- 国道306号→鈴鹿方面へ。現在バイパス延伸中。
- 国道365号→いなべ方面へ。2008年3月末バイパス完成。
- 国道477号→市内を東西に。菰野町へ。現在バイパス工事中。
路線バス
高速バス
- 東京高速バス: 大宮駅・池袋駅 - 近鉄四日市・伊勢市駅前・鳥羽BC (三重交通、三交伊勢志摩交通、西武バス) ※夜行
- いが号: 品川BT・横浜駅 - 近鉄四日市・上野産業会館・名張市役所 (三重交通) ※夜行
- 京都高速バス: 新正車庫・近鉄四日市 - 土山BT・京都駅 (三重交通、京阪バス)
- 四日市大阪高速バス: 近鉄四日市 - 土山BT・大阪駅・新大阪駅 (三重交通、近鉄バス)
- ユニバーサル・スタジオ・ジャパン高速バス: 近鉄四日市 - ユニバーサル・スタジオ・ジャパン (三重交通) ※特定日のみ運転
- 四日市中部国際空港高速バス: 新正車庫・近鉄四日市 - 中部国際空港 (三重交通)
- 名古屋三重団地高速線: 名古屋(名鉄バスセンター) - 四日市大学・三重団地 (三重交通) ※平日のみ運転
- 名古屋桜台高速線: 名古屋(名鉄バスセンター) - 四日市インター・桜花台・桜台 (三重交通)
- 名古屋湯の山温泉高速線: 名古屋(名鉄バスセンター) - 四日市インター・湯の山温泉 (三重交通)
一般路線バス
船舶航路
過去路線
地場産業
四日市名物
- とんてき 豚のステーキ。たっぷりのにんにくと一緒に焼く。
- なが餅 江戸時代 東海道沿い発祥 和菓子
- すいざわ茶(水沢茶) かぶせ茶で名高い茶
- 萬古焼(ばんこやき) 土鍋のアレといえばピンとくるだろう。
- 大矢知そうめん・ひやむぎ 珍しく、そうめんよりひやむぎの方が生産が多い産地。金魚印がトレードマーク(協会加盟企業の共通商標)。
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
朝市・市場
市内各地に午前中を中心として市場が立つ。近隣農家が市価より安く作物を販売している。農作物以外にも個人商店が鮮魚、衣料、生花、菓子などを並べている。
- 西浦即売場:1,6,3,8のつく日。
- 慈善橋即売場:2,7,5,0のつく日。
- 阿倉川四・九の市:4,9のつく日。
- 日永朝市マーケット:偶数日
- 塩浜市場:1,3,6,8のつく日。
- 笹川市場:1,6のつく日。午後開催。
- 富州原 四九(しく)の市:4,9のつく日 午前中。
主な名所・旧跡等
- 諏訪神社-四日市地区の氏神。祭礼「四日市祭」(現在は市民祭と区別して「秋の四日市祭」という)は10月第一日曜とその前日(古くは9月25〜27日)。氏子町から黎り(ネリ)と呼ばれる奉納演技が行なわれる。
- 日永追分 - 伊勢神宮へ至る伊勢街道の分岐点、伊勢神宮遙拝用の鳥居が建つ
- 海山道稲荷神社 - 節分祭「狐の嫁入り」で有名
- 浜田城址鵜森神社
- 智積養水(名水百選)
- 杖衝坂 - 日本武尊伝説が残る東海道の難所
- 十四川堤の桜並木
観光スポット
- 伊坂ダムサイクルパーク
- 四日市スポーツランド
- ふれあい牧場
- 四日市市立博物館 → 最寄り駅は近鉄四日市。十分徒歩圏内。
- 四日市港ポートビル
- オーストラリア記念館(大阪万博オーストラリア館)
- 垂坂公園 → 四日市市街やコンビナート、遠くは知多半島や伊勢方面まで見渡せる。夜景スポットでもある。
かつては「芝生の広場」部分しか存在しなかったが、2000年4月に「羽津山緑地」が完成。今に至る。 - 四日市競輪場
- 四日市ドーム
- 四日市中央緑地公園
- 陸上競技場
祭り
- 東富田どんど祭り(1月14日)
- 国道23号線沿いに、高い山を15基建てて盛大に燃やす。
- 海山道稲荷・狐の嫁入り(2月3日)
- 万古祭り(5月第二土日)
- 松原の石取祭(7月第三土日前後)
- 松寺の石取祭(7月後半)
- 天ヶ須賀の石取祭(8月中旬)
- 大四日市まつり(8月第一土日)
- 鳥出神社の鯨船行事(8月14・15日)
- 富田一色けんか祭(8月14・15日)
- 秋の四日市祭(10月の第一日曜とその前日)
- 旧四日市地区の氏神諏訪神社の祭礼。本来は単に「四日市祭」 であるが、市民祭である「大四日市まつり」と区別して「秋の…」とつけている。日本一大きいからくり人形を載せた山車「大入道」(県指定有 形民俗文化財)をはじめ、「鯨船(捕鯨のサマを表す豪華な船山車・県指定有形民俗文化財)」「大名行列(宿場町の名残を残す行列・市指定無形民俗文化 財)」「富士の巻狩り(ハリボテの大猪を煌びやかな衣装をつけた子ども武者が射止める仮装行列)」「菅公(文字書きのからくり人形山車)」「岩戸山(アメ ノウズメノミコトに化けていた狸が正体を現すからくり人形山車)」「甕破り(司馬温公の故事にちなんだからくり人形山車)」などの黎り(ネリ)と呼ばれる 奉納演技が行なわれる。
出身人物
公人
文化人
- 丹羽文雄:作家、同市出身、名誉市民、文化勲章受章
- 藤田敏八:映画監督、俳優
- 瀬木直貴:映画監督
- 石垣ゆうき:漫画家
- 小島剛夕:漫画家
- 松井勝法:漫画家
- 現代洋子:漫画家
- 鈴木けい一:漫画家
- 天野良春:東海ラジオアナウンサー
- 加藤亜希子:フリーアナウンサー(元中京テレビ)
- 田村泰次郎:作家、同市出身
- たかぎなおこ:イラストレーター
芸能人
- 浦島りん子:歌手
- NAHKI:歌手
- 広瀬隆:歌手・ラジオパーソナリティー
- 村田恵里:歌手 (引退、旧芸名:ERINA 他)
- YOYOYO:バンド(メンバーの多くが四日市出身)
- 水野美紀:女優
- 加藤ゆり:タレント
- 松本さゆき:グラビアアイドル
- 桂福團治:落語家
- 桂二乗:落語家
- 加藤歩:お笑い(ザブングル)
- やついいちろう:お笑い(エレキコミック)
- 倉田雅世:声優
- 夢人:ミュージシャン(彩冷える ギター)
- KUNI-KEN:津軽三味線ユニット
- YUKI:メイクアップアーチスト
スポーツ選手
- 巨砲丈士:元大相撲力士。最高位は東関脇。元・楯山親方。
- 市川卓:プロ野球選手(北海道日本ハムファイターズ)
- 井手元健一朗:元プロ野球選手
- 村上和弘:サッカー選手(川崎フロンターレ)
- 阪倉裕二:元サッカー選手
- 服部尚貴:レーサー
- 藤波貴久:オートバイ・トライアルライダー
- 位田愛:バレーボール選手(JTマーヴェラス)
四日市地域史功績人
- 伊藤平治郎:富洲原地区に平治郎橋を築く、経済功労者
- 稲葉三右衛門:廻船問屋、四日市旧港を築港
- 山本卯太郎:重要文化財の末広橋梁(可動橋として初の指定)を設計
- 井上敏夫:海軍少将、四日市より衆議院議員2期、四日市築港に寄与
- 平田佐次郎:平田紡績の創始者
- 伊藤小左衛門:紡績産業育成
- 山中忠左衛門:沼波弄山が始めた萬古焼を産業として広めた
- 伊藤伝七:三重紡績により産業育成
- 田代随意: 桑名藩領の四日市市天ガ須賀の鉄砲医者・名医。
その他
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