回生ブレーキとは、走行に使用するモーターを発電機として使用し、発生した電力を車両搭載のバッテリーへ充電したり消費に充てたりする事で制動力を得るブレーキ方式である。
概要
鉄道車両・自動車他で広く使用されている。発電ブレーキは発生した電気エネルギーを熱エネルギーに変換して捨ててしまうのに対し、回生ブレーキは発生した電気エネルギーを捨てずに使用するため、電力消費量の削減などに貢献する。
ただし特性上、バッテリーがフル充電に近かったり、消費する対象が近くになかったりすると制動力を得られなくなる。
鉄道車両の回生ブレーキ
鉄道車両においては電気機関車と電車、ハイブリッド車で用いられ、制動時に走行用のモーターで発電した電気を架線へ戻して別の車両の力行で消費させるか車両搭載のバッテリーに充電させることで制動力を得る。ただし架線へ戻しても変電所で熱エネルギーに変換して捨ててしまう場合も回生ブレーキと呼ぶが、自車に搭載しているブレーキ抵抗機で熱エネルギーに変換して捨てるものは発電ブレーキと呼んで区別される。
メリットとしては電力使用量の削減、フラット発生による乗り心地悪化の抑止、摩擦ブレーキとして踏面ブレーキを使用している場合の摩耗率抑制とタイヤ弛緩の防止、地下トンネル内の温度上昇抑制などがある。
デメリットとしてはローカル線のように列車本数の少ない路線は電力を送り返しても消費する対象が少ないために制動力を得られない、集電装置が給電線から離れる(離線)と制動力を得られないなどがある。回生ブレーキが効かなくなる現象を回生失効と呼び、ローカル線や安定したブレーキ性能の確保が必須となる急勾配線区では回生ブレーキと発電ブレーキを併用する例もある他、大都市線区でも安定したブレーキ性能確保のために駅の照明や空調など地上設備の電源に回生ブレーキの電力を使用する場合もある。
自動車の回生ブレーキ
タイヤが回転するエネルギーでモーターを回し、発生した電力を自車に搭載したバッテリーに充電し加速時に消費する。ただし頻繁な充電はバッテリーの寿命を縮めるため、回生電力量は低く抑えられている。
鉄道車両同様回生失効が起きる。知っていればドライビングテクニックでコントロールできる範囲にあるが、ブレーキ感覚が変化するため最初は戸惑うことも多い。
通常のエンジンだけを使用する自動車でもオルタネータを稼働させることで加速・巡航時の負荷を抑え、燃費向上に貢献させるシステムがある。
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