団塊の世代とは、第二次世界大戦後の第一次ベビーブーム期（1947～1949）ないしその前後に生まれた世代を指す言葉である。団塊世代、もしくは単に「団塊」と呼ばれることもある。
成長過程
戦後復興期、兵士が復員し治安や食料供給も安定してくると、出生数が急速に上がった。この時期の出生率は他の時期と比較しても極端に高く、人口ピラミッドの構成にも大きな影響を残す程になった。1947~49年は合計特殊出生率が4.0を超えている（つまり一組の夫婦が全国平均で4人以上の子供を産んだ）。これが第一次ベビーブームであり、この頃生まれた世代が「団塊の世代」と呼ばれている。ただし学者や論文によってこの世代の定義はややブレがある。本来の意味の「団塊の世代」は1947～1949年に生まれた世代を指すが、場合によっては50年代前半を含むやや広い年齢層を意味することもある。いずれにせよ彼らは2020年代には70歳を超え、経済活動の最前線からは引退しつつある世代である。
団塊の世代は新左翼運動に傾倒して過激な学生運動を展開した「全共闘世代」のイメージもあるが、当時はまだ大学進学率が10%台だったので、これらの層はいわば団塊の上澄みである。また、当時の学生も政治運動には積極的に関わらないノンポリが多く、また学生運動に加わった若者の中にも日本共産党などの旧左翼系や右翼・民族派として新左翼と衝突した学生も多かったので、全共闘で暴れたのはほんの一握りだったりする。団塊世代=新左翼＝過激な学生運動というイメージは全くもって実像とかけ離れているので注意。
この世代のマジョリティは、地方に生まれて中学・高校を卒業し、「金の卵」と呼ばれて大都市の企業へ集団就職し高度経済成長を下積みとして担ってきた人々である。しかし「金の卵」の就労環境は必ずしも良好なものではなく、離職者も多かったとされる。
日本の高度経済成長とともに育った団塊の世代は「男は職場、女は家庭」といった性別役割分業の傾向も極めて強く、団塊の世代の女性は多くが主婦として家庭に入り、20代のうちに子供を2人産むという典型的な「近代家族」のイメージに合致したライフステージを辿った人が多かった。
評価と近況
上記の通り、「1960年代後半〜1980年代の日本の経済成長を根元から支えてきた世代」というのが団塊の世代の実像（戦後復興から高度経済成長期を経営者や政治家として実現させたのはもっと上の世代である）なのだが、60歳未満のいわゆる現役世代からは「学生運動でやりたい放題やったくせに、年功序列や終身雇用の恩恵を思う存分受けた挙句、日本の社会保障費を肥大化させ現世代の資産を食いつぶしている」という具合に虚像を膨らませてバッシングされることも多い。
1970年代〜1980年代の安定成長期（バブル期を含む）の自動車や電気電子産業など、技術立国・日本の基幹を担ったのは、この世代の人々である。バブル崩壊後リストラなどで次の世代への技術の引継がうまくいかず、韓国や中国など新興国のメーカーに流出した人々も多かった。
団塊の世代は、日本の長寿化と少子高齢化（氷河期世代を切り捨てた結果、次世代への承継に失敗したという事情もあるが）により、定年後も長期にわたりフルタイムの仕事に従事している人も多く、「人生100年」「生涯現役」が現実的に語られるようになった世代である。一部企業では退職した団塊世代の再雇用を推進し、中には中小企業や外資系メーカーにアドバイザーや顧問などとして迎えられ2020年代現在でも第一線で活躍する技術者も見られる。また小売業界では、退職金や老後の貯蓄をたっぷり蓄えた団塊世代を「有望な消費者の集まり」としてみなし、彼らをターゲットにした商品展開も行われた。企業経営に、地域活動に、ボランティアや趣味になどと、70歳を過ぎてなお精力的に活動する団塊世代が多くいる一方、生活に困窮し、非正規労働者などとして働かざるを得ない団塊世代も見られる。
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